ゆるゆると語りながら第3弾。
カジモドを取り囲むプリンシパルを。
四季においてここまで対極なWキャストが揃ったことがあったでしょうか。
いや、(私の知る限りでは)ない!
今回はエスメラルダのお2人の記録をまとめます。
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エスメラルダ
岡村美南さん
ピコ、ジェリロ、エルファバ、ポリー、アニタと主要な役はだいたい観劇済みの美南さん。
正確で安定した歌唱力には信頼を置いていました。
エスメラルダもきっと似合うだろうなぁと期待を持っていましたが、、裏切らない。むしろ越えてくる。
歌唱力に磨きがかかり、タンバリンや酒場のオラオラ系(?)も
God HelpやSomedayのバラード系もそれぞれしっかり聴かせてくれる。
世界の頂上で も転調でどんどん空間が広く大きくなっていく曲調の伸びやかさと美南さんの歌声の伸びやかさが合わさってすごく素敵!
歌唱に関しては抜群の安定感です。
初日明けてすぐから異様に完成度が高くて怖いほどでした。。
エスメの衣装は美南さんの長身が映えるね。
美南エスメラルダは美しくしなやかで華がある。強くて慈悲の心があって気高い。
明るく健康的な美しさで人を惹きつける。肩とデコルテがとっても美しい。
歌声も美しく力強い。達観的で大人びてる。
彼女があんな目にあう理由なんて何1つないのに。
強い彼女が耐えられずに泣き崩れたり顔を歪める姿はなんて胸が痛くて、それでいて魅力的なんだろうか…
彼女の優しさは聖母のようでカジモドへの優しさも母性を感じる。
美南エスメラルダはただジプシーに生まれたために疎まれる立場にあるけど、
物の考え方をしっかりと持ち、包み込むような優しさと慈悲を持って生きる強い女性。
その賢さや生き方がさらに彼女を美しく見せ、魅力を深めている。
強く生きているし1人でも生きていけそう。だけどやっぱり強いだけじゃない。死は怖い。
美南エスメ清水フィーバスのSomedayはそこに絶対的な正しさがあって、いつかその日は来る、正義が勝つ日が来るんだとそんなメッセージを感じる。
この気高さ、強さを見ると、早く美南さんのアイーダを観たいと思わずにはいられない。早く再演をー!
宮田愛さん
妖艶なダンスで人々を魅了するけど本人はごくシンプルに物事を見ている地頭の良さそうな愛エスメ。
結構ハスキーボイスです。
まずタンバリンのリズムが素晴らしい…まさに男たちが魅入られる踊り。
歌い方も良い意味で品がなくてジプシーっぽさが強い。こう来たか!
愛さんはダンスに色気がある。自然と目を惹きつける才能。
一体どこがこんな色っぽいのかなぁと思って見てた結果、腰の入れ方とタンバリンの激しい叩きつけ方に私はクラっとくるっぽい。
ちょっとした脚上げのときのさらっと高く真っ直ぐ伸びる脚がたまらないです。
でもこの妖艶さはただ生まれ持った能力で、本人も「みんなも楽しんでくれるからお金をくれる」としか考えていなそう。
タンバリン後の「仕事だ、奴らを並ばせろ」でクロパンの肩に手を置いてさらっと色気出して軽く挑発するのがまたエスメラルダだなって。
達観しているというよりただシンプルに物事の本質を見ることができる賢さがあると思う。
彼女の優しさは対等で平等。だからカジモドへの接し方も姉、友人への愛情のように感じたかなぁ。
愛エスメは、フィーバスの僕と来てくれに対する「だめよ」も、カジモドの僕が守るよに対する「だめよ」もだいぶ似た色。
だから余計にカジモドを友人として対等に扱っている気がして、最後の「あなたは本当に素敵な友だちよ」につながるんだよなぁ。
ジプシー娘という生まれ上1人で生き抜く強さを持たざるをえなかった。
でも本当は誰かといたかった、誰かに頼りたかったのが分かる。
奇跡求めてのラストでフィーバスの腕をぎゅっと掴んでるのがなんかこうとてもしっくり来るのよね。
クロパンの仲間を見捨てないって言葉への感謝も本気だと思う。
奇跡求めてからいつかの流れの芝居は、強気な仮面がはがれて素の華奢で年相応の弱さが見える女性がリアルで、痛々しくて。
怯えや悲鳴がとてもリアルで、力に抗えない若い女の子なんだって思い知らされてとても辛い。
エスメが「少しだけ待って」っていうのも何故だかはっきりと伝わるし、佐久間フィーバスの「…そうするんだ」までの間も素晴らしいし、「私が旅立つときに」に対しての反応もそれを制止するエスメもトータルで見事。
愛エスメ佐久間フィーバスはただただそこに2人の男女がいて必死に互いを抱きしめて希望を未来に託す感じなんだよね。
一度しっかりフィーバスの胸に抱きとめられるのに脱力して崩れ落ち、手をすり抜けてしまうのがまた辛い。
愛エスメの男を惑わす力は別に意図したものではなくて元々備わっているもの。「どうしてあたしなの⁉︎」のセリフが辛い。
そんなつもりないのに勝手に惚れられて命まで奪われることになるなんて悲劇でしかない。
みんなまるで本能で引き寄せられるように近づいていく。
自分でもなぜだか分からず理由を知りたいけど、もう衝動が強すぎてどうにもできない。。そんな感じ。
それまで聖職者として揺るがず生きてきたフロローが初めて理性を失うほどに心奪われるのは愛エスメラルダの方が説得力があるように思う。
魔女と言わしめるほどの妖しい魅力がある。
エスメのお二人は表現手段と芝居の持ち味が真逆だなと思います。
美南エスメラルダ…歌踊り容姿→太陽。芝居→月。
強みは歌をはじめとした声、立ち姿から溢れる強い意志。
愛エスメラルダ…歌踊り容姿→月。芝居→太陽。
強みは生き生きとしたダンス、そしてリアルな芝居。
まさに甲乙つけがたく、しばらくどちらかを観ていないと恋しくなるこの辛さ!素晴らしいWキャスト。
ここまで色が違うと組み合わせ次第で全く違う印象になってくるので嬉しい悲鳴でした。
今後エスメラルダも増えていくでしょうけど、どちらかの真似ではない新たな方向性を見せてくれたら良いなぁと思います。
最終オーデにも残っていたし、開幕から携わってきたキャストだから世界観の理解はばっちりだし、きっと素敵なエスメを作ってくれるんだと思うんだけどな!
同じ理由で鈴本くんのカジモドデビューも待っております。
東京公演終わるまでには残りのプリンシパルも書いておきたい。。けど間に合うかなぁ。
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