No day but today

ミュージカル関連をディープかつマニアックに語りたいがために作ったブログです。普段はTwitterでわっしょいしてます→@musicalamnos

ミュージカル『ポストマン』覚え書き2幕②

 

続いています。。

2幕の後半と3幕分。

a-syamu.hatenablog.com

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2幕。

 

(M21マルコの失意。以降)

 

パオロの家。

さらに悪化している症状。

咳き込んで薬を飲もうとするもそれすらも出来ず床に倒れこんでしまうパオロ。

そこにタイミング良く訪ねてきたマルコが助け起こし、薬を飲ませる。

「悪化してる、早く医者に診せた方が良い。」と言うマルコに「どこにそんな金っ!」と少しうんざりしたような様子で返す余裕のないパオロ。

(大まかには2幕頭のやりとりと同じ。)

体調の悪化ももちろんあるだろうけど、マルコを傷つけたはずのパオロの方が罪の意識で不安定になっているんですよね…

ここですぐ返そうとした言葉を一度飲み込んで、落ち着けるように優しく「なんとかするしかないだろ?」と言い直すところにマルコの人柄を感じる。

たぶん出そうになった言葉は変わらないけど、言い方や声のかけ方を変えた。

たとえ自分は失意の直後でも、マルコはそうやって相手のことを考えて気を遣える人なんだと感じるところ。

「すぐに戻るよ…」と告げて漁に出て行くマルコはきっとパオロを医者に診せるためにも働きに出なくてはという想いが間違いなくあったと思うのです。

 

残されたパオロはM20での「神様お願いだ〜」を再び絞り出すように歌う。

天気が荒れてきたところに来客が訪れる。

マントを被り、荷物1つで現れた息の荒いソフィア。

しかしマルコはちょうど前日に漁に出てしまったところで、入れ違いになってしまった。

 

M22 ソフィアの心(たぶん…)

彼のことを忘れようと思って街に戻ったけど、

着いたらすぐに彼に会いたくてたまらなくなって、親に隠れて連絡船に乗り込んだ。

全てを捨ててマルコに会うため戻ってきた。

 

どうして来てくれなかったのかしら、彼を困らせてしまったのかしら。と不安がるソフィアにどうしても嘘の内容を伝えたと言えないパオロ。

それでもなんとか教会の壁に彼がソフィアの絵を描いていたことを伝える。

希望を見出し、彼が戻ってきたら今度こそ自分の気持ちをちゃんと伝える、ありがとうパオロと伝えて出て行くソフィア。

 

まさかソフィアが彼をそれほどまでに愛していたとは。自分がしたことは独りよがりだ。。

自分が手紙の真実を歪めたなんてとても言えない。

とソフィアの行動に自分が間違っていたことを知るパオロ。

2人の願いは、マルコに早く帰って来て欲しい、ということ。

 

余談ですが、、ここまで時系列としてどうなんでしょうね。

私の勝手な想像としてはこんなもんかなと、、

・1日目朝 マルコ漁から戻る、パオロに手紙を託す

・1日目昼前? マルコ、ソフィアの家に行く→綺麗な場所へ連れ出す

・1日目夕方 パオロに俺結婚する宣言

・1日目夜 ♪離れている時間(絵を描き始める)

・4日目くらい 噂になっているとパオロが忠告

・4日目夜 ソフィアに呼び出され手紙を託されるパオロ

・5日目朝 客船来る、♪すれ違い、♪マルコの失意

・6日目 パオロの家で薬を飲ませる、マルコ漁に出る

・7日目 ソフィア戻ってくる

 

 

M23 嵐

不穏な音楽。

船が何日も帰ってこない、どうか無事に帰って来てと願う2人。

特にパオロの憔悴した様子は数日間の焦りや不安、苦しみを感じさせます。

 

M24 -

タイトルがこの横棒だけなので想像するしかないけど、

恐らくこの曲はあの、マルコが命を落としたことを暗示するシーンでしょう。

たぶん♪いにしえの恋歌 のアレンジ。やはりこのメロディーは死に関連したシーンで使われているように思います、

荒れる天気の中、後ろの渡り階段の真ん中まで静かに進みでるマルコ。

その姿には驚くほど生気がない、いやそこにいるのに命の存在が感じられない。

照明がふっと消えて、まるで波に飲まれたように見えた後、そっと階段を降りてはけて行く。それも全部見えるのよ。でもそれでもそこに死を感じる。

ノートルダムの俳優⇄カジモド移行を思い出しました。

海宝くんって存在感のコントロールが自在な人だなと思っていたんだけど、

それは出るべきところで目立ち、不必要なところでは周囲と馴染む、といった種類のものだけでなく、

命を、生きていることを感じる感じないというレベルまでなのね。。凄い人だ本当に。。

 

パオロがソフィアに、

船が港に戻って来たけど、マルコはいない。

船だけが帰って来た。他の漁師たちも見つかっていない。と告げる。

(これ初日は一言目「マルコが帰って来ました!」と言ってそのあとで「マルコはいません…」って言うから、何言ってるんだろう、お前はフランケンのポンコツ執事か?と思ったんですけど←気になった方はフランケンの覚え書き参照w

次に観たときは直ってた。良かった。)

「マルコは大丈夫よ…信じない…」と海へ飛び出していこうとするソフィアを制止するも、「彼が戻っているかもしれない!」と絶叫して振り切って行ってしまう。

 

M25 パオロの祈り

2人のためと思ってしたことが全て無駄になった。独りよがりだった。

それどころかマルコが命を落としてしまった。自分が歪めた真実を知らずに傷ついたまま。

せめてマルコがソフィアの想いを知っていれば。

自分が変わることができれば…

潰れそうなほどの後悔と、せめて残されたソフィアに幸せな人生を送って欲しいという切実な願い。

パオロの苦しげな歌唱に胸が締め付けられる。

 

そこに♪いにしえの恋歌を歌いながら通りすがった少女、パオロに気づき「郵便屋さん!」と声をかけるけど様子がおかしいので「どうしたの?」と心配そうに。

隣に座った少女は「天国に手紙を届けられたら良いのにね」と呟きます。

(事情を知っているわけではないと思う。だからこそパオロも少し驚いてる。)

2幕初めに遠慮がちに取り出した赤い封筒。

少女は喧嘩をして酷い事を言ったまま亡くなってしまったお父さんに謝りたくて手紙を書いて。でも書いたら捨てて。でもどうしても書いてしまって。繰り返している。

「本当は届けたい。。」

そんな少女にパオロは自分が届けようか?と提案をする。

「僕は郵便屋さんだから。それに少なくとも君よりずっと早く行ける。」

それならと手紙を託した少女は「ありがとう!少し元気が出た!」と微笑んで去って行きます。

後悔と絶望と、残る命の短さに押しつぶされかけていたパオロは、ここで使命を見出したんだと思う。

少女の手紙を天国の父親に届ける、そして事実を伝えられなかったソフィアの手紙をマルコに届ける。

ここの柚花ちゃんのお芝居もなんとも好きでした…

年齢的にもちょうどあどけなさと大人っぽさが混じり合う時期なんでしょうね。

大人びた様子から一転、「本当はとどけたい。。」ってつぶやきがたどたどしくて。

 

M26 あなたの絵

マルコが絵を描いていた教会の壁の前に座るソフィア。

「鐘が鳴る教会に〜思い出は苦しくて、会いたくて」まで壁を見つめて、それから客席の方を向いて。

tekkanさんの事前番組で歌唱披露があった曲ですが、本番の方が何倍も素敵だった!

「澄んだ瞳輝いて水平線見つめてた あの眼差しに恋した そうよ心から」

この歌詞が、あまりに海宝マルコにぴったりの言葉で、聴きながら、

あの、ソフィアを連れ出して嬉しそうに遠くを眺めていた姿を思い出す。

ソフィアと同じように客席もきっとその輝く瞳に恋をしていたんじゃないかなぁ。

 

タイミングは忘れてしまったけど、大きな動きの少ない歌唱の中で、一箇所ソフィアが両手をふっと広げます。

たぶん、「私も生きていけるわ、そうよこの場所で」あたりだった気はするんだけど。

そのタイミングで真っ白な強いライトが差し込むのがとても印象的でした。

他の作品でもだけど、やはり真っ白な強い光って天からの光のような、亡くなった命の澄み切った輝きのようなイメージがある。

マルコの存在を感じさせるとともに、ソフィアを力づける天からの光のように思ったなぁ。

 

箱入りで、世間知らずだけど強さが垣間見える時のあったソフィアが、

哀しみの中で本当の強さと前を向く力を得たような、そんな感覚でした。

あどけなさが残る瑞々しい少女が地に足をつけた女性へと成長する姿を等身大で描いた小南ちゃんのソフィア。

素敵でした。

 

M27 別れ

ソフィアのもとに訪れるパオロ。

手にはブーゲンビリアの花束を待って。

「あらブーゲンビリアね」「満開に咲いていた」「良い香りだわ」「きれいだ」

(ザクッと調べただけの知識によるとこの花にはあまり香りはないそうですが←)

 

旅に出ます、長い旅になるかもしれません…と別れを告げに来たパオロ。

ソフィアは身体は大丈夫なの?と問いかけますが、

パオロの言う長い旅は、決して戻らぬ旅。マルコに会いに行く旅。

やつれきって生気のない様子。

パオロはソフィアに、マルコに手紙の真実を伝えられていないこと、自分が全てを歪めてしまったことを告白しようとします。

何度も言いかけては上手く言葉がです、踏ん切りがつかないパオロ。

そしてきっと全てを察したソフィアは彼の手を取って力強く握り、首を横に振ります。

「言わないで。」と言うかのように。

 

M25のパオロの祈りであったように、ソフィアにせめて新しい幸せを掴んで欲しいと伝えるパオロですが、

ソフィアは「私なら大丈夫」「人を愛することは2度とないから」と静かに微笑んでブーゲンビリアの花を胸に抱える。

 

解釈によって変わってくる気はするけど、

私としてはソフィアがパオロの口から真実を言わせず首を横に振ったのは、「言わないで。(きちんと言葉で聞いてしまったら耐えられない)」という気持ちが大きかったんじゃないかと思っている。

ようやく前を向いて1人で立てるようになったけど、それ以上の強さを持てる段階ではなかっただろうし、

決して「言わなくて良いのよ。分かってる。許すわ。」ではないんじゃないかと。

これがソフィアの限界だったんじゃないかと私は思うし、結果真実を告げて謝罪する機会を与えられなかったパオロはとても辛かったと思う。

でも、これが現実。誰もが救われるハッピーエンドばかりではない。

 

残ったソフィアも、親を裏切って島で1人暮らしていく。ただマルコを想いながら。

その後何が起きたかは分からないし、もしかしたらその時の想いを曲げて別の人生を歩んだかもしれない。

でも彼女もまた辛い。

 

ブーゲンビリア花言葉は、「情熱」「魅力」「あなたしか見えない」だそうです。

個人的にはマルコのイメージに合う花言葉だなと思っていたけど、

このシーンでのソフィアはあまり幸せではない意味で「あなたしか見えない」だったりもするなと。

 

ソフィアに静かに「いってらっしゃい…」と見送られたパオロが立ちすくむ道は、天国へと続く道のようにも見えます。

「許してください。とても許されることだとは思っていないけど、でもどうしても償う方法が分からない。

約束します。僕は必ずマルコに会って、あなたの手紙を彼に渡す。」

 

M28 時を越えて

1幕ラスト、♪届けたいあなたに と同じメロディー。

パオロの「旅立とう今こそ 届けよう手紙を 再び出会える奇跡を信じて」という言葉から始まり、ソフィアとパオロの想いが交差する。

そして上手へ続く終わりの見えない道から姿を表す眞人。

「誰かが呼んでる僕の名前を 聞こえる遠くで誰かの祈りが」、その歌声がパオロとソフィアの歌声に重なるように聴こえてきたとき、ふっと体の力が抜ける。

深くて柔らかくて、染み入るような歌声。あぁやっとその時が来たんだとホッとするような。

この曲はまさに時を越えて3人が、厳密に言えばパオロ、ソフィア、マルコ、眞人の心が近づいたタイミングなんじゃないかと思う。

それまで傍観者としてこの過去の事実を見ていた眞人が、ついにその空間に触れ、混ざり合う。

途中まではわりとバランス良く3重唱になっていますが、ラストに向けて眞人の声量が爆発していく。

太く強い眞人の声の周りにパオロとソフィアの歌声が吸い寄せられるような、

太陽とその周りの惑星のような印象を持つあの曲の構成はどこまで意図されているんだろう。

2人の想いと、そっと動き出した眞人の想い。それがどんどん眞人自身の想いや「今こそ知らなくては」という感情が溢れ出していくように感じられた。

受け取り過ぎかもしれないけど、実に効果的だったなと振り返れば思います。

 

曲が落ち着いてくなか、パオロは眞人に小さく微笑んでそっと手紙を差し出す。

それを見て目が合って、微笑んで手紙を受け取ろうと手を差し出す顔はマルコなんですよね。。

パオロに「ありがと!」って声をかけながら笑っていたマルコの表情。

手紙を受け取るよりも早く完全に暗転。

 

第3幕

教会のオルガンに突っ伏して寝てしまっていた眞人。

目覚めて目からこぼれる涙を指で拭って、ぼんやりと何かをつぶやきます。

多くは「てがみ…」説。楽の私含めごく1部「ゆめ?」説。笑

どちらも流れとして違和感ないんじゃないかなとは思うんですが、

おそらくこの時点で2幕の具体的な内容の記憶は覚えていない、でも体感というかなんとなくその体に余韻が残っているんだろうし、

最後にマルコがパオロから手紙を受け取った感覚が残っている(としたら「てがみ」とつぶやく方が繋がる。)のかもしれない。

 

起き上がり、美月の絵を描いたスケッチブックを手にとってぼんやり見つめていると、

そこに「おはようございまーす!」と現れる美月。

(ソフィアの余韻が残っているので同じ顔をした美月のキャラに一瞬ついていけないw)

「もしかしてずっと描いてました?」「はい…いや!寝てました!(慌ててスケッチブック隠す)」というやりとり、

これ1幕だったら客席からクスッと笑いが起きそうな(というか1幕で何度かあったような)かけあいなんだけど、

2幕を観せられた客席は(もちろん自分を含め)余韻にぼわーんとなり過ぎてとても声を出して笑えないというか、ふっと微笑むくらいしかできなくて静かな感じで面白いですw

 

何をしにきたのか?と聞かれて、「ときどき掃除を!ボランティアで!?」と慌てる姿に美月も気になってなんとか理由をつけて会いに来たんだなと分かって可愛いね。。

「今日帰っちゃうんですか…」って明らかにしょんぼりしてる美月(可愛い)に、

「お願いが。あなたの絵を描かせてください。」と頼む眞人。

承諾してくれた美月に、ありがとうと言うように穏やかに微笑んで椅子に座るように促す眞人好き〜〜〜(我慢できなくなってきた)

 

M29 奇跡

椅子に腰掛け、美月の絵を描き始める眞人。

戸惑ったような、恥ずかしげな美月を相手にどんどんスケッチブックに描いていく。

M21マルコの失意と同じメロディー。

眞人「微笑む君がそばにいると心の奥の記憶溶けてく」

美月「あなたが描くこの世界に私も一緒に生きている」

2人「つかの間に見る夢だとしても 愛することを思い出した

今ここにある奇跡を離したくない」

とても美しく繊細なデュエット。

でも眞人は突然、「もう行きます。」と荷物を取って教会を出て行ってしまう。

戸惑う美月。(そりゃそうだ)置き忘れていった眞人のオルゴールを見つけて「あのこれ!」と思わず声を上げるもすでに姿はない。

落ち込みつつオルゴールをそっと開けてみるといにしえの恋歌が流れ、どうして…と驚く美月。

 

 

荷物をまとめて道を急ぐ眞人に出会った英二は驚いて声をかける。

「ご依頼の絵は全て描けました。残りは仕上げてお送りします。」と目も合わせず早口で告げるけど「美月の絵は?」と聞かれてやっと目を合わせる。

上手く描けなくて諦めた。もしかしたら本当に描きたい絵を描きあげてしまったらそこで終わってしまうんじゃないだろうか。

と答える眞人に英二はギリシャの離島の絵の写真を見せてその話をする。

本当に大切なものは失わないと思う。人の心は100年経って上の塗装が剥がれ落ちたこの絵(マルコがソフィアのために描いた想い)みたいなものなんじゃないか。

でも僕はその男とは違います、と言う眞人に、

違うかもしれないけど違わない。大切なのは「今伝えること」なんだ。と説得する英二。

(正直ここの説得は弱い気がする…というか。

パオロはかつて、その瞬間に「真実を伝える」ことをしなかったばかりに不幸を招き、後悔し続けていたはずなので、「今伝える」べきという言葉が出るのは分かるし、

眞人が離れようとしたのも、本当に描きたいものを描けたらそこで終わりかもという不安と同時に、M29でマルコの失意が使われていることもあって、心のどこかでその先の喪失を感じて怖くなってしまったんじゃないかなと思うので理解はできる。

でもじゃあこの2つが綺麗につながって眞人が心を変えて教会に戻れる決定打になるかと言われると、少しピンとこないかなぁ。)

 

とまあとりあえず、美月はまだ教会にいるはずと言われた眞人は引き返します。

その様子を見ていた少女は英二に「郵便屋さん、手紙ちゃんと渡せたね。今度は私のお父さんに会って手紙を渡してね。」と告げて姿を消します。

ここの少女、柚花ちゃんの芝居がなんとも好きでした。

優しげで、でも子どもらしさもあって、同時にどこか儚い実体のないような雰囲気。

 

少女と別れた竜治さんは、

人の出会いはやり残したことを果たすために繋がっているのかもしれない。

僕らのように。(超大意)

この「僕らのように」という一言は英二じゃない、どちらの時代も通じて見えているような言葉だなぁと思います。

だからここの竜治さんはM3同様ポストマンとしての立ち位置なのかなぁと。

 

M30 今一度の出会い

M3ポストマンと同じメロディー。

歌詞もほぼM3と同じかな。。曖昧です。

 

教会に戻ってきた眞人。

美月はこのオルゴールは眞人さんのですか?と声をかける。

母の誕生日に買ったものだけど渡せずになくしていて。

(M2の歌の中で語られていた内容が再び)

どうしてこの曲なのかしら?などと言葉を交わすけど、

「もう東京に帰っちゃったかと思ってました…」とついに拗ねたような本音が漏れる。(可愛い)

「帰りません。帰れません。」

まだ未完成なんです。最後まで描かせてください。描きたい絵を完成させたい。

そう言いながらまっすぐ目を見つめて微笑む眞人にこくんと頷いて「はい」と笑う美月。

(これはもはやプロポーズですね。とんだプロポーズを見せられてますよ!)

 

再び腰掛けて向き合った2人は先ほどとは全く違う空気感。

緊張がほどけ柔らかくて穏やかであたたかい空間。

 

竜治さんが再び、M4インスピレーションを掴もうのメロディーで。

「もう一度会おうこの場所で」

英二でもパオロでもない、やはりここもポストマンだと思います。

(ポストマンが爽やかに歌っている間、絵を覗き込もうとする美月に、スケッチブックをぎゅっと胸に寄せて、まだ!あとでね。ってやりとりとか可愛いことするのであんまりここで竜治さんを見ていなかった。反省。

スケッチブックと美月に交互に目をやって、美月と目があって優しく微笑む笑顔の破壊力たるや恐ろしいものがありました…)

 

軽やかに立ち去るポストマン。

きっと次は少女のお父さんへの手紙を渡しに行くのでしょう。

残った2人はそっと立ち上がり、一緒に遠く(客席のその先)を見つめて、暗転。

 

終演。

 

**********

ちゃんと最後まで書けた!良かった!

ここまで頑張って書き残したけど、ぜひぜひ映像化していただきたいところです…!

 

改めて、とても心に残る作品でした。

今まで日本オリジナルのミュージカルって観る機会がほとんどなく。

(ファミミュはファミミュだし、デスノートとかも音楽はワイルドホーンだし。)

正直少し偏見があったなと思います。昔こんなツイートをしていたのを見つけた。↓

「日本オリジナルに日本を生かそうとする結果、和名、和物、着物、戦国、とかになりがちでそれが原作もなく完全なるオリジナルです!と言われるとその時点であんまり面白くなさそう…というイメージなのが問題だよね。」

今回のポストマンは、全く違う方向性の作品でした。勝手に縛られていたのは私の方だった。

 

1番の魅力はやはり楽曲の良さだったかなと。豊かで美しく心に残る曲の数々。

恋のデュエットにしてもこんなに魅力的で、どれも違う印象の曲が作れるのか…というのは衝撃でした。

しかもじわじわくるタイプで、回数を重ねるほどどんどん頭から離れなくなる。仕事が手につかなくて割と困る。笑

 

そして日本オリジナルが強みになっているのが翻訳ミュージカルであちゃーとなりがちな訳詞。

柔らかくて素敵な言葉が綺麗にメロディーにハマるとこんなに心地の良いものかと驚きました。

 

さらにはシンプルでも客席の想像力を上手く煽ってくれる確実な演出。

具体的な「モノ」は本当に少なくて、手紙やスケッチブック、オレンジ、小瓶などの小道具がいくつかあるくらい。

あとは白いブロック(?)を動かすことで色んな場面が生み出される。

(ダディのトランクを活用した場面描写を思い出しました)

 

もちろん作品を表現する役者は言うまでもなく。

いやもう海宝くんに関しては3日くらい語ってられるので逆に割愛するんですけど、

眞人とマルコという2役を演じる海宝くん本当にむっちゃくちゃ魅力的でした。何から何まで。歌も芝居もビジュアルも←

作品のレベルを爆上げさせていたのは彼の歌唱力だったと思います。

 

竜治さん。アンジョで芝居の組み方ががっつり好みな気配はしていたのですが、間違いなかった。

良い芝居をされる方ですねほんと!好き!

この作品を観客にどう感じさせるかの決定的な鍵を握ってるのは、英二パオロポストマンを演じるこのポジションの役者さんかなと思ったりします。

たぶん竜治さんだったから今回の『ポストマン』になったんだろうなと。

 

小南ちゃん。

コゼットではあまり回数を観られず印象が定まりきらないままだったので、今回じっくり演じる姿を拝見できたのは良かった!

やはり若さは圧倒的な武器だと思うんですよ。弾けるようなみずみずしさ。

変にひねらず素直にまっすぐぶつかる芝居は役にも合っていたし、芸達者な男性2人と上手くバランスが取れていたんじゃないかなぁと。

特に♪あなたの絵 の表現が回数を重ねるごとにぐんぐん素敵になっていった。

ただどうしても1曲高音が下ずってしまうのがとても惜しかった。音域的には出る範囲だと思うので綺麗な歌声という武器を早く固められると良いなぁ。

 

音源化、映像化、そして再演。

全力で待ってます!!!

2017年ラストに素敵な作品をありがとうございました!

 

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