マニアックに語る場所

ミュージカル関連をディープかつマニアックに語りたいがために作ったブログです。

ノートルダムの鐘を語ってみるvol.4 個性真逆なWキャスト②

 

ノートルダムの鐘東京楽まであと2週間となってしまいました。辛すぎる。

ということでノートル語り第4弾。

プリンシパルを語るシリーズ。

フロロー、フィーバス、クロパン編。

 

 

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フロロー

芝清道さん

芝フロローは「人は生まれながらに罪人」という自らの台詞にあるように、元からただの人間なのに理性で誘惑を断ち切って勉強をし、精進してきたんだと思う。

カジモドにも歪ながらある種の愛情を向けていると思うし。

それがエスメラルダとの出会いで一気に崩れ去ってしまった。

トプシーターヴィーのあと、拾い上げたスカーフの匂いをあまりに自然に嗅ぐのでゾワっとします。

粘着質で気持ち悪い。(褒め言葉)

「ミサの後探したんだよ」とか本当に気持ち悪い。(褒め言葉)

以前は感情があふれ出るような印象があったんですが、

最近は押し殺した狂気、というか彼の体の中で感情が濁流のようになっているのが分かって、前より哀れに感じるようになった。

好意的に思っていないおじさんに性的な目を向けられる不快さは女性ならきっと分かるのでは哀しいことだけど

 

ある意味1番人間らしいのが芝フロローだと思う。 

形は歪んでいたとしても愛情も優しさも、邪悪な部分も持ち合わせている。

カジモドとフロローの関係性がこの愛情と優しさによってぐっと複雑になる。

芝フロローと親子度強いのはダントツでたつろーカジです。

♪息子のように思うよ と歌いかけるのも芝フロローは実際にそう思っていたんだろうなと感じさせます。

だから余計にカジモドが「僕の愛した人は2人とも横たわってる」のが辛い。

でもエスメ死後、上にやってきたときにはもう明らかに様子がおかしくて、

焦点も合っていないし、どちらにしても元に戻ることなんて出来なかったんじゃないかと思います。

 

野中万寿夫さん 

芝フロローとはまた全然違う。

そもそもビジュアルからして白髪です。歌も台詞寄り。

若き日のフロロー、デュパン神父が追放を告げた後の「ジェアン!」も叱りつけるような声色。

(芝フロローは自分がしてしまったことに焦って呼びかけているような印象だったけど、)非があるのはジェアンだと責めているような。

絶命後の「ジェアン!」は絶叫気味でした。

 

万寿夫フロローは街の人にも恐れられる厳格な聖職者。なんの迷いもなく生きてきた。

カジモドに対してもまさに教え導く、という感じ。カジモドだからあの態度というわけじゃなくて、もし自分の子どもがいたとしてもああいう態度を取ったんじゃないかなと思う。

ああいう父親もいるよね。厳格な教師のような。芝フロローとは全く違う父親像。

アフロディージアス」も口の動かし方をしっかりと見せているのが印象的。

人は残酷だから、笑われるから、外に出るなというのも真実を教えているだけ。

あとは私は腹を立てているわけでは、ない! が怖過ぎて。。 生まれて初めて嘘をついた、その相手は絶対万寿夫フロローの方が怖かっただろう。

ここで優しさを出してくる芝フロローだと、手を広げられても手を回さずに体を寄せるだけ(たつろーカジ限定)なのは罪悪感だと思うけど、万寿夫フロローだと後ろめたさが強い感じ。

 

エスメラルダと出会ってからは芝さんのような明らかな動揺や変化が見えない分、どんな行動に出るか分からずゾッとする。

万寿夫フロローは「私は正しく徳の高い男」って自分で歌っても許される。というか納得できる気がする。

芝フロローが粘着質で気持ち悪いなら万寿夫フロローは異様な執着で恐ろしい。。

牢屋でも何をされるか分からない気の狂った犯罪者を前にしたような恐怖がある。

世間的な信頼を得ている立場だから、中に恐ろしい欲望を持っていても平然と力を行使して、恐ろしい敵だよほんと。

「私は大助祭だ!法律などどうでも良い!」が絶望的です。。

 

エスメラルダ死後に上にやってきて発した「サンクチュアリー」があまりに空っぽで驚く。

もう彼が言う「サンクチュアリー」には何も中身がなくなってる。。

序盤カジモドに「ここがお前のサンクチュアリーだ」と言っていた時には確かにそこに厳かな何かがあったのに。

聖職者としての軸を失ったフロローの「聖域」はもうどこにもないんですね。。

 

芝居重視の歌唱ですが、声質が特徴的だからコーラスに溶けないのが強い。

特にヘルファイヤーとか。

  

 

フィーバス

清水大星さん

清水フィーバスはやっぱり歌が絶品。

笑っちゃうくらいの素晴らしく良い声と豊かな声量。

「警備隊長」の歌い方が好き(マニアック)

美南エスメラルダとの歌の相性抜群です。

直近では髪色がさらに明るく前髪なし長めの髪で女の子みたいだった。

 

わりと育ちよくてまあまあの地位からスタートしてるから余裕があって優しいけど気配りできないとこがある。 そんなイメージ。

多分まったく軍人には向いていないし、戦場での経験も辛く(佐久間さんほどではないけど)トラウマになってる。

そんな彼が太陽のような魅力を持ち賢く慈悲深くもある美南エスメラルダに惹かれるのは当然かと。

大聖堂でのやりとりはフランクで笑顔も多い。口説きモード感。

カジモドに静かに!って怒られたときの「ごめん」もすごく素直。

Somedayでも♪私が旅立つときに〜 に泣きそうになっていたり、フレデリックへの呼びかけが泣き声入っていたり、なんというか素直さと弱さが見える。

♪パリの人々よ〜 と歌い掛ける力強さと熱意で劇場の空気が変わります。

ラストの墨はくの字のような引き方。

 

個人的は清水さんを初めて認識したのがリトマのシェフデビューを観劇した時で、

あまりの面白さに爆笑した記憶が強かったのでお笑い枠じゃない役って観るまで想像もつかなかったんですが、まるで別人でさすが役者さんだな…と。笑(当たり前)

 

佐久間仁さん

デビュー日をマチソワで拝見したのでなんだか思い入れのある佐久間フィーバス。

1公演目の時は聖堂でのエスメとフィーバスの攻防で初めにナイフ突きつけるタイミングでぶつかっちゃって下手に吹っ飛ぶナイフ。

吹っ飛んだナイフをエスメが拾って再度喉元に突きつけられるという情けない隊長になってしまったのも良い思い出ですね←

 

身長が高く目立つし、長身の美南エスメでもきっちり身長差が出ます。

歌は清水フィーバスの美声歌上手っぷりが普通じゃないので比較しちゃうとあれだけど初期からどんどん進化して、今では歌唱の不安定さもなくなりました。

フィーバスの存在感と説得力は佐久間さんが好きです。

佐久間フィーバスは元から粗野で荒っぽいところがあり、戦闘も強そうで叩き上げの雰囲気がある。

戦場で疲弊して戻ってきたけど過去に縛られてる。戦場を思い出し、青ざめ震えている。

エスメの魅力に惹きつけられるけど、その勇敢さや真っ直ぐさを見てすっかり人として好きになる感じ。

 

Somedayではエスメラルダの強さや信念にすぐ側で共感して、辛さや悲しみに揺らいで崩れ落ちる彼女をしっかり支えて包み込むのが佐久間フィーバス。

ただただ彼女の言葉を聞いて、その通りだと泣きそうに頷いて、でもエスメラルダが崩れ落ちたときは静かに力強く抱き締める。

 

最後エスメの亡骸を抱き上げようとして、その重みに彼女の死を突きつけられたように顔には絶望が浮かび、体は震えていた。

もう佐久間フィーバスは立ち直れないだろう。

彼は戦場での記憶とエスメを失ったこの一連の出来事に押しつぶされてしまうんだと思う。

Somedayでエスメと交わした言葉を思い出し、いつか平和になったそのときにまた2人で世界を眺めたいと願いながら、もうエスメが存在しないあの世界から消えてしまうんじゃないかなって。

歩くこともおぼつかず今にも倒れそうなフラフラとした去り方には1ミリの救いもありませんでした。

 

あとは佐久間フィーバスはとにかくフレデリックと仲良し笑

酒場に来たとき、友人のフレデリックも一緒だって言いながらフレデリックの頭ぽんぽんしたり。(鈴本さん、野村さんのみ)

細々としたアイコンタクトが多い。

 

クロパン

阿部よしつぐさん

ビジュアルはジーザスっぽい。

とにかく目つきが鋭い。目的のためなら躊躇なく人殺しもしそうだし、多分もう何人も殺してきてる。

よしつぐクロパンは冷静で、今までにも散々居場所を追われてきたのがよく分かる。

野生のイノシシどころか、冷酷な野生のオオカミくらいの印象なんだよな。 

この作品の幕開け、そしてカジモドから俳優へ戻ったときの衣装の返却とお辞儀という重要部分をぐっと引き締める重みを持っている方だと思います。

 

吉賀陶馬ワイスさん

彼、メレブのとき歌含めずっこけた記憶があるんですけど記憶違いだったかな⁉︎って思うくらい。

クロパンの歌すごく合ってる!!

顔立ちとか頭部の後退具合とかいかにもああいう世界に出てきそうな風貌で得してるなーと思う笑

人情のある家畜の豚に紛れた野生のイノシシ。っぽいです。

奇跡御殿の「お前はフロローの奴隷!」もワイスさんは振りかぶって脅してるだけでカジモドが勝手に転んじゃう。

割とまだ若めで同じジプシーへの情が厚い。どこかに落ち着いて暮らしていくことを本気で願っているんじゃないかな。

 

 

個人的には歌唱力が武器の美南エスメ&清水フィーバス&芝フロロー、

芝居力が武器の愛エスメ&佐久間フィーバス&万寿夫フロロー、

の組み合わせが好きだったりします。

強みの相乗効果が生まれやすい組み合わせな感じがして。

持ち味が全然違うプリンシパルなので、組み合わせによって相当印象が変わるなと何度観ても思う。

とはいえその個性豊かなプリンシパルの軸になるのはカジモドの存在の仕方だと思うので、カジモドとても大事!という結論。(?)

 

カジモド以外は今のところWで回しているので割と綺麗に2極化している印象。

新たにデビューしていく方々がどう作っていくか、そしてその役作りがどう他に作用していくか、楽しみで仕方がない。

京都は1遠征しかできない予定なので横浜でたくさん楽しめると良いなぁ!

 

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ノートルダムの鐘を語ってみるvol.3 個性真逆なWキャスト①

 

 

ゆるゆると語りながら第3弾。

カジモドを取り囲むプリンシパルを。

四季においてここまで対極なWキャストが揃ったことがあったでしょうか。

いや、(私の知る限りでは)ない!

今回はエスメラルダのお2人の記録をまとめます。 

 

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エスメラルダ

岡村美南さん

ピコ、ジェリロ、エルファバ、ポリー、アニタと主要な役はだいたい観劇済みの美南さん。

正確で安定した歌唱力には信頼を置いていました。

エスメラルダもきっと似合うだろうなぁと期待を持っていましたが、、裏切らない。むしろ越えてくる。

 

歌唱力に磨きがかかり、タンバリンや酒場のオラオラ系(?)も

God HelpやSomedayのバラード系もそれぞれしっかり聴かせてくれる。

世界の頂上で も転調でどんどん空間が広く大きくなっていく曲調の伸びやかさと美南さんの歌声の伸びやかさが合わさってすごく素敵!

歌唱に関しては抜群の安定感です。

 

初日明けてすぐから異様に完成度が高くて怖いほどでした。。

エスメの衣装は美南さんの長身が映えるね。 

美南エスメラルダは美しくしなやかで華がある。強くて慈悲の心があって気高い。

明るく健康的な美しさで人を惹きつける。肩とデコルテがとっても美しい。

歌声も美しく力強い。達観的で大人びてる。

彼女があんな目にあう理由なんて何1つないのに。

強い彼女が耐えられずに泣き崩れたり顔を歪める姿はなんて胸が痛くて、それでいて魅力的なんだろうか

 

彼女の優しさは聖母のようでカジモドへの優しさも母性を感じる。

美南エスメラルダはただジプシーに生まれたために疎まれる立場にあるけど、

物の考え方をしっかりと持ち、包み込むような優しさと慈悲を持って生きる強い女性。

その賢さや生き方がさらに彼女を美しく見せ、魅力を深めている。

強く生きているし1人でも生きていけそう。だけどやっぱり強いだけじゃない。死は怖い。

美南エスメ清水フィーバスのSomedayはそこに絶対的な正しさがあって、いつかその日は来る、正義が勝つ日が来るんだとそんなメッセージを感じる。

 

この気高さ、強さを見ると、早く美南さんのアイーダを観たいと思わずにはいられない。早く再演をー!

 

 宮田愛さん

妖艶なダンスで人々を魅了するけど本人はごくシンプルに物事を見ている地頭の良さそうな愛エスメ。

結構ハスキーボイスです。

まずタンバリンのリズムが素晴らしいまさに男たちが魅入られる踊り。

歌い方も良い意味で品がなくてジプシーっぽさが強い。こう来たか!

愛さんはダンスに色気がある。自然と目を惹きつける才能。

一体どこがこんな色っぽいのかなぁと思って見てた結果、腰の入れ方とタンバリンの激しい叩きつけ方に私はクラっとくるっぽい。 

ちょっとした脚上げのときのさらっと高く真っ直ぐ伸びる脚がたまらないです。

でもこの妖艶さはただ生まれ持った能力で、本人も「みんなも楽しんでくれるからお金をくれる」としか考えていなそう。

タンバリン後の「仕事だ、奴らを並ばせろ」でクロパンの肩に手を置いてさらっと色気出して軽く挑発するのがまたエスメラルダだなって。

 

達観しているというよりただシンプルに物事の本質を見ることができる賢さがあると思う。

彼女の優しさは対等で平等。だからカジモドへの接し方も姉、友人への愛情のように感じたかなぁ。

エスメは、フィーバスの僕と来てくれに対する「だめよ」も、カジモドの僕が守るよに対する「だめよ」もだいぶ似た色。

だから余計にカジモドを友人として対等に扱っている気がして、最後の「あなたは本当に素敵な友だちよ」につながるんだよなぁ。

ジプシー娘という生まれ上1人で生き抜く強さを持たざるをえなかった。

でも本当は誰かといたかった、誰かに頼りたかったのが分かる。

奇跡求めてのラストでフィーバスの腕をぎゅっと掴んでるのがなんかこうとてもしっくり来るのよね。

クロパンの仲間を見捨てないって言葉への感謝も本気だと思う。

奇跡求めてからいつかの流れの芝居は、強気な仮面がはがれて素の華奢で年相応の弱さが見える女性がリアルで、痛々しくて。

怯えや悲鳴がとてもリアルで、力に抗えない若い女の子なんだって思い知らされてとても辛い。

エスメが「少しだけ待って」っていうのも何故だかはっきりと伝わるし、佐久間フィーバスの「そうするんだ」までの間も素晴らしいし、「私が旅立つときに」に対しての反応もそれを制止するエスメもトータルで見事。

エスメ佐久間フィーバスはただただそこに2人の男女がいて必死に互いを抱きしめて希望を未来に託す感じなんだよね。

一度しっかりフィーバスの胸に抱きとめられるのに脱力して崩れ落ち、手をすり抜けてしまうのがまた辛い。

 

エスメの男を惑わす力は別に意図したものではなくて元々備わっているもの。「どうしてあたしなの⁉︎」のセリフが辛い。

そんなつもりないのに勝手に惚れられて命まで奪われることになるなんて悲劇でしかない。

みんなまるで本能で引き寄せられるように近づいていく。

自分でもなぜだか分からず理由を知りたいけど、もう衝動が強すぎてどうにもできない。。そんな感じ。

それまで聖職者として揺るがず生きてきたフロローが初めて理性を失うほどに心奪われるのは愛エスメラルダの方が説得力があるように思う。

魔女と言わしめるほどの妖しい魅力がある。

 

エスメのお二人は表現手段と芝居の持ち味が真逆だなと思います。

美南エスメラルダ…歌踊り容姿→太陽。芝居→月。

強みは歌をはじめとした声、立ち姿から溢れる強い意志。

エスメラルダ…歌踊り容姿→月。芝居→太陽。

強みは生き生きとしたダンス、そしてリアルな芝居。

 

まさに甲乙つけがたく、しばらくどちらかを観ていないと恋しくなるこの辛さ!素晴らしいWキャスト。

ここまで色が違うと組み合わせ次第で全く違う印象になってくるので嬉しい悲鳴でした。

今後エスメラルダも増えていくでしょうけど、どちらかの真似ではない新たな方向性を見せてくれたら良いなぁと思います。

個人的には3枠絢香さんのエスメデビューを期待していたり。

最終オーデにも残っていたし、開幕から携わってきたキャストだから世界観の理解はばっちりだし、きっと素敵なエスメを作ってくれるんだと思うんだけどな!

同じ理由で鈴本くんのカジモドデビューも待っております。

 

東京公演終わるまでには残りのプリンシパルも書いておきたい。。けど間に合うかなぁ。

 

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本当はカジモド3人について書きたかったんですが、

あまりに量が膨大なのと、残り2人はまだ出演中で日々変化しているのと、

何より私が海宝くんのファンなのでだいぶ偏ってしまう。

 

ということでTwitterで書き散らしていたことをまとめる意味で

海宝カジに絞ってまとめておきたいと思います。

 

 

東京公演最終出演は3月5日でしたが、

私が最後に海宝カジモドを観られたのは1月半ば。

きっとそのあとも相当進化していたんだろうなぁ。。

その辺りをご理解の上お読みください笑 

 

 

海宝カジモドの最大の特徴、そして私が1番好きなのが、

役者海宝直人⇄カジモドの徹底的な切り離し方です。

達郎カジ、あっきーカジは途中からだったり終始だったりするけど、

本人の存在がカジモドと混じり合う。(当然だけど素が出るって意味ではなくてね)

 

ノートル初見直後、自分が呟いた内容は今見てもこれに集約されるなと思う。

彼が「カジモドを演じている」時間はそこにカジモドしか存在していなかった。

一瞬たりとも海宝直人を認識するときはなかった。役者としてなんと素晴らしいことか。

 

海宝直人からカジモドへの入れ替わりは、あまりに鮮やかかつ劇的すぎて、

それこそ何か魔術を使われたようにと呆然としてしまう。

あの舞台上での俳優から役への移行という演出が最大限に活かされていると思う。

特にカジモドから俳優へ戻ったとき、

俳優の姿に戻った海宝くんは異様なまでに透明感があって清らかで、、ぞっとするほど美しい。 

あの透明感を出せるのは天性の才能だと思う。顔立ちとかを超えて、俳優としてとても格好良い。 

 

振り向いた男の美しさに目を奪われた後は、語りに心を奪われる。

海宝くんの語りはまるで別人。そこにいたカジモドがどこにもいない。

「海宝直人」と「カジモド」はすっぱり切り離されていて、カジモドが彼の体を借りてそこに存在していただけで、

最後の語りの時にはもうカジモドはいないんだよね。

でもカジモドを演じきった「海宝直人」は確かに始まる前とは何かが違って清らかで、

彼が語る”カジモドのその後”は淡々としながらもどこか心が通っているような、そんな感じがする。 

本人もインタビューの中で、このラストの語りを「努めて淡々と話すようにしていた。」

「小説を読んでいるような感覚で聴いていただきたい」と話していて、

本人も相当意識して組み立てた部分なんだろうなと思う。

ちなみにインタビュー掲載記事はこれ。↓

allabout.co.jp

 

あとはやっぱりカジモドの障がいを徹底して演じているところが、この差を生み出す大きな要因だと思う。

口と顔の歪み、耳の不自由さ、話すときの不自由さ、背骨の歪み、

終始崩れたり乱れることがなく、徹底している。

途中からは口の歪みの徹底もだけど、左目ももうほぼずっと開いていなくて、、

口元だけじゃなく目元にもカジモドを感じる。

肉体的なハンデが凄すぎるのに歌唱はどんどん安定していくのよね。。

たぶん海宝くんにとってカジモドを演じている以上、これらがキープされることは当然なんだろう。

 

 

後は少しトピック的に。

 

■ フロローとの関係性

3人のカジモドの中で1番フロローと親子らしさのないカジモド。

どちらかというと恐れ、緊張感を強く感じる。

でも、トプシーターヴィー後にフロローに抱きつこうとするシーン。

海宝カジはかなりの勢いで抱きつこうとするから、引かれた時にビターンと倒れちゃう。

他のシーンではあれだけ愛情関係は薄く緊迫感すら感じるのに、

酷い目にあってぼろぼろになったときに頼って抱きつこうとする相手は

フロローしかいないんだということが浮き彫りになる。

初めは海宝カジとフロローはあまり愛情関係ないのに、あそこはやけにカジから行くなあと思ったけど、

結局カジモドには頼れる人、守ってくれる人はフロローしかいないんだよね。

その人に拒まれて相当ショック受けるから、フィーバスに対しても怒りじゃなくて、

今の自分に構うなって拒否の姿勢を感じる。

個人的には達郎カジよりも海宝カジの方があのシーンの孤独感は刺さる。

達郎カジは普段の信頼(?)がある分修復できそうだけど、

海宝カジは一生あのすり抜けた感覚を忘れられずに傷ついていそうで。

 

投げ落とす前にフロローを抱きかかえたとき、カジモドはすごく悲しそうな顔をしていた。

でも「いや、君はその気だ。」の囁きを聞いてフロローに手をかけて持ち上げたとき、

初めて見るような恐ろしい顔になっていた。

カジモドの顔はあの瞬間、本当の意味で醜く恐ろしい怪物の顔だった。。

「僕が愛した人は2人とも横たわっている」この嘆きのセリフが辛すぎて。

エスメラルダはもちろんだけど、フロローだってカジモドには唯一の関わりのある人間で、

良いことばかりじゃなかったにせよそこには長い付き合いがあって確実に情はあったはずだと思うんだ。

フロローを殺したことでカジモドは文字通りすべてを失ってしまった。

 

エスメラルダとの関係性 

美南エスメラルダだと同じように弱き者への愛情、母親の無償の愛のように感じるけど、

エスメラルダは姉、友人への愛情のように感じる。

だから前者はフロローにも与えられなかった基本的な愛情を得た喜び、

後者は対等に向かい合ってくれる友を得た喜びを強く感じた。

 

海宝カジモドには男を感じない。

カジモドになった瞬間からエスメラルダを見送る最後の瞬間まであくまでカジモドを崩さない彼の愛は人間愛だと思う。

海宝カジモドがエスメラルダにはしゃいで柵に登ってみせたりして喜ぶ姿は、

まるで母親の気を引いて笑いかけてもらってすごく嬉しそうにしている子どものよう。

フロローには基本的な愛情さえ与えられずに育ったから、

自分に優しくしてくれる、それだけで大好きで天使のように思ったんだろう。

 

タンバリンのリズムで下手にいる時とか大聖堂で上にいる時とか、

エスメラルダに釘付けになっている姿がとても可愛い。。

もう目が引き寄せられちゃうんだなって分かる前のめりな感じ。

世界の頂上でを歌い始めるエスメラルダの横で嬉しそうに手すりに乗って

柱とか尖ってるところを指先でとんとんしてる海宝カジモドすっごい好き。

そして♪ふたりで、、いる をあんなにたどたどしく歌っておいて

ラスト1フレーズを爆音で歌い上げるところも大好き。 

 

奇跡求めてでの歌唱も自分に優しくしてくれた好きな人が、他の人間に取られてしまう、

もう自分のことは見てもくれないんじゃないかという悲しみ、絶望。 って印象を受ける。

エスメラルダについていくってきっぱり言うの、カジモドには言えないことなんだよね。

彼にはもう一生ノートルダム大聖堂を出る選択肢はない。醜いから。

たとえどこかに逃れても受け入れられることがないと分かってしまったから。

エスメラルダと一緒に行っても彼女を守れないと分かっているから。

エスメラルダが一緒に来てくれないなら、自分がついて行くという選択ができるフィーバスがどれほど羨ましかったことか。

その選択肢すらカジモドには与えられない。

 

海宝カジモドはエスメラルダに素敵な友だちよって言われて噛みしめるように「友だちだ。」って返す。

でもその直後に彼女は息絶えて、カジモドは初めての人間の友だちを失ってしまう。 

 

ガーゴイルとの関係性 

フロローとも親子ではなく、愛に飢えてる。 

だから海宝カジモドにはガーゴイルたちは本当に大切で貴重な大好きな友達。

特に万寿夫フロローだとドライというか厳しめで、

親子的な愛情がなさそうに見えるから余計にガーゴイルたちと仲良く見える。

♪天国の光のときのやりとりとかもすごく微笑ましくて、

その分、Made of Stoneでガーゴイルたちを遠ざけてしまうカジモドとその拒絶にショックを受けるガーゴイルの溝が辛かった。。

絶望故にもうどうしようもできずに見守ってくれるガーゴイルを突き放し一人になった姿が孤独でとても寂しそうだった。

とある回のMade of Stoneは「己の容姿の醜さへの絶望」をすごく強く感じた。 その前の奇跡求めてからの流れも含めて。

 

それにしても短期間でここまで完璧にMade of Stoneを歌いこなせるようになるなんて。。

しかも純粋な歌唱の安定感、完成度をここまで上げながらも、心の通った芝居としての歌を歌えているって普通じゃない。

ああして完全にカジモドを生きながらも歌はどこか冷静を保ち続けている。素晴らしい。

 

■ カジモドと大聖堂の関係性 

陽ざしの中へ に入る前のセリフ、「僕のサンクチュアリー」

自分を縛る牢獄のような暗い響きを感じる。 

憧れとともに強い恐怖もある外の世界。

なんども想像して1日だけで良い、陽ざしの中で川沿いを散歩したいと夢見てたカジモド。

でも海宝カジはそれは無理なんだって思いながらの憧れだったと思うんだよな。

海宝カジは割と陰系なので「ぼくはもう…行けないのか…」の絶望感が非常に高くて好き。

いつかと思ってずっとそれを夢見ていたのに唯一の望みが絶たれてしまうショックが強くて。

だから外に足を踏み出すきっかけになるんだよね。

 

一方でエスメラルダ救出のときの、「サンクチュアリー!聖域だ!」

海宝カジモドの叫びは、この場所、カジモドの生きるこの場所は聖域なのだと思い知らされて踏み込めない。

毎回鳥肌が立つ。。 いったいどこからあの声が出ているんだ。。

あの叫びを聞いて、カジモドの聖域は破れないよ。

 「聖域だー!」の「だー!」の伸ばすときとか叫びの中に悲鳴みたいなの入るよね。。

そしてそのタイミングで左右の石像がパッとライトアップされるのもまた憎い演出。。

 

 

あの癖のない素直な歌声、圧巻の声量、役作りの方向性、

本当に大好きなカジモドでした。

それまで、「爽やかでルックスも良く実力のある王子様」だった海宝くん、

この役に出会って俳優としての実力と魅力が目に見えて上がったと思う。

こんな役も出来るんじゃないか、この役を観たい!そう思う幅がグッと広がりました。

 

マリウスがあるから京都は難しいだろうけど、

横浜公演にはきっと帰って来てくれますように!

 

「身体が、筋肉が許す限り、カジモドという役は演じ続けたい」と海宝くんの口から聞いた言葉を、

ソロライブで歌ってくれた♪Someday を大切に心に残して、

また劇場で海宝カジモドに出会える日を楽しみにしています。

 

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