No day but today

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2017レミゼを語る ⑥海宝マリウス前半

ここに到るまでにレミゼで5回も書いてしまった。大好きかよ!

いやでもなんかやっぱりレミゼって偉大な作品だなと思いました。

音楽の美しさもだし、何といっても作品が持つ圧倒的なパワーがある。

やはりレミゼは「人々」の物語だなと。

 

この作品は「愛」がテーマだと言われがちで、まあ実際そうだし、

バルジャン、ファンティーヌ、コゼット、マリウス、エポニーヌと愛のバトンが繋がっていくのも大きな軸でしょう。

でも私はその愛も、憎しみも、醜さも、戦いも、絶望も、死も、希望も、

全てをひっくるめて各々の人生を生き抜く「人」の、「人々」の、物語だと思いました。

 

ついに最終章です。

もうひたすらに海宝マリウスが好きだよって話。

タイトルを見ていただければお分かりかと思いますが、、長すぎて前半後半に分けました。

本命 海宝直人マリウスの話

私のレミゼデビューはもう8年ほど前になるのですが、、この作品でマリウスを理解出来たことはなかったんです。ずっと。

そもそもマリウスを気にしたこともあまりなかったように思います。

鈍くて優柔不断お坊ちゃんで周りを不幸にして運だけは良くてしれっと生き残るしヒロインと結婚するしなんなんだお前はくらいの感じ。

書きながらもうこれは私の感性にも問題があったように思いますが汗、

それでもまるで興味を持てなかったマリウス。

 

今期、海宝マリウスが1つの答えをくれました。

1人の人間としてはっきりと納得のできる道筋をひいてくれた。

やっぱりマリウスという人間に手放しの好感は持てない。

でも、レミゼラブルの世界で生きるマリウス・ポンメルシーという人間が何を考え、どうしてその行動を取ったのか、その部分にモヤモヤを感じることはなくなりました。

筋の通った解釈はもちろん、そこに至るまでの道筋を説得力を持って描き出せる芝居や歌唱がやっぱり海宝くんの素晴しさだなと。(べた褒め)

 

観劇後にインタビュー記事を読んで大いに納得したんですよね。

やはりそれを表現したくてあのマリウスになっていて、ちゃんとそれを受け取ることができたなと。

↓インタビューはこれ

allabout.co.jp

マリウスは「自分の中で持て余しているエネルギーがすごく大きくて、でもその向け先をはっきりと分からないでいる(要約)」。

その他ももうね、このインタビューの中にある程度答えが提示されていると思います。

開幕前のものなので多少は今年度ならではの部分があるにせよ、やはり軸は大きく変わらないかなと。

未読の方はぜひ読んでみてください♪

 

((とはいえ答えが言葉で頭に入ったからといって、観劇の中で体感して腑に落ちるのとはまた別問題ですよね。))

 

要約からの詳細。

マリウスはざっくり大きく分けてこの4パートかなと。

第0段階バイトもあるけど。笑

詳細が引くほど長いです。。

要約

⑴コゼットと出会うまでのマリウス

まさに堅物。彼の持つエネルギーは革命に、アンジョに注がれている。

エポニーヌは友人、あるいは妹ポジ。

⑵コゼットに出会って、でもやっぱり戦うことにしたマリウス

居どころが分かって、連れて行ってもらうまではテンション高い(動きもうるさいw)けど、

いざコゼットを前にすると、目を見開いて言葉も上手く出てこなくてフリーズ型。

「おっ…と…コゼッ…ト…あ…か…可愛い」みたいな。

キスもなんか繊細なガラスにそっと触れるような優しさです。恋愛不器用感、良い。

OneDayMore、迷っていたマリウスが心を決め、後列から順に周りと顔を見合わせながら先頭まで進み出てきての「私は戦おう!」、最高に美しい図でした。

これは1回でも2階席から観られてよかった。

(と同時にここのエポもグッとくるポイントだったりするんですが長くなるので省略) 

⑶エポニーヌの死を目の当たりにしたマリウス

崩れ始めるマリウス。

あれだけ熱心に活動してきたのに、自分は戦おうと決意を決めたのに、

結局彼に真の死のイメージは出来ていなかったのだと思います。

エポの死(目の前で終わった命)に呆然とし、ガブローシュの死(殺された死)を目の当たりにして、

海宝マリウスは、バリケードを離れようとする。

自分には無理だ、戦えない、自分はここにいるべきではない、そう思ってバリケードを降りようとして撃たれた。

⑷生き残ったマリウス

カフェ・ソングは海宝マリウスの歌唱力最大の使いどころでもありました。

心の中から溢れ出るような悲しみ、苦しみ、辛さ。

もがき苦しむマリウスの心の声そのままのような歌唱。

そんなマリウスを救ってくれたのはコゼットの体温だったと私は解釈しています。

エポニーヌの死から壊れてしまったマリウスの心を、その中に渦巻いていたあふれんばかりの感情を、外へ出してくれた。

そして印象的だったのがエピローグ。

後ろの召された人たちは解き放たれ清々しい愛に満ちた笑顔、コゼットももう涙は止まり、バルジャンの愛を感じて幸せそうな笑顔、 そんな中海宝マリウスはまったく笑わない。

やはり死んだ仲間の中1人生き延びたこと、バルジャンからコゼットを守る役目を託されたこと、この大きな2つがマリウスの肩にのしかかっているのだと思います。

舞台はおしまいでも、マリウスはすべてを忘れて笑えるようなそんな時期ではないよね。

でもきっと愛を貫いたその先でいつか心から微笑めるときがくると、そう未来を思い描くことができる気がします。

本人がインタビューでも言う通り、マリウスは確かに「希望の象徴」なのでしょう。

コゼットが「愛の象徴」であるように。

 

 詳細

⑴コゼットと会うまでのマリウス 詳細

海宝マリウス、登場での印象は「硬質」。

生真面目そうで、その大きな瞳はまっすぐ前だけを見ています。

革命活動へ熱心なことが伺えるのと同時に視野の狭さも感じさせる。

ルックスは抜群ですが、あまり表立ってキャーキャー言われてはいなそう。

(影でファンはわさわさいるだろうけど、近づく女の子はあまりいなくて本人も意識なさそう。アラジンとは違いますw)

まさに「堅物」なんだろうなぁと思います。

 

理生アンジョだと一歩アンジョから下がって尊敬の眼差しで見ている、

竜治アンジョだとリーダーはアンジョだけど横で共に歩く、

ばっちアンジョだとマリウスとアンジョが2トップで並んでいる、

ような印象を受けました。

 

一転、エポと顔を合わせたマリウスはふっと肩の力が抜けたようにフランクな空気に。

昆エポ、松原エポは「同じクラスで顔合わせたら笑って、よっ!って挨拶するくらいの友人」、ふうかエポは近所の妹のように思ってる年下の女の子、くらいに見えます。

本を投げ飛ばされたことも少し驚きはするものの怒ってはなくて、同時にあまり気にもしていない。

髪を触れられたことに関しては、照れとか一切なくて戸惑い、むしろやめてくれという拒絶が感じられるあたり堅物。

たぶんこの人ボディタッチとか効かないどころか逆効果なタイプ。

 

⑵コゼットに出会って、でもやっぱり戦うことにしたマリウス 詳細

堅物だけどコゼット絡むとやたらアクションの大きい海宝マリウス。

ぶつかるときも(おっとっとー!!)って感じで手足がバタバタしています。可愛い。

それゆえ見つめあった瞬間の静止ポーズの美しさが際立つんですが。多分計算。

バルジャンにコゼットを連れて行かれてからももうずーっと目を離さない。

目を奪われつつ、周りにあの子誰!?と情報を集めようとしていますが収穫はなし。

モンパルナスにナイフを向けられるコゼットを見つけるやへっぴり腰で間に入って守ろうとするマリウス可愛い。

「オラッ!オラッ!」って脅すモンパルに(いやっあっちょっ!すいません!いや、ちょっ!)みたいな感じでおどおどしつつ頑張って守ってるので見てあげてください。

 

ジャベの「見ていたものは話せ私に」に、駆け寄って(被害者彼らです!)というようにバルコゼの方を示すマリウス。

ここ岸ジャベだとほんと全然マリウスの話聞いてくれないので面白いです。自分で聞いたくせにw

コゼットがいなくなったことに気づいたマリウスは下手バルコニーの女性に向かった方向を聞いて、またもバタバタと去っていきます。(場所違うけどね)

流れとしては、後のエポニーヌの使い走りまで探して走り続けていたということになるのだろうか。

「何くれる?」と言われてポケットというポケットをごそごそ探すマリウス。

コインを見つけて(あった!😆)って顔で差し出すのに断られて、怪訝そうにするもすぐにコゼットに思考が向きます。こいつめ。

お金でお願いをする、しかもあの内容、という残酷さにまるで気づいていないあたり、鈍感お坊ちゃんめ!ってなる。

 

ABCのマリウス、学生たちの中心というか好かれてるんだろうなと感じる。

まさに「堅物」だったんだろうし、そんなマリウスが浮かれきってることにグラン始め結構みんな面白がっているように思う。

ほうけた様子のマリウスが、グランにムッとして酒瓶取り返してわちゃついているのもまた可愛いw

(初めはムッとした顔だけど瓶投げたあたりから笑いがもれてて、年相応な学生な感じがして好きです。)

止めるアンジョ、理生くんと竜治くんは割と冷静というか余裕ありつつ(そろそろおやめなさい)って感じだけど、 ばっちは余裕なくて(ちょっと!やめんか!)って感じ。

ばっちアンジョは海宝マリウスにだいぶ頼っているように見えるので、浮かれて心ここに在らずのままいられたらまずいという焦りもあるように思います。

1回表情を引き締めるものの、下手の学生たちにそそのかされて「君が今夜居合わせたら〜」とアンジョに話に行くマリウス。懲りない。笑

♪レッド〜ブラック〜とかけられる言葉にごく真剣に考えて歌いつむぐマリウスにその真面目さを感じます。

そしてアンジョに銃を渡されたマリウスは、そのまま真剣な面持ちで銃を持ち手から銃口までじっと見つめて、決意を固めてアンジョのもとへ向かう。

海宝マリウスはここで完全に革命に頭が切り替わり、アンジョの手を取りに行っていると思う。一度はね。

民衆の歌入りまでも他の学生たちと同じように意気揚々と声を出しているように見えたし(たぶん)。

 

プリュメ街にて。

プレビュー初日にあまりの跳躍に衝撃を受けたマリウスジャンプ。

(と、とんだ…?)って客席で目を疑いました。。笑

まあなんやかんやほぼジャンプ無しの回もあったりしつつ軽めのジャンプに落ち着くようになったかなという印象。

個人的には流れが壊れないレベルなら飛んでも良いかなと思うようにはなった。アホっぽいけどまあ可愛いし。(盲目)

全編を通してあまり歌がぶれることがない海宝マリウスですが「燃える太陽の矢が胸に飛び込んだ」は結構ぶれることが多かったなと思います。あえてなのかな。

テンション上がりすぎてエポにも躊躇なくボディタッチ(どころか一緒にクルクル回る)するマリウス。

海宝マリウス普段あんま必要以上に触れたりしなそうなので余計にたち悪いですね。。

門柱を上がる姿はモタモタしているのに、登りきった数秒間の静止、

横顔、背中の角度、門柱に置かれた手、すべてが完璧な美しさでね!

Stage Photoにもここのシーンの写真が入っていてカメラマンさん並びに写真選定をした方と握手をしたいくらいでした。。笑

 

石の投げ方は優雅なんだけど、そのあとワタワタ身だしなみを整えるマリウス。(遅い)

足元を払ったタイミングでコゼットと目があうのはみりマリも同じですが、

海宝マリウスは「溢れゆく」と歌い出す直前の1拍でパッと直立になり後ろに手を回すポーズになる。

うまく表現できないけどあの一瞬が好きです。パッと空気が変わるような気がする。

前述の通り、コゼットを前にすると言葉も上手く出てこなくて固くなっている感じ。

お辞儀も大仰だけどそこまで滑稽ではないかな。

(ヤンバルだとコゼットに何度か大仰なお辞儀をするので、それと結構被ります。)

「夜さえも」と(おそらく星なんかが瞬いているであろう)夜空をさしたときに、コゼットが乗ってくれたとき、その緊張が溶けます。

自分の感性(きっと今までそんなに共感してくれる人は多くなかったと勝手に推測)が自分の好きな子と合ったわけです。

自分が「眩しいよ」と思っていたまさにそこで「眩しいわ」と同じ言葉を口にしたコゼットにもう一気に想い溢れちゃった感じがあります。

でも曲ラストのキスはとてもそっと。繊細なガラスに触れるような優しさ。

 

エポが襲撃を追い払ってくれたあと、バルジャンとコゼットのやりとりを門柱の影からそわそわのぞいてるのめっっっっちゃ可愛くないですか!?

1回座席と対角線上にのぞくマリウスの顔が位置する時があって、もう気になって前の芝居がまったく目に入らなかった。。ひょこひょこするんだもん。。

コゼットが家の中に入ってからものぞいていて、エポにすごい勢いで走って連れて行かれるところ好きです。

本当にあと数秒遅かったら見つかってたし、エポは出来る子。

 

One Day More、左右バルコニーでマリコゼが歌う構図は前からでしたっけ?(記憶なし)まあそうなんだろうな。。

バルコニーの手すりに軽く腰掛けるような、もたれ掛かるような体勢で歌う姿の美しさよ。

降りて来たときもみりマリほどエポの存在見えてなくはない。 

革命のこともコゼットのこともどちらも知っていてくれる存在としてあのときある意味一番近いところにいるのがエポで、マリウスは自然と来たんだろうなと思います。

余計に残酷だけど。

列の1番後ろにいたマリウスが、順に周りと顔を見合わせながら先頭まで進み出てきてアンジョに「私は戦おう!」と告げる。

ここは本当に1度は2階席から観て欲しいシーンです。

そして同時にエポも後列から先頭へとずっとマリウスを見つめながら対称の位置でついて来ます。

もうエポがいる場所=マリウスがいる所なんですね。。でも位置は対称。隣ではない。

 

2幕頭、もうしっかり戦いモードに入っていて、中心になって動いている感じがある。

ここをあまり考えて観ていなかったけど、コゼットへの手紙を用意していたのはタイミングがあれば自分で渡すなり家に持って行くなりしようと思っていたんだよね。

とはいえ内容を見てもどうしても渡したいものでもなく、ただ抑えきれない想いを手紙にしてお守りのように持っていたのかも。初めからエポにお願いするつもりはなかっただろうから。

アンジョに呼ばれて(じゃあ頼んだよ)って走り去って行く部分も、なんだか学生の年相応感があるなぁと思います。

バリケードでは(どちらを前とするかによるけど)アンジョの右側にいるマリウスという位置関係に何か意味があるのだろうかと思ったり。

キリストの右の座的な。分からないけど。

いろんなタイミングでアンジョから銃を受け取る動きになんというか信頼感が見えます。

竜治アンジョばっちアンジョだと同志な感じだけど、理生アンジョ相手だとどうしても奥さんに見える。。さーせんw

あと、ジャベールの正体が分かったとき、マリウスが目の前の人間に銃を向けることへの戸惑いや躊躇がまだまだ残っていることが分かります。

初期は構えてはみるもののあれじゃ到底撃てないし、すぐにおろしている。

海宝マリウスの場合は恋に浮かれちゃった以外にも、バリケードに来て垣間見える「他の学生とマリウスの違い」があるように感じて。

ここもだけどチラチラと「違い」が見えて、それが最終的に最後の戦いで、「バリケードを離れようとするマリウス」に繋がってくるように思います。

 

ということで前半戦終了。

後半でエポの死〜ラストまで、あとはマリウスバイトに関して書きます。

自分でもあまりの長さにちょっと引いてる。。

お読みいただいた方はありがとうございましたm(_ _)m!

↓後半更新済(8/16)

a-syamu.hatenablog.com

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