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ノートルダムの鐘を語ってみるvol.1最高の演出

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ついにノートルを語り始めました。

 

近年稀に見るどハマり作品。

役者もあるけど、それ以前にまず作品の完成度が素晴らしい。

こんなにも美しく緻密に組み立てられた作品久しぶりよ。

演劇的な要素も強いけど、確実にミュージカルの魅力もあり。

これぞ舞台の醍醐味…!と思わせる演出も散りばめられた大好きな作品です。

 

ということで第1弾は演出について語ってみようの回。

 

①開演前から客席の空気が違う

ロビーから客席に1歩踏み入れた瞬間、そこに流れる空気が違うのを感じる。

静けさと厳かな空気。まるでノートルダム大聖堂の中に足を踏み入れたような感覚。

さらに足を進めて舞台を見れば、そこには美しいステンドグラスの薔薇窓と左上から柔らかに差し込む陽ざし(照明)があります。

特に1ベルが鳴ってから開演までの時間、観客は息を殺してその時を待っている。

あの期待と緊張に満ちた静寂は、今まで他の舞台であまり感じたことのないものです。

あの場の空気が観客を静めるのか、それともこの作品を観に来る観客が本能的にその静けさを求めるのかは分からないけど。

もちろん、この静けさはその日のお客さん次第なので必ず毎回あるわけじゃないけど。

独特で素敵な空気なので公演が続いてもあの静けさが失われないと良いな。。

 

②鐘の音、コーラス、なんて美しい幕開き

上で書いた静寂のあと、(無粋なアナウンスもなく!)客電が落ちて鐘の音が鳴り響き。

静かなコーラスとともにフードを被ったマント姿の人々が舞台上に現れる。

人々が揃ったかと思うと、全員が一気にフードを外し、この作品のテーマのように繰り返される迫力ある♪AhAhAh〜のメロディーを紡ぐのです。

個人的には第1鳥肌ポイント。

この場にはクロパン、フロロー、フィーバス、エスメラルダもマントの人々として存在しています。

ちなみにフィーバスは下手階段途中で♪時には強くとどろき、

エスメラルダは上手前方で♪この町の魂を歌う、というソロあり。

静かなコーラスから少し恐ろしさすら感じるような迫力あるクレッシェンド、そしてまたすーっと落ち着いたメロディーに戻って、フロローの過去を描き始める。

この幕開きが本当に美しくて、それでいてぐっと世界に引き込まれるのです。

 

③観客の目の前で俳優はカジモドへと変化する

やっぱりこの作品で1番興奮する演出は、この役者からカジモド、そして役者へ戻る過程が舞台上で行われることじゃないかと!

カジモド役者の登場は上手舞台奥から。

他のアンサンブル同様グレーのマントをまとった俳優がセンターでマントをぱさっと脱ぎ捨て、奥から舞台前方へと進みでます。

(舞台奥なので見えない席も結構あるかと思う)

♪教えて欲しいことがある人間と怪物

と歌うクロパンのソロの間、少し周りを見渡しながら進みでる俳優。

クロパンの歌詞を受け継ぎ、♪どこに違いがあるのだろう と歌いながら顔に墨を施し体を歪め重しを背に負う。

海宝カジモドの♪あるのだろ「う」で口の歪みとともに声色も変わっていくところ、鳥肌ものです。

普通の青年からカジモドになるまでの変化は本当に短い時間。

ちょっと目をそらしていたらすぐに終わってしまうのでここはよそ見しない方が良い!笑

 

この墨を使った演出は物語のラストと対応してさらに素晴らしいことに…

エスメラルダの亡骸を大聖堂の外へ運び出したカジモド。

1人の女性(3枠)が近づき、カジモドはエスメラルダを守るように来ないでくれと手で制します。

すると女性は顔に墨を施し、身体を不自然に歪めるのです。まるでカジモドのように。

そして他のアンサンブルも続々と身体を歪めるなか、フロリカのソプラノが下手バルコニーからカジモドへと優しく響き、エスメラルダは静かにカジモドの元を離れて舞台奥へと消えていく。

最後にフロリカが歌い終わって墨を塗り終わると、カジモドだった俳優はまっすぐに背を伸ばして立ち上がり、客席の方へ振り向く。

墨を落としたその顔はもうすでに俳優のものに戻っているのです。

物語の最後の大コーラスでは 、顔に墨を施した人々と、唯一清らかな顔をした”カジモドを演じた”俳優がアンサンブルプリンシパル揃って横1列に並ぶ。

あの演出を目の当たりにしたときの胸の高鳴りを、感動をどう表現していいのか分からないのが本当にもどかしい。

 

④民衆でありガーゴイルでありセットであり語り部であるアンサンブル

この作品においてのアンサンブルの立ち位置は他の作品とは一線を画すと私は思っています。

普段アンサンブル判別が全然できない私が比較的すぐに覚えられたのもそのせいかと。

衣装も基本のものにベストや帽子が加わったりする程度、そしてマント。

このシンプルな衣装だけだけど、アンサンブルはただ”そこにいる人”を演じるのではなく、演じることでその”場所”を鮮明に描いているんだなと感じる。

町も聖堂も、そこがその場所だと分かるのはアンサンブルの存在によるものが大きい。

例えば♪ノートルダムの鐘1曲にしても、初めに出てくる俳優としての存在、語り部、教会に集う民衆、物理的な壁、ジェアンやフロリカという登場人物、町の人、石像、、これだけの役割を果たしている。

語り部とは言ってもとことん客観的なものではなくて、役としての興奮を残したまま観客に向かって叫ぶように語ってくることも多い。

これが舞台の世界と観客の間の溝を取り去りながらも、芝居をどこか客観視させてくれるポイントかなと思います。

あとはカジモドにとっての友人、ずっと見守ってくれたガーゴイルと、カジモドを傷つける民衆を同じ人たちがマント一つで演じ分けるというのも大きいポイントかなと。

それが存分に活かされるのが♪石になろう。

カジモドがはねのけたガーゴイルたちはマントを脱ぎ捨て、町の人の姿になって去っていく。

あとに残されたのは無機質なマント。石に戻ったガーゴイルたち。

そしてまたカジモドが彼らに協力を呼びかけたとき、マントをぐっとカジモドに突き出し、強く頷いてガーゴイルに戻る。

視覚的にもとても見事な演出だと思う。

 

⑤あくまでこれは「物語」である

これに関してはここまで書いてきたこととかぶる部分もあるんですが、、

この作品はあくまで俳優たちが舞台上で描き出す「カジモドの物語」。

人間と怪物、その違いはどこにあるのか。

あなたの心に何かが響いていますように。

そんな言葉をダイレクトに観客に伝え、投げかけてくるけど、

この作品から何を受け取り何を考えるのかは観客に委ねられていて、何も押し付けてこない、この感じが私にはとても好ましい。 

美しく哀しい物語。重いけど、劇場をあとにする気持ちは決してモヤモヤしない。

アンサンブルが語り部を担う演出も、舞台上で俳優とカジモドの変化が行われる演出も、この「物語」を際立たせるためだと思う。

カジモドを演じた俳優が、エスメラルダを失った後のカジモドのことを客観的に観客に語るところ、そしてまとっていた衣装と重しをクロパン役の俳優に返して、互いに深く一礼するところもまた。

美しい。この作品は美しい。(語彙力のなさ…)

私はこの作品、今まで1度も泣いたことがなくて。いつも静かに深い感動だけが残る。

きっと私にはこの5番目のバランスがベストの心地良さなんだろうと思ってます。

 

 

 

と、いうことで1回目演出をメインに語ってみました。

プリンシパルは全員制覇してるので今度は俳優さんによる芝居や役の違いを書きたい。

よければまたお付き合いください!

 

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フランケンシュタイン日本初演の覚え書き 2幕その2(完)

 森の中

舞台は再び森へ戻ります。

ステファン捜索の声が響くなか、ビクター、ジュリア、メイドのもとへ執事(佐々木崇さん、長身で目が大きい、元手下さん)が駆け寄り、見つかったと報告。

恐らくジュリア側の執事なんだけど、見つかった→お腹を刺されていて→犯人は…の流れは酷すぎないか。。

見つかったと聞いて一瞬喜ぶジュリアが哀れすぎる。

 

時が止まり、怪物が現れます。

「復讐、それがお前の望みなのか。なら今ここで終わらせればいい(=自分をここで殺せ)」と言うビクターに、

「焦るな、お前には俺と同じ思いを味あわせてやる。」と宣言して姿を消す怪物。

 

再び時が動き出し、

死んだステファンの近くにエレンが財産目録を手に倒れていた、犯人として民衆がエレンを連れて行ったと執事の報告が続く。

止めなくては!と走り出す4人。

 

アンリ処刑時と同じメロディ(♪あー人殺し)で引き出されるエレン。

アンリの時と違って、取り囲むのは女性たち。

次々にエレンのスカートを掴んでは忌々しげに手を離す。

(公演初期は、ビクター父焼死後と同じように男女関係なくやってきて唾はきかけたりしてたと記憶してるんだけど途中から女性たちが取り囲むようになりました)

銃を突きつけられ階段を上がることを強要されるエレン。

チビソロ「まるで家族のように育てられたのに財産目当てで殺人!残忍な女めー!」は遠山さん。これまた激ウマ。

私じゃないと弁明するもまったく聞き入れられず、むしろヒートアップした民衆に責め立てられ、絞首刑にされてしまう。

階段の上からエレンがはけた瞬間、ビクターが「待ってくれ姉さんはそんな人じゃない!やめろ!やめてくれ!」と駆け込んでくるも手遅れ。

無残にも吊るされたエレンの死体が落ちてきます。

かっきービクターの言葉にならない「やめてくれ」がやばい。語彙力なさすぎて表現できないのが悔しい…

あの掠れた、悲鳴のような悲痛で無力な表現!

大人になって戻ったビクターが(少なくとも舞台上では)初めてエレンを「ねえさん」と呼ぶのがこのシーン。

その声をエレンが聞くことはなかったと思うと辛すぎて死にそうになる。。

 

泣き崩れるビクターのもとに幼い頃のジュリアが「行かないで!ビクター」と駆け寄ってきます。

出発の日の記憶。

私と一緒にいて!と言うジュリアに「僕と一緒にいちゃ君も呪われる…」と茫然自失のまま答えるビクター。(子ビクターが返した言葉と同じ)

過去と同じように台詞は続き、

「約束して!大きくなったら必ず戻ってくるって!戻ってきて私と結婚するって!」

「でも僕が戻ればみんなを不幸にしてしまう」(過去では、♪必ず僕は戻ってくるよ と歌っていた)

 

名残惜しそうに去っていくジュリアと入れ替わりでビクターの名を呼びながら大きな荷物を持って出てくるエレン。

 

正面を向いていたビクターが後ろから聞こえてくるエレンの声に目を見開いて恐る恐る振り向きます。

「冬服を詰めるのに時間がかかってしまって…」と話す声は息が上がり少し弱々しくすら感じる。

ルンゲ「他にお見送りの方は?」

ビクター「…私だけよ」

のやりとりに胸がつまります。

見送りに来る人もいない、孤独なビクター。そんな彼を優しく愛を持って包んできてくれた最大の味方。

もうこの世にいないその人がビクターにとってどれほど大きな存在だったのかを感じて。。

 

「ビクター、お別れね」と声をかけられ、エレンに背を向けルンゲのあとをついて数歩踏み出すも、耐えきれずに泣き声をあげてエレンの腰に抱きつくビクター。

まさに泣きじゃくるという表現がぴったり。

幼い子どものように声をあげてえぐえぐ泣くかっきービクター。

楽日はあまりに泣くので、少しの間胸に抱きしめて間を取るめぐさん。

「泣かないで、ビクター。

姉さんの言うことをよーく聞いて」

ここで膝をついてるビクターよりさらに低い位置になり顔をじっと見上げるエレン。

この目線の合わせ方とスカートの広がりとっても好き。

あまりの声の優しさとなだめるようにぽんぽんする手に泣きじゃくるビクター。それを見て溢れ出る涙を目を見開いてなんとかしようとする私。無駄な抵抗。

 

♪その日に私が

「留学をしたら一人ぼっちよ覚悟なさい(ここの優しい笑い混じりの歌い方、大好きです。。)、

寂しくてもそれがあなた選んだ道 後悔するかもしれない」

「毎晩眠れずに泣いてても誰も抱いてくれないし、甘えられる人などいないの、それが1人ということ」 

「今度あなたに会えたなら、私がぎゅっと抱いてあげるから 」

 

涙腺崩壊ワードが散りばめられたこの曲を鬼レベルの表現力を持っためぐさんが歌い、負の感情の演技がピカイチなかっきーが受ける。

見ていて泣かない方が難しい。。

特にかきこに前楽日は1番涙腺にきました。

まわりのすすり泣きも凄かった。みんななるべく音を立てないように頑張るもんだから息をつくタイミングがだいたい一緒なんだよね笑

 

途中で泣きやみ、エレンのもとを離れてルンゲについて歩き出すビクター。

(タイミングの歌詞が不確か…♪でもあなたは〜 かな。)

ここからビクターと過去のエレン、ルンゲの時空がずれます。

もうエレンが見ているのは歩いて離れていくビクターの姿。(目線が明らかに幼い頃の背丈くらいの位置を追っている)

去っていくビクターに両手を伸ばすエレン。PVにも使われているシーンですが、公演後半はもっとはっきりエレンを抱きしめようとして空を切り、その勢いで通り過ぎてから膝をつきくしゃっと泣き顔になっていました。

「私がぎゅっと抱いてあげるから」、美しく細く伸びる歌声に己を抱きしめるビクター。

もう2度とその胸に顔を埋めて泣くことはできないと思うと私が泣きそう。

 

「毎晩眠れずに泣いてても誰も抱いてくれないし、甘えられる人などいないの、それが1人ということ」

この言葉はエレンを失ったビクターにも当てはまるけど、もう1人当てはまる人がいるのよね。

むしろビクターよりもずっと当てはまる存在、それが怪物。

1人孤独だった怪物、カトリーヌと出会い抱きしめられる幸せとじゃれ合い甘える喜びを知ります。

でもそれはほんの束の間の幻。すべては消え去った。

人のぬくもりを知ってしまった怪物の孤独は何も知らなかったときよりはるかに冷たく辛いものだったはず。

エレンの言葉を聞きながら、「誰かに抱きしめられてた 笑ってた そんな夢の続きを生きてみたい」と切なげに歌う怪物が目に浮かびました。。

 

とにかく!この曲!辛い!!

 

実験室

エレンの死体を城に持ち帰ってきたビクター。

「ついたよ姉さん。僕が生き返らせてあげるからね…」と語りかける。

こいつ何も分かっていない。

エレンがそのまま元の通り生き返ると信じて疑いもしない。

個人的に客席がビクターにドン引きするシーンだと思ってますが、当たり前のようにこの思考をするのがこの男なのです…

そしてこれってエレンのためじゃないよね。完全に自分のため。

エレンが生命創造に賛同していなかったのは明らかです。生き返らせることなんて望んでいないはず。

 

しかし実験室の機械はすべて怪物によって壊されています。

雷光に照らされて壊れていることに気づき、腰を抜かすビクター。

「もう姉さんを生き返らせることができない…」と声を震わせる。ここでやっと本当に永遠にエレンを失ったことを知るんですね。

 

そこへ現れる怪物。ついに怪物が誕生した場所で2人が対峙します。

怪物「俺はこの部屋で生まれた 鉄のベットで」

ビクター「僕はこの部屋で夢みてた お前と一緒に」

と対になるような歌い継ぎ。

「神を超えたくて悪魔に成り果てた」というビクターに、「分かっているのにまたしようとした 悲しい命をまた作ろうとした」と怒りを見せ、エレンの頭を掴んでビクターの方を向かせる。

殺せ!殺してくれ!と迫るビクターを冷たく突き放す怪物。

怒りからあきれへと感情がシフトしていくように感じられた時もあった。

満月が割れたら再び痛みの続きをくれてやると言い残して、1幕ラストで飛び出していった同じ窓から姿を消します。

*和樹怪物

思い通り復讐が進んでいることに満足げな様子を見せるときもあり。恐ろしい笑顔を浮かべているときもあった。

本能のままに動いているような感じ。荒々しい。

*小西怪物

復讐は順調に進んでいるのに少しも満たされているようには見えない。常にかなしそう。もうすでに自分の望みが復讐では満たされないことを自覚しているような感じ。

(2/19追記)小西怪物はアンリの意識が戻る前からどことなくアンリと似ていると思う。ビクターと出会う前のアンリ。

冷静で理性的、だけど絶望を知っていて諦めが浮かぶ目をしている、そんなところが。

とても冷静に淡々と復讐を進めながらもちっとも満たされていない。

機械を壊したのもビクターの行動を予測してのことだけど。。分かっていたけどお前はまだ哀れな命を造ろうとするのか、、と怒りよりもやっぱりお前はそうなのかと呆れたように。

自分が復讐する意味を理解せずに「生きていたくない!殺せ!」と泣きつく創造主、確かに見苦しい。。

 

ステファン邸の前

♪今夜こそ

宣言された日、町の人とともに見回りを強化し、怪物を倒そうとしているビクター。

執事が素敵なマント着てるー!と思ったら傭兵隊長だそうで、別の役でしたww

一緒に見回る人々の中には手伝ってはいるけど内心呆れ、馬鹿にしている人たちも。

ジュリアがビクターに駆け寄り、「怖いわ、行かないで」と抱きつきます。(フラグ)

吠え声が聞こえ、傭兵隊長にジュリアを任せて声の方を捜索する一行。

「違いました!野良犬です!」って報告するのは元ウォルター新井くん。

ベレー帽に十字架持ってビビっているけど吠え声を真っ先に確認しに行く真面目っこwかわいいw

 

悲鳴と2発の銃声が室内から聞こえ、慌てて向かう人々。

ベットには血を流し生き絶えたジュリア、ベットの横には息を荒くした傭兵隊長がうずくまり「申し訳ありません、怪物がお嬢様を殺して逃げました!」

外で吠え声が聞こえ、「外だ!早く行け!」と人々は出て行きます。

怪我を押さえながらも最後に入り口に向かった傭兵隊長。ピタリと足を止め、振り向いて帽子を取る。

怪物でした。

*和樹怪物

初見は和樹怪物だったんだけど、入れ替わりさっぱり気づかず。

振り向いて怪物やん!!ってなりました←

溢れ出るトート感。客席の8割がそう思ったんじゃないだろうか笑

歌はさておきビジュアルはトート似合うだろうなぁ。

*小西怪物

2回目だったのもあると思いますが、小西怪物は声が特徴あるからすぐ分かっちゃう笑

同じ衣装なのにあまりトート味を感じません。冷淡な印象。

 

「なぜ僕じゃなくジュリアを。。この怪物め」と詰るビクターに、

「じゃあお前たちは一体何者なんだ。俺から見たらお前たち人間の方が怪物だ」と冷静に返す怪物。

ほんとだよね。返す言葉がない。

ここも日本オリジナルの追加だそうです。

「俺は北極に行く。殺したければ来い、待っている。」と言い残して姿を消す怪物。

(2/19追記)子どものように泣きじゃくり、哀しみに任せて怪物をなじるビクターととことん冷静な怪物。吐き捨てるような「怪物だ。」でした。。

 

どうでもいい細かい話だけど、

悲鳴、銃声2回。でもジュリアの血の感じは銃殺ではないように思うんだよね。

銃声は人を集めるためのものだとしても、傭兵隊長から(多分殺して)身の回りのものを奪ってなりすまし、ジュリアを殺すってなかなか時間的に厳しいだろうなとか思う。

 

ジュリアの死体を抱きしめ、「これ以上の痛みがこの世にあるだろうか」と歌うビクター。

絶望と己の過ちへの後悔に満ちた歌詞です。

が、ずっと解せなかったのは「愛があれば運命に歯向かえると信じた」という言葉。

いやビクターそんなやつじゃなかったぞ?と思っちゃって。その言葉を口にするのがしっくりこなかったんですよね。

 

それがかきこに前楽で♪後悔を聴いていて、ふとこういうことでは?と浮かんだ解釈がありました。

1幕ラスト、アンリを失ったのと引き換えに首を手に入れ、ついに命の創造が成功したかと思われた。死んだアンリの首は確かに再び命を得た。

でもそれはビクターの思い描いた姿ではなく、理性も知性もない(と思ってしまった)怪物。ルンゲを殺し、自分の前から姿を消してしまった。

親友を失い、想い描き続けた夢は破れ、怪物は行方不明。

大きな挫折。行き詰まり、迷い、足掻いた結果、運命に歯向かうビクターが行き着いたのは「愛」だった。

今まで自分に足りなかったもの。それが本物の愛だったかはさておき、ジュリアを受け入れ、エレンとも和解して「愛」を手に入れた。

でも結果はこの惨状。自分に愛を与えてくれた人たち、そして自分もそこに愛を返そうとしていた人たちを次々と失ってしまった。

その絶望の中で出てきた言葉が「愛があれば運命に歯向かえると信じた」

だったのであればまあ納得できる。

別にビクターの信念だったわけではなく、怪物誕生後に運命に歯向かおうと選んだ手段が「愛」だったんじゃないかと。

それなら急にジュリアと結婚したことも少しは理解できるかなと思うのです。

 

「懺悔しても時は戻せない」と歌うビクターの背後には何箇所かひっそりと咲く赤い花がライトアップされています。

あの花がビクターによって犠牲になった人たちの象徴とするなら、

その中で1人孤独に苛まれ絶望の中で絶唱するビクターがさらに罪深い存在に見える。

(2/19追記)福岡楽、かっきービクターは「みんな死んだ」ではっきりと花を見渡していた。やはりあの花はビクターのせいで死んでしまった人たちの象徴のようですね。

花は7箇所だったので、ウォルター、葬儀屋、アンリ、ルンゲ、ステファン、エレン、ジュリアの7人かな?

 

森の奥

日本版と韓国版で最大の違いがあるシーンと言っても過言ではないでしょう。

韓国のイメージが強くて日本版でもずっとこのシーン、湖のシーンと呼んでいるけどただの森の奥なんですね。

大きな違いとしては、

・湖の有無

・少年の服装(子ビクターか別人か)

・後ろ向きで歌うか前向きか

・少年を殺すか生かすか

でしょうか。

 

個人的には韓国版観たときには(予習不足もあって)湖に突き落としたのが全然理解できず。というかあまりに静かにすっと突き落としたから殺した…のか…?みたいな感じだった。

一緒に観たメンバーと語り合ってもやっぱりこのシーンは分からなかったのよね。

日本版で言葉の意味を理解して観たいと思ってた。ら、演出180度変わったww

一応観たあと調べはしたので、救済説も知っていたし納得できるかなと思ってたんだけど。

ただただとても幻想的で静かで穏やかで美しかったのが印象的だったんです。

だから私の中ではあのシーンは現実での出来事ではない、殺意悪意のシーンではないって感じていたんだよなぁ。

 

結局明快な解釈はできていないのが正直なところです。

このシーンに関してはいろんな方が解釈を出してくださっているからそれを読んでふむふむと考えているんだけど。

やっぱり首を絞めて殺そうとする、っていうのは嫌だなぁと思う。

初めての記憶がビクターに鎖で首を絞められたことなのに、それをやってしまうのかって。

湖に落とすのが解放として描かれるのは理解できるけど、首を絞めるのは危害を与えるようにしか思えない。明らかな殺意ですよね。

 

理屈はさておき、純粋に舞台を観ていて感じたのは、

話し始めるときにはほぼアンリの意識、記憶があるってこと。

友だちの話、と言っている。そしてそのあとの「1人の男がいた〜」以降の歌詞もアンリと怪物両側面からの視点が感じられます。

このシーンではアンリの意識、そして怪物として生きた人生・意識、その両方が彼の体に共存して1人の人格となっている状態だと思うんですよね。

小西怪物からは、ビクターへの情、哀れみを感じました。これは間違いなくアンリのものだと思う。

もし叶うならアンリとしてビクターと再び時を過ごしたいとすら考えたんじゃないかと。

でもそれは首の傷を見た少年から「お兄ちゃんって誰かが作ったの?」と問いかけられたことで打ち砕かれたように感じた。

その言葉で自分はもう人間じゃない、怪物として生きて、やるべきことを最後までやって怪物として死ぬしかないんだと覚悟を決めたように。

「お前も大人になったら他の人間たちと同じような目で俺を見るだろう、だから…」と首に手をかけるところも、小西怪物は結局その手に力を入れることはほぼなかったように思う。

一方、和樹怪物ははっきりと力をこめていた。少年も苦しそうに顔を歪め、あと少しで…というところでふっと脱力。

後半の記憶が強くて和樹怪物がこの曲中でどんな変化をしていたかはっきりと思い出せない。。

(2/19追記)福岡楽、小西怪物は完全にアンリ意識だったと感じました。涙まじりでつぶやくように。

「神になろうとした」でもそれに自分が加担していたのも事実。

「その生き物はどう生きるのかどう笑うのかどう恋をしてどう死ねばいい、答えも出せずに自分のものだと信じているのさこの世の人間は」この歌詞はビクターに向けたものだけではなく、ビクターの実験に協力していた自分自身(アンリ)への問いかけにも聞こえたのです。

少年に手をかけるところも、怪物としての行動を取ろうと殺すために手をかけるけど力を入れようとしても震えてしまって結局できなくて。力なく解放していた。

それはまるで怪物に銃を向けるけど引き金を引けなかったビクターのよう。

ここまで完全にアンリの回は初めてでした。

 

 

「1人の怪物がいた 嘘だと知ってたけど

幸せがあるという地の果てに行った」

そう消え入るような声で歌い、階段を登っていく怪物。

カトリーヌが教えてくれた場所、もうそのときにはそんな夢の場所なんてないって分かってはいるけどそれでも最後に、ビクターとその場所へ行こうと決めたんですね。

 

とここまで思ってたんですけど。。

韓国版では「北極には誰もいないから自分自身が人であることを忘れてしまう(大意)」というカトリーヌのセリフがあると目にして、なぜカットしたアアアァァァってなりました。

人であることも忘れてしまうその場所でなら怪物とビクターは同じフィールドで向かい合うことができるんだね。

絶対あったほうがいいじゃないか。。解せぬ。

 

このシーンが彼の想いを汲み取る最後の場面だと思っていました。

北極では決定打を与えるまで徹底的に怪物を装うから。

闘技場を抜け出して初めてビクターの前に姿を現したときから、ステファン、エレン、ジュリアを殺してビクターを1人にし、北極の地で最後の時を迎えようというのは怪物が決めていたシナリオだと思います。

ただこの作品の悲劇は、100%怪物のままなら予定通りの復讐を果たすことで人間、創造主への憎しみを解消できたかもしれないのに、

アンリの意識が現れることによって単純な復讐では解放されることができなくなってしまったところかなと。

アンリはビクターの過去も思想も、どんな人物かも知っているし、大切な友人で何より愛していたはずだから。

でもアンリもあの最期を回避するつもりはなかった。

・怪物として蘇った自分の命を大切なビクターの手によって終わらせ、辛さ苦しさ孤独からも解放される

・生命創造の理想に突き動かされ道を外れきってしまったビクター(自分もその一因となってしまったという意識もある)をこの世から解放する

怪物としての復讐、アンリとしてのビクターの救済、その2つを果たすために彼は北極に向かったのではないかなと考えています。

 

北極

全然北極に見えないのはさておき。

高いところで待つ怪物の元によろよろのビクターがやってきます。

繰り広げられる戦い。

とにかく回し蹴りが美しい小西怪物に注目。

怪物の背にナイフを突き刺すも、なんやかんやで右足の付け根をナイフで刺され動けなくなるビクター。

怪物に銃を突きつけられ、自ら両手を上げて銃口に額を押し当てます。

それを見てゆっくり銃の持ち手をビクターに向ける怪物。

自分を殺せという意思を感じて銃を受け取り、怪物に向ける。

少しずつ下がりながらコートの前を開き、心臓を露わにする怪物を撃とうとするもどうしても撃てないビクター。

力なく銃を下ろそうとした瞬間、足元に落ちていたナイフを拾い上げて襲いかかる怪物についに反射で引き金を引いてしまう。

 

倒れこむ怪物は目的を果たしたことに安堵した様子すら感じさせる。

「その体では動けまい。お前は1人になるんだ。

ビクター、これが俺の復讐だ。」と告げて生き絶える怪物。

「ビクター」と呼びかけられたことでそこにいるのがアンリだと確信して「アンリ!」と叫んで近づこうとするビクター。

 かっきーの立ち上がろうとして(脚やられてるから)倒れ込んでしまうけど必死に這っていく鬼気迫る姿…

亡骸を抱き泣き崩れるビクター、

最後に天を仰ぎ「神よ呪いをかけろ 何も恐れぬ俺はフランケンシュタイン

しばらくこの歌詞もしっくりこなかったけど、これは自嘲なんだなと思います。

こんなにも愚かな人間、何も恐れないと豪語して道を誤り、大切な人たちを皆死なせてしまった。アンリに至っては2度殺したも同じ。

弱かった愚かなフランケンシュタイン、それはこの俺だと。

本当にたった1人になったビクターの孤独な絶唱のうちにこの物語はおしまい。

(2/19追記)福岡楽、「その体ではもう動けまい、これでお前は一人になるんだ。…独り…分かるか」「ビクター!」「これが俺の復讐だ」

初めて聞いた2度目の「独り」は本当に小さくて、自らその意味を噛みしめるように呟いていた。そして決意を固めたように、少し力が入った、でも紛れもなくアンリの声で「ビクター!」と強く呼びかけたのです。

この最後に息の根を止められた私。なんという、、なんという作品だろうか、、

 

ー幕ー

 

はああついに書き終わった!!

東京楽から1週間あまり。最後まで行き着けて良かったです。。

韓国でドンソクビクター、ウンテアンリ怪物を観て凄まじい衝撃を受けてから約1年。

待ちわびた日本公演でした。

初日開けた直後はあまりに韓国と演出含め違うのと、直前に綺麗に組み立てられ完成された四季のノートルにハマっていたこともあり荒削りすぎてモヤモヤが残る舞台だったというのが正直な感想です。

演出、歌詞にはなかなか不満も多く、書き込みが甘すぎるんじゃないかなと思っています。

役者のパワーでごまかしてるけど、この作品が本来持っていた「凄さ」が失われてしまったような印象で、、

余白が多いのは素敵だけど、余白で済ませるべきでないところまでいじってしまったような感じがして。

ただ、役者の熱演は素晴らしく、楽近くには相当肉付けがされて人物が生き生きと舞台上に存在していた。癖になる魅力がありました。

フランケンシュタイン、大好きです。ここまで書きなぐってる時点で伝わってると思いますが笑

再演は絶対にあるだろうなと私は思ってます。(チケット売れてたしね。)

どうかその際には演出、訳詞を見直してくれますように。心からの願いです。

アンリもこの難曲を歌いこなせるようになって。。

初演の記憶を色褪せないようにしたくて書き始めた覚え書き、たくさん読んでいただけて光栄です。

思い出したことはひっそり追記していると思いますが、、

ひとまずこれでおしまい!ありがとうございました!!

 

それでは最後にご唱和ください。

クマ、オイシイー!!

 

 

ここまでの文字数、4記事合計で約27,500字。

卒論より長い… 

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(2/19追記)福岡千秋楽に遠征をした&その観劇でまたググッと深まった部分があったので追記しました。

名古屋公演も終わり本当に終わってしまったフランケンシュタイン

ビクターにはあれだけ味方がいるのに自ら背を向けて孤独になっているとはじめは思っていたのですが、、

違ったんですね。

愛してはくれるけど、誰もビクターを大人にはしてくれなかった。満たしてくれなかった。誰も対等ではなかった。

そんな中現れたアンリは初めてビクターと対等に並んでくれる人だったけど、結局彼自身がビクターが道を踏み外す決定打にもなってしまった。 

なんて不幸で、そして人間らしい物語なのでしょうか。

絶対にまたこの作品と巡り会えることを心から祈って。

ありがとうございました!

 

フランケンシュタイン日本初演の覚え書き 2幕その1

さて2幕。

結婚式

♪平和な時代〜リプライズ〜

3年の月日が経ち、コーラスで幕開き。

アンサンブルのドレスは1幕とは別のもの。より落ち着いた感じで素敵。ですがわりとすぐはけてしまうので残念です。

アンサンブルの間を通ってジュリアが登場。

途中から階段の上にビクターが登場して2人で愛のデュエット。

ここ、ジュリアが気配で気づき笑顔で振り返ると階段の上にビクター!って構図がなんとも宝塚のデュエダンぽくて、キムが迎える側かぁ…とか思ってました。(どうでもいい)

愛してる永遠に〜もう決して離れない〜的なミュージカルではよくある歌詞の曲ですが…

このシーンがまたどうにも解せないポイント。

<韓国版>

1幕ソロと同じく結婚式シーンはばっさりカットです。

一応結婚はしているけど特にラブなシーンがあるわけでもなく、ビクターは怪物を探し続けている、というような展開だったと思います。

 

なぜ急に結婚!?ビクターが愛を誓うだと!?となった方も多いと思うし、私も不自然だと思っています。

1幕で描かれた手がかりとしては、

・幼馴染でお互い好意は持っていた

・私と結婚して!必ず戻ってくる。とやりとりはしていた

とはいえ大人になったビクターはほぼスルー。

アンリ処刑前のときに、

「信じてる (あなたが)選んだ道」

「僕といたら君も呪われるよ」少年時代と同じ言葉

「それは遠い日の罪の幻」「僕のそばで君が傷つくこと 今もそれが怖いんだ」

というやりとりがあり、触れようとするジュリアを避けるビクターという描写がある。

別にビクターはジュリアを嫌っているわけじゃなく、むしろ平和でいて欲しいから自分から引き離しておきたいという想いがあるはず。

とはいえかっきービクターから見える想いは男女の愛情とは違うし、大切な幼馴染ではあるけど自分のそばにいて欲しいとは望んでいないと思った。

実験やアンリの方がよほど大事なように見えるし。

 

確かにビクターが誰かと結婚するならジュリアしか(いろんな意味で)いないと思うけど、それはジュリアを受け入れた形であって、ビクターが人が変わったように愛してる!とか言ってみてもどうも違和感。。不自然だし本気なのか疑いたくなる←

 

雷が鳴ると怯えて窓の外を確認するビクター。

「大丈夫、誰もいないわ」と言われても落ち着かない。

その後のセリフで、1幕から3年がたった、ステファンもビクターを受け入れた、エレンとも仲直りした

でもビクターだけが過去に囚われている、国境付近までくまなく探したけど見つからない

などが説明されます。

「やっと結婚できたのよ、せめて2人でいるときくらいは私を見て…」と言われ、ごめんジュリアと額にキスするビクター。

 ステファンがビクターを受け入れるのはともかく、エレンと仲直り?仲直りすることか?と思うけど。。

結婚してもビクターが心あらずなことは伝わる。

((結婚に関しての解釈はなんとかひとつ見つけられたので、関連する♪後悔の部分で書きたいと思います。))

 

そこに駆け込んでくるメイド。

ステファンが戻らないので探したら飼い犬が森で獣のようなものに噛みちぎられていた。

って話なんだけどメイドにしても(ジュリアの)執事にしても結論を早よ言えや!!と思います←

仕える者の立場で緊急の用事を伝えるんだから結論から言わんかーい。

 

町人が森の中ステファンを捜索。

まずステファンが市長だったんだという発見ですよね。

だから民衆も捜索を手伝ってくれるのかな。

水晶玉を手にした占い師の老婆が登場しますがなんのためにいるのかは分からない。

韓国ではCrazy Wowanという名で、やっぱり登場意義は謎だそうです。

 

 

周りから人々がいなくなり、ビクターが1人になったタイミングで怪物が登場、

「ビクターフランケンシュタイン、俺の創造主よ」と呼びかける。

出て行ったときは獣のように動き、唸り声を上げていた怪物が、まっすぐに立ちビクターに言葉を投げかける、そりゃびっくりする気持ちは分かるけど、

「お前、、しゃべれるのか」は酷いよね。

ここで再会できた喜びや過去の行動を後悔する意思を見せていたら違っただろうに。

「アンリ!」と呼びかけるもその男の記憶はない!と怒りを見せる怪物。

実験日誌をビクターに投げつけます。

実際、このときはまだアンリの記憶は戻っていなかっただろうと私は思う。

 

怪物の初めての記憶はビクターに首を絞められたこと。

1幕で観客が見たあの、痛い苦しい!酷い!って辛そうな顔、あのときが最初の記憶。辛すぎ。。

つまりルンゲを噛み殺したのは完全に本能で防衛しただけだったんだよね。

 

「お前の望みはなんだ」と尋ねるビクターに、味わった地獄と流し続けた血と涙の話を教えてやると歌い始める怪物。

途中まで話を聞いているけど、森の中の回想シーンでそのまま「過去のビクター」として民衆に混じり、はけていきます。

 

しばらく森の中にこもって生き延びていたけど、ついに食べ物がつき村里に下りていった怪物。

下りていったタイミングで熊に遭遇してカトリーヌを助けたのかな。

 

自分の犬を食べてしまった怪物を探すエヴァとその手下たち。

そのすきに逃げようとするカトリーヌ。

やっぱりキムはカトリーヌの方が生き生きと演じているように思う。

体勢も低くガニ股でジュリアとは別人のよう。

助けて見せにきたのに殴られ、捕まってしまう怪物。

 

闘技場

♪欲と血の世界

もう濱田めぐみオンステージ。

曲のタイプとしてはアリスインワンダーランドの帽子屋系。

広い音域、地声からファルセットまで自由自在に操るめぐエヴァ。圧巻です。

特に楽日はこぶしきかせまくり。あのまま音源が欲しかった。。

めぐエヴァの♪あっあっあっあっあっあっああっあっあー のスタッカートが死ぬほど好き!

 

ダンサーは女性のみ。よく東宝系で観る娼婦ダンサーっぽい衣装です。

個人的にはああいうのあんまり可愛くないと思うし髪の毛もくるくる盛り盛りでなんだかなー

エヴァたちの手下の薄めのゆるっとしたベスト着た男たちも傍で思い思いに踊ったりしてます。

残りは階段にいる金持ちそうな客たち。闘技場の戦いに賭けていたり、気に入ったダンサーにお金をあげたり。

個人的には階段1番上から恍惚とした表情でダンサーにお金を握らせる谷口さんが印象的でしたww

あとはイゴールの存在感ね。

フライヤー見ただけで、こんな役あったっけ…??と混乱したもんww

顔は白塗り、頭の上にはボーリングのピンのようなものがあり、ダンスはキレッキレw

 

怪物は自分から攻撃はしないけど、強いので負けない。

ただとどめを刺さないので観客もエヴァたちもそれが不満なようです。

 

試合も終わりエヴァの歌い上げ後、大きな拍手の中しれっと上手から出てくるジャック。

「センキューグラッシアスーメルシーダンケーからのーカムサハムニダ系〜サムギョプサル系〜」と言いながら股間にステッキを挟んで腰を振りまくるジャック。早速なんか下品ww

(2/19追記)博多仕様で「ばり会いたかったと〜♡」は可愛かったw

 

そこにフェルナンドが現れ、利子を返せないなら担保に闘技場を差し出せ。明日の試合でチューバヤ後藤さん(フェルナンドの飼っている男、強い)に勝てたら支払いを3ヶ月待ってやろうと持ちかけます。

「それが〜最近〜不況で〜」と声を震わせて杖を頼りによろよろ歩くジャック。

ちょっと私テレビ俳優に疎いので分からないけど誰かの真似なんですね。

後半には、フ「それは誰の真似だ〜」ジ「日本の俳優さんです〜」フ「誰だか言ってみろ〜」ジ「大人の事情で言えないんです〜」とアドリブが続いてた。

楽日には、フ「今日だけは言ってみろ〜」(めぐエヴァ吹き出して後ろを向いてしまう)フ「それはき(?)がつく人か〜?」ジ「つきます〜」

(2/19追記)フ「博多弁はやらないのか」ジ「最近不況っちゃ」フ「それであってるのか?」ジ「あってるっちゃ。。あってるけん!」

 

フェルナンドが去ったあと、エヴァ「私たちにはあの怪物がいるじゃない!」

ジャック「あいつ最近思春期なんだよ。」

ゴルフのショットをしながらだったりしゃがみこんでいじいじしながらだったり。

楽日には水を掛け合うアクションをしながら「あはは!やめてよ〜!ほらー水着着てないんだから!やだー」みたいな1人芝居をするジャック。自由すぎるww

 エヴァがジャックをバシバシ叩いて「夫として役立たずなんだから商品の管理くらいちゃんとやってよ!」がベースのセリフだけどここはめぐさんもフリーダム。

叩かれてジ「痛い痛い!セリフ最後まで言わせてよ〜!」

「夫として役立たず」は明らかに性的な方向を意識。股間をバシバシする回が多かったww

 

牢獄

場面の転換はジャックが闘技場から梯子を登り牢獄の上から扉を手で指し示す。

何がというわけじゃないけど鮮やかで目を引くんだよなあ。

 

引き出された怪物に、実験日誌を見せるジャック。

「びくたーふらんけんちゅたいんのじっけんにっちー!」

「こんなことがあるのか!つって!ある(首ブルブル)のか!つって!」

「ところでさー最近さーこの闘技場のさー評判さーガタ落ちなんさー!」

「生命の想像をしようとおも、ふ☆」

前半は3分クッキングのパロディだったり星三つ!だったり料理系ネタ、

後半はPPAPネタでした。(I have a アンリの首!I have a ビクターフランケンシュタイン!んーっ!怪物くん!)微妙にスベって「微妙にスベってんじゃねーかよ!!笑ってんじゃねーよ!!」と怪物に八つ当たりするジャックwwひどいw

 

♪お前は怪物

そもそもベースの歌が上手いんだけどねちっこくいやらしーく歌ってみたり奇声あげてみたり自由自在。

そして何より下品!!ww

かっきージャックは上記のようなふざけた口調から突然殴る蹴るしたり、どすの利いた声で脅したり、そして性的暴行も激しい。

隙あらば股間を押し付けるジャック。色々凄かったけどこれ以上は文面に残すのはやめておこうww

(2/19追記)後ろからも前からも激しいんだけど、その前後の細かい動作も増やして来たりするし小西怪物も明らかにそれを受けた芝居するのでなんかもう。。公然わいせつ罪一歩手前だと思います笑

 

ジャックはけ、イゴールに一緒にステッキに乗る?と誘う。乗せてあげたり、乗せると見せかけて乗せなーいとかww

前楽は「乗る?」と聞かれて疑うイゴール。やっぱり乗せてくれなくてジャックの背後にぴったり張り付いてハケてましたww「やめて〜んセクハラ〜」とかどの口が言うんだお前ww

楽日は「イゴール!ご褒美にこれ(ステッキ)あげるからさー、一発芸やって」と無茶振り。頑張ってステップを踏んでみるも生暖かい拍手の反応に「俺よりスベってる〜」と満足そうにはけていきましたw

(2/19追記)福岡では「乗っていいよ♡」って言ったのにプイッと先に帰ってしまうイゴール。ジャックは「このボーリング頭!」と捨て台詞を吐いて行きましたw

 

1人ノートとともに残された怪物。

そっと開いて見てみる。(けど多分まだ字は読めないんじゃないかと、、)

真剣に見ているところをカトリーヌに話しかけられ驚く怪物。

「こん にち は」と話しかけ、やっぱりだめか…と思ったとき、同じように答える怪物。

その朝から言葉が出てくると言う怪物。

「こないだはありがとう、助けてくれて」と言うカトリーヌに対して、出ました名言。

「クマ、オイシイ!」

 胸のあたりを布で拭いてあげるカトリーヌ。

*和樹怪物ーくすぐったさに笑い声をあげる。きゃっきゃしてる。カトリーヌとは親子のよう。超ピュア。

*小西怪物ーくすぐったさからじゃれあいの楽しさに笑い声をあげる。笑い方が「いひひひ!ひひひ!」って変な笑いなんだけど可愛いw カトリーヌはお姉さん。

割と淡々としている小西怪物が「クマ!クマ、オイシイ!」の時だけは目を輝かせてすっごく嬉しそうで可愛い。すっごい可愛い。

(2/19追記)両手を前について前のめりで目を輝かせてカトリーヌの話をずっと聞くのほんとに可愛い。。福岡楽ではお姉さんというより対等な立場に見えました。

同じ高さで、目線を合わせて心を通わせる2人。この日はカトリーヌがよく泣いていたからかもしれない。

 

笑いあっているところから急に辛くなってしまうカトリーヌ。

怪物が不思議そうに心配そうに覗き込みます。

物語最後の地となる「北極」は、ここでカトリーヌから聞いた場所。

自由と平和の夢の場所として怪物の心にしっかりとインプットされたのね。

(2/19追記)2回目の「ほっきょく」を微笑んで大切そうに繰り返す怪物。。泣ける。

立ち上がって向かい合うところ、怪物は紛れもなく「人間」に見える。

小西怪物は「舞い飛ぶ鳥のように」でカトリーヌを抱きかかえ回る。

曲の最後、カトリーヌの腰に手を回して抱きつく怪物。

のちの回想シーンでエレンの腰に抱きつくビクターの構図と重なります。。

 

そこにエヴァたちが現れる。

♪人間のふり

カトリーヌを殴るエヴァに「やめろー!」と叫ぶ怪物。

人じゃないくせに人間のふりをして喋るなと2度目の焼きごて。

1度目(♪お前の怪物の時)には何か分からず、押し付けられて初めて驚き絶叫していた怪物だけど、もうその痛みを分かっているので近づけられてすでに嫌がっているのがリアルですごく辛い。。

引き離されるカトリーヌと怪物。

 

♪生きるということは

エヴァの手下たちに強姦され、ずたぼろになったカトリーヌ。

声を上げて笑い、段々と泣き声になってく。

そこにフェルナンドが現れ、この薬を怪物に飲ませれば自由にしてやると、薬を置いて去っていきます。

フェルナンドの姿が消えた瞬間、素早く薬の瓶に手を伸ばし微笑んで頬ずりするカトリーヌ。

日によって表現は違ったけど、、パワフルで疾走感のある歌唱!

激しく動く感情が溢れ出るような、そのまま気持ちが伝わる歌はキムの強みだね。

薬を入れた水を嬉しそうに受け取って飲み干す怪物。

容器を受け取るときにカトリーヌの手に触れ嬉しそうにしている姿が辛い。。

ラストにある高音2回が裏声なんだけどその瞬間声量が全くなくなってしまうのが本当に惜しい。怪物もかなりアレンジしてるんだから音変えてしまえば良かったのに。

 

闘技場

舞台は再び闘技場へ。

ダンサーの間をぐるぐる回って一緒に踊ってみるジャック(全然踊れてない)が地味にツボ。

初めは優勢だけど途中で力が入らなくなり追い詰められていく怪物。

その様子を見たジャックは何か裏があるなとどこかへ行ってしまう。(それまでは階段の外側にぶらーんとして次々にダンサーに気持ちよくしてもらってるお下品ぷり)

1度はチューバヤが勝利するも、ジャックがカトリーヌを連れてきて事態が変わる。

カトリーヌを見て嬉しそうな怪物に「こっちを見ないでバケモノ!あたしはただ生きたいだけ!あんたに与える慈悲なんて持ってない。だからそんな目で見ないで!」と突き放します。

フェルナンドに見捨てられ、慈悲を求めるカトリーヌにナイフを突きつけて「私が一番嫌いなものがそれよ慈悲。」、嘘つきは死ねばいいとそのままフェルナンドを刺し殺す。

チューバヤもそこで殺されてしまいます。瀕死で胸の筋肉をピクピクさせるチューバヤの首をステッキでひねってとどめを刺すジャック。

「1回こいつとやりたかったな〜」「筋肉ピクピクだいきょうきーん」「チューバヤくん、特技胸の筋肉をピクピクさせること」「お疲れ様でしたーん」とかここまた好き勝手なアドリブですww

そのままチューバヤを枕に寝っ転がるジャック。

そしてエヴァがじわじわとカトリーヌを切りつけたりするんだけどちょっとここは初見以降直視できず、、

楽日に初めて怪物がカトリーヌの悲鳴に反応して必死に手を伸ばしているのに気がつきました。。

裏切られてもなおカトリーヌを守りたい怪物。でも体は限界を超えていて動けません。

(2/19追記)やっと直視できたチューバヤとの闘い、腕を折られ脚を折られ首を折られるタイミングと位置が明確でした。。唯一動かせるのが片腕なのね。

カトリーヌの声が聞こえてそこにいるとわかった瞬間から肘下をトントン動かして反応して、ここにいるよって知らせてる。

でもカトリーヌに酷い言葉を浴びせられた瞬間、伸ばしていた手の動きがぴたっと止まってしまう。その手の静止だけで怪物のショックが感じられます。。

 

イゴールがカトリーヌを連れて行った後、ステッキをコンコン鳴らしてチューバヤとフェルナンドの死体を片付けさせるジャック。

血に濡れたナイフを指でなぞるエヴァ(オーラも表情もめっちゃ怖い。。)に「壊れちゃって返品もできねえよ」と声をかける。

「また次のを探せばいいさ、怪物はどこにだっているよ」とナイフを客席に向けながらつぶやくエヴァ。空気が凍る。

そしてその空気をジャックぶち壊して、けたたましく笑いながら2人ではけていく。

あのめぐさんが一瞬で凍らせた空気のぶち壊し方、めちゃくちゃ上手いなと思います。かっきーは舞台の見せ方が本当に上手い。

 

♪俺は怪物

*和樹怪物

この曲に関しては圧倒的に和樹怪物の方が印象深かった。感情を爆発させながらも「曲」として成立させていたところがすきでした。

「血は誰かの血!肉は誰かの肉!」の自らの体を構成するものに対しての苛立ち、やるせなさがビシビシ伝わってきた。

*小西怪物

小西怪物の口の歪みはこの曲からなくなります。個人的にはここでもう思考が完成しているのかなと感じた。

曲というよりセリフのような感じ。叫び。「昨日初めて見た夢」からの表現は小西怪物が好きだった。

もう胸が苦しすぎて。。「夢の続きを生きてみたい」の切なさがやばいです。消え入るようなラスト。

「心臓は今も生きろと激しく脈打つのに!」って歌詞は好きでした。

怪物の強く激しい鼓動が聞こえてくるような気がして。

望まない強さ、辛いだけで意味のない人生。それなのに心臓は自分の意思に関係なく生きるために強く激しく脈打っている。。

(2/19追記)この曲、まずはじめに出てくるのが真の孤独に突き落とされた哀しみと絶望、そしてこんな境遇で生きていかなくてはならない怪物を作り出した創造主への激しい怒り、憎しみ、恨み。

酷い目にあった場所でもあるけどカトリーヌと束の間幸せなときを過ごした場所でもある闘技場を燃やし尽くして、

初めてみた夢、人の温もりに包まれた一瞬の幸せへの渇望、一人ぼっちの哀しみ、どう生きていけばいいのかという絶望、またそこに戻ってくる。

 和樹怪物は、創造主への怒り恨みが強く印象に残ってる。立ち上がり怒りに燃えて火をかざす姿が。
一方、小西怪物は哀しみと絶望が強く。 子犬の鳴き声みたいな声をあげていてたまらなかった。。


エヴァの手下たちを追い払い、闘技場に火をつけ、その場を去る怪物。

その胸に人間への憎しみ、創造主への憎しみを抱いて。

おそらくこの後、実験日誌をしっかりと読み自分の生い立ちをはっきりと知ったのだと思います。

そして準備をしてから、ビクターの元へと現れた。

 

 

今日はここまで!

アドリブ解説が多くなってしまったww

1番色々思い、考えることがあるのはこの後〜ラストなのでまた長くなりそうだなぁ。

今週中には書き切りたい。