No day but today

ミュージカル関連をディープかつマニアックに語りたいがために作ったブログです。普段はTwitterに生息→@musicalamnos

お月さまへようこそ①

お月さまへようこそ。

2018.4.25〜29

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結局私の答えはこれ!というような確固たる解釈にはたどり着けなかったので、覚えておきたいことや感じたことをポツポツと。

でも答えに出会えなかった結果もこれで良いのかなと思ったりします。

それでも毎回いろんな言葉や表情に心を刺激されたのは間違いなくて、観劇前と後で確実に自分の心の重さが変わっているのを感じた。

楽しかったし、好きな作品でした。

(記事中、たぶんきっちり合ってる台詞もあるし、ニュアンスに過ぎない台詞もあります。)

 

毎回開演前5分前くらいから回替わりで出演者が1人(楽だけ女性2人)が登場して一曲歌ってくれました。そして前説、からの一篇目の準備でネクタイとワイングラスをセッティングしていく。

曲は人によって違ったけど基本的には月や夜と関連する曲(よね?)。

ミュージカルではないのにまあ歌える方が揃ってるのでなんとも贅沢でした。

耳を傾けつつ舞台後方の大きな月を見上げてこれから始まる世界に心を整えていく時間が設けられているのが良いよね。素敵。

初日はそれどころじゃなかったけど←

第1篇「赤いコート」

ジョン(海宝)とメアリー(宮澤)17歳の一夜。

 

海宝くんはネクタイを締め、エマちゃんはイヤリングを身につける。

段差に腰掛けてワインを口に含み、目を閉じる。

その目が再び開いた瞬間に「あ、始まった」と毎回思ってた。役に入る瞬間。

中央を囲むキャストが順番に「やあ、メアリー!」と声をかけ、ジョンの立ち上がりざまの「やあ、メアリー!」で始まる。

 

思いっきりティーン。

照れくささよりほんのりにじむストーカー感にぞわっとすることもあった。

「海宝直人が演じてる」ことで誤魔化されてる気がするけど怖いぞわりと。。

想いが通じていれば問題ないし、愛の強さとも言えるけど、人間ってこういう感情や行動のやりとりがたくさんあってそれがこじれると怖いよなって思ったりしました。

それを感じるのが正解かは分からないけど、ティーンの溢れ出る感情や初々しさに顔が緩みながらも毎回それを感じていたのは事実です。

 

印象的だなと思うのは、「あなた」「きみ」と呼びかける回数の多さ。

特にメアリーは前半「あなた、〜〜」とすべての言葉の前につくんじゃないかというレベルで、

ジョンは「きみが〜」「きみの〜」という使い方が多かったように思う。

 

初めは静かに座ってるように見えたジョンが中には溢れんばかりの想いを抱えていて、メアリーとやりとりするうちに、彼女を行かせまいとするうちにどんどん高ぶって行く様子が手に取るように分かって、好きでした。。

たぶんこの役は左手をお尻に回すのが緊張するときの癖なんだろうなと思います。

勢いの良い「メアリー好きだっっ!!」からの「言うべきじゃなかった…言うべきじゃなかった…」が可愛い。。

「言うんじゃなかった」じゃなくて「言うべきじゃなかった」んだね。

2回目で客席向きで顔を手で覆うときの手の大きさと美しさは計算されたポイントに違いない。

 

気持ちの高ぶりとともに声も高くなって早口気味で、でもそこで聞き取りにくくなることは決してない。

「どうしよう…道まで美しい…」の途方にくれたような感じと、キラキラ輝く道を見つめるその目がね、たまらんです。

街灯についてのやりとりで「綺麗だ…」と言うのは街灯の方を見てはいるけどメアリーについてもでもあるんだろうなと思うし、どこか3篇目を感じさせる気がする。

何度かのキス、ジョンからするときのかがみ方とメアリーからするときの背伸びの、少し体勢が変わる感じ、絵面として美しいわ…と見惚れていた。

 

「歩くの好きなんだ」「どこを歩くの?」「きみの家の近くとか、よく歩くよ」「…好きだよ?メアリー」はやはり一瞬垣間見えるやばさがやばかったです←

なんだろうなぁ、エマメアリーは客席のように引いてはいないんだけど、慌てたように「好きだよメアリー」と告げるその少し上目遣いのすがるような弁明するような響きにギリギリのぞわっとを感じさせる。

海宝くんのこの辺の感じを突き詰めた危うい役観たいなって思いました。

 

メアリーがコートのことを話すのをなんとか理解しようと聞く姿の、角度(真横向いた顔から、少し斜めで腰掛ける体の向きから、脚の流し方からとても良い…!)と真剣な眼差しと小さくコクコクと頷くのがたまらないね。

むちゃくちゃ好きで一言も逃さず理解したいって思いがびっしびし伝わる。

でも途中すっとは理解出来なくて、「分かるかな?」と問いかけられたときに否定はしないけど肯定もできない正直さと、分かりたいのに分かりきれない己へのもどかしさが、良い。。

そこから彼女が言ってることと自分の記憶や感覚が繋がった瞬間の表情の変化が、本当にパアアアアッ✨と顔が輝いて嬉しくて仕方なさそうで、可愛い。

この辺りから顔がキリッとしてくるんですよね。

 

途中から「君だって泣いてるww」で笑い混じりになって。

でもその笑い混じりはジョンの気持ちも高ぶってるのが分かるかなり高めのトーンなのよね。

「知らなかった。シェア出来ること。」「シェア出来なかったら辛すぎるよ。」(台詞曖昧です)みたいなやりとりで、この辺りの台詞違和感覚えさせずに言うの難しそうだなと毎回思ってた。凄いなぁと。

 

「散歩でも行く?」の突然の格好つけとイケボがアラジン。

実際提案を拒否されてるあたりもアラジンww

でもそのメアリーの「ここにいましょうよ。」(ここで座ってるところをトントンするの好きだった)に、格好つけたのをふっと解いて柔らかい雰囲気でそうだねって感じで腰掛けるところがとても素敵で、

アラジンがジーニーに「どう?」って格好つけたのを解いて「ありがとジーニー!」って笑うのが好きだったなぁとか思い出したり。

 

2人で腰掛けて「好きって言って。」「…好きだよ」は言い方や間が固まってなくて毎度ウッってなってましたww

照れ隠しにちょっと格好つけてみたり、ちょっと間をおいて素直に微笑みながら言ったり。

「あなた格好良いわね。お母さんに言われない?」「…言うね。」もちょっとおどけて格好つけてみたり(鼻の下に触れがち)、カジモドの「うん、そうだよ」みたいだったり。

ここの台詞とか眞人の「モテないわけじゃないです💢」とか三平ジャスミンの「私って可愛い?魅力的かしら?」とか容姿の整った人がその可愛さや格好良さを認めたり自認してるのが伝わる台詞が好きらしいです、私ww

 

「あなたの目、キラキラしてる。」

「知ってる、キラキラしてるって、感じる。」 そう言ってふっと見上げた先には満月があるんだろうなぁ。

(告白前?かな、もメアリーに「あなたの目、キラキラしてる」と言われてさらっと早口で「知ってる」と言うのよね。でもそのときとは雰囲気が全然違う。)

満たされたような笑みを浮かべたそのタイミングでライトダウン、曲が始まり、ゆっくりとネクタイを緩める。

少しずつ変わっていく歌詞なので全然覚えきれないけど

2文字ずつ区切るようなエマちゃんの「守ろう この愛 いつでも 夢見て」と海宝くんの静かな「浮かぶ(?)月 満ちてゆく 生きてゆく 生きてゆく」がとても良い感じで絡み合い、世界の境界線が曖昧になっていくような感覚になる。

この時の2人はもうすでにジョンとメアリーではなくて、そのまま立ち去る女性と、最後次の男性を演じる西川くんへのバトンタッチをするように歌いかける男性。

 

第2篇「どん底

ポエット(西川)とラブ(吉田)。

 

6篇の中で1番抽象的な作品なのかなと思う。

そのまま詩人とその恋人かもしれないし、「詩」と「愛」の存在そのものかもしれない。

呼びかけに「私のポエット」「僕のラブ」が多いのが印象に残ります。

耳にした言葉をそのまま落とし込めない台詞が多い。

もちろんそのままの意味でなくてなにかを暗示していたり、ということなんだろうなと思いつつあまり調べたりはしなかった。

・図書館の許可証、削減

・甘い水と大地の恵みの豆

・豆を食べて

・お金が綺麗な緑色

・あなた最近子ども。狼がいたのに怖くなかった。

・折れた鉛筆

・怖くなんかないさ

外から帰ってきたポエットが黄色の上着を着ているのも記憶に残る。

 

なんかいくらでもどんな作品としても捉えられる気がしてね。。

理不尽に奪われ削減される自由や権利、才能。魂が与えてくれる希望や力、どんなときにも近くにいる愛。。

どんなときにもそばにいても、その姿に気づかず見ることをしなかったらないように思ってしまうのが愛なのかなと思ったりもして。

印象的なのは徐々に照明が暗くなっていて、気づけばポエットにはまったく光が当たっていないこと、そして箱が開かれ魂が放たれた瞬間明るい光に包まれ背筋もスッと伸びた姿があること。

最後の台詞、西川くんの「怖くなんかないさ。」の響きがまた凛としながらも子どものような声色でもあってとても締まりが良かったなぁ。

畠中さんがいかにも怪しい存在で2回部屋を訪れるんだけど、2回目のお金を持ってきたときの異質な存在感とギラついた底なし沼みたいな目が凄かった…

西川くんが芝居を固めずに結構変化をつけてきていて、その結果沙良さんがつられてどんどん熱量が上がっていたように感じて。

「さくげん、だよ」に応える「さく、 げん、なの」が好きだったなぁ。

1篇と同じようにライトダウン、曲の始まりとともに次のシーンへの移行。

同じテーマの曲だけど、ラストで「Ahーーーー」と声を上げていく2人。

(どっちも歌上手いものだからこのハモリというか重なりがバチっとはまってとても良い…!)

そこにざわめきが混じって3篇へ。

 

第3篇「星降る夜に出かけよう」

ドストエフスキーに似てる彼(海宝)と太れない女(宮澤)

 

そういえばこの作品、2人の名前は明かされず終い、だよね?

グラスを片手に腰掛け、緑色のライトに照らされる海宝くん(の役)。周囲を残りのキャストが取り囲み、彼に向かって色々とまくしたてている。(幽霊と怪物)

それぞれ何を言ってるのか聞き取れなかったけど畠中さんのお声がよく響いた。

「魂をよこせ!魂をよこせ!」と2篇での台詞とつながっていた時もあるし、「まわせ!まわせ!」と聞こえた時もあった!

でもまわせとは…?聞き違いかな。

沙良さんが海宝くんの髪の毛をファサファサさせてたのも印象的ですw

女が椅子から立ち上がり「私が痩せてるからって嫉妬しないで!」と叫ぶ瞬間、男を照らす緑のライトが消えて周囲の人たちも姿を消す。

 

全体としては、中身のない付き合いや会話に嫌気のさしている、「真剣な」話をしたい、「真剣に」なりたい2人の話といったら良いんだろうか。

 

比較的早口で女がわー!っと大量の台詞を言っていて、なかなか覚えていられないんだけど個人的にはなかなか刺さる言葉が多かったです。

この3篇は自分自身に刺さってくるところが結構あった。

 

お友だちは布製らしきお人形。

稽古場に大きなクマのぬいぐるみ(ジローでしたっけw)がいたのはお人形の稽古場代役だったんだなと初日に把握しましたww

その友人と話しながらも、近くのテーブルにいる男に話しかけなければと行動する女。

「彼、ドストエフスキーに似てる…」という台詞、なんだか無性に声に出したくなる。声に出して読みたくなる日本語。

自分のテーブルを離れるために頭から水をかぶり、「あ、頭に水零しちゃったみたい!」というコント感とお友だちを始末するために段ボールに箱詰め、「無関係!」のシールを貼り付けて投げ捨てるシュールな感じww

後者はそれを少し身を乗り出して真顔で見ている男の様子もツボでしたw

 

柄シャツに縁なし眼鏡、髪はモシャッと気味でパーマが目立つ。1篇とはまた雰囲気がガラッと変わる。

格好良いぞ!!

(共通するものとしてはワイングラス。1篇では一口ワインをふくんで始まったけど、ここでは淡々とグラスを口に運んでいる。)

 

あなたの周りにつきまとっているのはなに?と聞かれて「幽霊と怪物。」と答えるところで(ノートルダム…鐘…)と心がざわついたのは私だけじゃないはずだw

どこがと言われると上手く表現できないけど、「ひとりぼっちなの?」「ものすごくね。…希望なんてない。」というやりとりが大好き。

あとは「真剣な話をしたいの?」「ええ、私あなたと真剣な会話をしたいの!」と言った瞬間静まる幽霊や怪物。

カフェのざわめきかと思っていたけど彼らのざわめきでもあったらしい。静まった瞬間はっと自分の周りを見渡し、少し活き活きした嬉しそうな感じで、

「真剣な話となると奴ら静かになるんだ。むしろ協力さえしてくれる。真剣な話を尊重してるらしい。」

って流れもやたら好きだった。

 

「ロマンスを求めてるの?!」ってこの語尾が「の」になる台詞も好きで。

海宝くんの「〜の」の響きが無性に好きらしいw

「女性と一緒に暮らそうとしたことがある、女性と仲良くなろうとしたことがある。(でも傷ついた。)」みたいな台詞の、”容姿が良くて異性が寄ってくるんだけど性格が内向的かつちょっと変わってるから勝手に幻滅されて傷つく可哀想なタイプ”感が半端なかったです←

 

女が”お友だち”に告げる、

「頭が馬鹿なら簡単に許せるのよ。でも(中略)あなたは心が馬鹿なの!」

「私たちの関係は心のない嘘そのものだった!」とか、

男に話す、

 「そりゃ傷つくわよ。真面目に生きてるとものすごく傷つく。」

「お姉ちゃんは痛みに対して馬鹿になってる。」とか、このあたりの言葉は覚えておきたい。

自分はいまどう生きてるだろう、どう生きたいだろう、そんな部分に刺さったなぁ。

 

女の言葉に「なんだか気分が楽になってきた!」と晴れやかな表情になる男。

初めは他の人と同じだと思ったけど、「今は君が綺麗だって、分かるよ。」この響きと女を見る男の目にどこか1篇を感じる。

「星いっぱいの夜へ出かけましょう!」という言葉とともにさらに大きな月(の布)がバッと下りてきて、舞台の周りには鮮やかな光が。

たったこれだけで世界は、星が輝く宇宙に変わる。これだから舞台は凄い。

ここに来ると2人ともさっきまでとは「全然違う」そうです。男の幽霊や怪物もいなくなってしまう。

女が「シャンパン!」と言うと舞台両端で背を向けた2人が舌を「コッ」って鳴らしてシャンパンの栓を抜いたような音を立てる。

友人はここの海宝くんの舌鳴らしがこの作品の中で一番ドキッとしたと言っていましたwwポイントは人それぞれねww

細かい表現が思い出せず悔しいんだけどシャンパンに対しての「少しの電流を飲み込んだみたいだ…」みたいな言葉が特に詩的というか洒落ててなんだか好きだなぁと思っていた。

その距離のまま女が「キスして!」と言うのだけど、ここは完全に1篇に重なってくるところかなと。声のトーンも含めて。

「どうやってここにきた?それが分かればまた来られるかもしれない…」と言うと男に、「真剣になれたから、来られたのよ」と答える女。

お互いに振り向き片手をまっすぐ伸ばしあいライトダウン。

 

やはりこの物語のキーワードは「真剣になること」なのかな。

1篇と全く同じ2人だけだけど、見た目も声もキャラクターも雰囲気も全然違う。

個人的には1番、自分自身のことを考えさせられたお話でした。

 

ここでいったん前半おしまい。