No day but today

ミュージカル関連をディープかつマニアックに語りたいがために作ったブログです。普段はTwitterでわっしょいしてます→@musicalamnos

ミュージカル『ポストマン』覚え書き2幕②

 

続いています。。

2幕の後半と3幕分。

a-syamu.hatenablog.com

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2幕。

 

(M21マルコの失意。以降)

 

パオロの家。

さらに悪化している症状。

咳き込んで薬を飲もうとするもそれすらも出来ず床に倒れこんでしまうパオロ。

そこにタイミング良く訪ねてきたマルコが助け起こし、薬を飲ませる。

「悪化してる、早く医者に診せた方が良い。」と言うマルコに「どこにそんな金っ!」と少しうんざりしたような様子で返す余裕のないパオロ。

(大まかには2幕頭のやりとりと同じ。)

体調の悪化ももちろんあるだろうけど、マルコを傷つけたはずのパオロの方が罪の意識で不安定になっているんですよね…

ここですぐ返そうとした言葉を一度飲み込んで、落ち着けるように優しく「なんとかするしかないだろ?」と言い直すところにマルコの人柄を感じる。

たぶん出そうになった言葉は変わらないけど、言い方や声のかけ方を変えた。

たとえ自分は失意の直後でも、マルコはそうやって相手のことを考えて気を遣える人なんだと感じるところ。

「すぐに戻るよ…」と告げて漁に出て行くマルコはきっとパオロを医者に診せるためにも働きに出なくてはという想いが間違いなくあったと思うのです。

 

残されたパオロはM20での「神様お願いだ〜」を再び絞り出すように歌う。

天気が荒れてきたところに来客が訪れる。

マントを被り、荷物1つで現れた息の荒いソフィア。

しかしマルコはちょうど前日に漁に出てしまったところで、入れ違いになってしまった。

 

M22 ソフィアの心(たぶん…)

彼のことを忘れようと思って街に戻ったけど、

着いたらすぐに彼に会いたくてたまらなくなって、親に隠れて連絡船に乗り込んだ。

全てを捨ててマルコに会うため戻ってきた。

 

どうして来てくれなかったのかしら、彼を困らせてしまったのかしら。と不安がるソフィアにどうしても嘘の内容を伝えたと言えないパオロ。

それでもなんとか教会の壁に彼がソフィアの絵を描いていたことを伝える。

希望を見出し、彼が戻ってきたら今度こそ自分の気持ちをちゃんと伝える、ありがとうパオロと伝えて出て行くソフィア。

 

まさかソフィアが彼をそれほどまでに愛していたとは。自分がしたことは独りよがりだ。。

自分が手紙の真実を歪めたなんてとても言えない。

とソフィアの行動に自分が間違っていたことを知るパオロ。

2人の願いは、マルコに早く帰って来て欲しい、ということ。

 

余談ですが、、ここまで時系列としてどうなんでしょうね。

私の勝手な想像としてはこんなもんかなと、、

・1日目朝 マルコ漁から戻る、パオロに手紙を託す

・1日目昼前? マルコ、ソフィアの家に行く→綺麗な場所へ連れ出す

・1日目夕方 パオロに俺結婚する宣言

・1日目夜 ♪離れている時間(絵を描き始める)

・4日目くらい 噂になっているとパオロが忠告

・4日目夜 ソフィアに呼び出され手紙を託されるパオロ

・5日目朝 客船来る、♪すれ違い、♪マルコの失意

・6日目 パオロの家で薬を飲ませる、マルコ漁に出る

・7日目 ソフィア戻ってくる

 

 

M23 嵐

不穏な音楽。

船が何日も帰ってこない、どうか無事に帰って来てと願う2人。

特にパオロの憔悴した様子は数日間の焦りや不安、苦しみを感じさせます。

 

M24 -

タイトルがこの横棒だけなので想像するしかないけど、

恐らくこの曲はあの、マルコが命を落としたことを暗示するシーンでしょう。

たぶん♪いにしえの恋歌 のアレンジ。やはりこのメロディーは死に関連したシーンで使われているように思います、

荒れる天気の中、後ろの渡り階段の真ん中まで静かに進みでるマルコ。

その姿には驚くほど生気がない、いやそこにいるのに命の存在が感じられない。

照明がふっと消えて、まるで波に飲まれたように見えた後、そっと階段を降りてはけて行く。それも全部見えるのよ。でもそれでもそこに死を感じる。

ノートルダムの俳優⇄カジモド移行を思い出しました。

海宝くんって存在感のコントロールが自在な人だなと思っていたんだけど、

それは出るべきところで目立ち、不必要なところでは周囲と馴染む、といった種類のものだけでなく、

命を、生きていることを感じる感じないというレベルまでなのね。。凄い人だ本当に。。

 

パオロがソフィアに、

船が港に戻って来たけど、マルコはいない。

船だけが帰って来た。他の漁師たちも見つかっていない。と告げる。

(これ初日は一言目「マルコが帰って来ました!」と言ってそのあとで「マルコはいません…」って言うから、何言ってるんだろう、お前はフランケンのポンコツ執事か?と思ったんですけど←気になった方はフランケンの覚え書き参照w

次に観たときは直ってた。良かった。)

「マルコは大丈夫よ…信じない…」と海へ飛び出していこうとするソフィアを制止するも、「彼が戻っているかもしれない!」と絶叫して振り切って行ってしまう。

 

M25 パオロの祈り

2人のためと思ってしたことが全て無駄になった。独りよがりだった。

それどころかマルコが命を落としてしまった。自分が歪めた真実を知らずに傷ついたまま。

せめてマルコがソフィアの想いを知っていれば。

自分が変わることができれば…

潰れそうなほどの後悔と、せめて残されたソフィアに幸せな人生を送って欲しいという切実な願い。

パオロの苦しげな歌唱に胸が締め付けられる。

 

そこに♪いにしえの恋歌を歌いながら通りすがった少女、パオロに気づき「郵便屋さん!」と声をかけるけど様子がおかしいので「どうしたの?」と心配そうに。

隣に座った少女は「天国に手紙を届けられたら良いのにね」と呟きます。

(事情を知っているわけではないと思う。だからこそパオロも少し驚いてる。)

2幕初めに遠慮がちに取り出した赤い封筒。

少女は喧嘩をして酷い事を言ったまま亡くなってしまったお父さんに謝りたくて手紙を書いて。でも書いたら捨てて。でもどうしても書いてしまって。繰り返している。

「本当は届けたい。。」

そんな少女にパオロは自分が届けようか?と提案をする。

「僕は郵便屋さんだから。それに少なくとも君よりずっと早く行ける。」

それならと手紙を託した少女は「ありがとう!少し元気が出た!」と微笑んで去って行きます。

後悔と絶望と、残る命の短さに押しつぶされかけていたパオロは、ここで使命を見出したんだと思う。

少女の手紙を天国の父親に届ける、そして事実を伝えられなかったソフィアの手紙をマルコに届ける。

ここの柚花ちゃんのお芝居もなんとも好きでした…

年齢的にもちょうどあどけなさと大人っぽさが混じり合う時期なんでしょうね。

大人びた様子から一転、「本当はとどけたい。。」ってつぶやきがたどたどしくて。

 

M26 あなたの絵

マルコが絵を描いていた教会の壁の前に座るソフィア。

「鐘が鳴る教会に〜思い出は苦しくて、会いたくて」まで壁を見つめて、それから客席の方を向いて。

tekkanさんの事前番組で歌唱披露があった曲ですが、本番の方が何倍も素敵だった!

「澄んだ瞳輝いて水平線見つめてた あの眼差しに恋した そうよ心から」

この歌詞が、あまりに海宝マルコにぴったりの言葉で、聴きながら、

あの、ソフィアを連れ出して嬉しそうに遠くを眺めていた姿を思い出す。

ソフィアと同じように客席もきっとその輝く瞳に恋をしていたんじゃないかなぁ。

 

タイミングは忘れてしまったけど、大きな動きの少ない歌唱の中で、一箇所ソフィアが両手をふっと広げます。

たぶん、「私も生きていけるわ、そうよこの場所で」あたりだった気はするんだけど。

そのタイミングで真っ白な強いライトが差し込むのがとても印象的でした。

他の作品でもだけど、やはり真っ白な強い光って天からの光のような、亡くなった命の澄み切った輝きのようなイメージがある。

マルコの存在を感じさせるとともに、ソフィアを力づける天からの光のように思ったなぁ。

 

箱入りで、世間知らずだけど強さが垣間見える時のあったソフィアが、

哀しみの中で本当の強さと前を向く力を得たような、そんな感覚でした。

あどけなさが残る瑞々しい少女が地に足をつけた女性へと成長する姿を等身大で描いた小南ちゃんのソフィア。

素敵でした。

 

M27 別れ

ソフィアのもとに訪れるパオロ。

手にはブーゲンビリアの花束を待って。

「あらブーゲンビリアね」「満開に咲いていた」「良い香りだわ」「きれいだ」

(ザクッと調べただけの知識によるとこの花にはあまり香りはないそうですが←)

 

旅に出ます、長い旅になるかもしれません…と別れを告げに来たパオロ。

ソフィアは身体は大丈夫なの?と問いかけますが、

パオロの言う長い旅は、決して戻らぬ旅。マルコに会いに行く旅。

やつれきって生気のない様子。

パオロはソフィアに、マルコに手紙の真実を伝えられていないこと、自分が全てを歪めてしまったことを告白しようとします。

何度も言いかけては上手く言葉がです、踏ん切りがつかないパオロ。

そしてきっと全てを察したソフィアは彼の手を取って力強く握り、首を横に振ります。

「言わないで。」と言うかのように。

 

M25のパオロの祈りであったように、ソフィアにせめて新しい幸せを掴んで欲しいと伝えるパオロですが、

ソフィアは「私なら大丈夫」「人を愛することは2度とないから」と静かに微笑んでブーゲンビリアの花を胸に抱える。

 

解釈によって変わってくる気はするけど、

私としてはソフィアがパオロの口から真実を言わせず首を横に振ったのは、「言わないで。(きちんと言葉で聞いてしまったら耐えられない)」という気持ちが大きかったんじゃないかと思っている。

ようやく前を向いて1人で立てるようになったけど、それ以上の強さを持てる段階ではなかっただろうし、

決して「言わなくて良いのよ。分かってる。許すわ。」ではないんじゃないかと。

これがソフィアの限界だったんじゃないかと私は思うし、結果真実を告げて謝罪する機会を与えられなかったパオロはとても辛かったと思う。

でも、これが現実。誰もが救われるハッピーエンドばかりではない。

 

残ったソフィアも、親を裏切って島で1人暮らしていく。ただマルコを想いながら。

その後何が起きたかは分からないし、もしかしたらその時の想いを曲げて別の人生を歩んだかもしれない。

でも彼女もまた辛い。

 

ブーゲンビリア花言葉は、「情熱」「魅力」「あなたしか見えない」だそうです。

個人的にはマルコのイメージに合う花言葉だなと思っていたけど、

このシーンでのソフィアはあまり幸せではない意味で「あなたしか見えない」だったりもするなと。

 

ソフィアに静かに「いってらっしゃい…」と見送られたパオロが立ちすくむ道は、天国へと続く道のようにも見えます。

「許してください。とても許されることだとは思っていないけど、でもどうしても償う方法が分からない。

約束します。僕は必ずマルコに会って、あなたの手紙を彼に渡す。」

 

M28 時を越えて

1幕ラスト、♪届けたいあなたに と同じメロディー。

パオロの「旅立とう今こそ 届けよう手紙を 再び出会える奇跡を信じて」という言葉から始まり、ソフィアとパオロの想いが交差する。

そして上手へ続く終わりの見えない道から姿を表す眞人。

「誰かが呼んでる僕の名前を 聞こえる遠くで誰かの祈りが」、その歌声がパオロとソフィアの歌声に重なるように聴こえてきたとき、ふっと体の力が抜ける。

深くて柔らかくて、染み入るような歌声。あぁやっとその時が来たんだとホッとするような。

この曲はまさに時を越えて3人が、厳密に言えばパオロ、ソフィア、マルコ、眞人の心が近づいたタイミングなんじゃないかと思う。

それまで傍観者としてこの過去の事実を見ていた眞人が、ついにその空間に触れ、混ざり合う。

途中まではわりとバランス良く3重唱になっていますが、ラストに向けて眞人の声量が爆発していく。

太く強い眞人の声の周りにパオロとソフィアの歌声が吸い寄せられるような、

太陽とその周りの惑星のような印象を持つあの曲の構成はどこまで意図されているんだろう。

2人の想いと、そっと動き出した眞人の想い。それがどんどん眞人自身の想いや「今こそ知らなくては」という感情が溢れ出していくように感じられた。

受け取り過ぎかもしれないけど、実に効果的だったなと振り返れば思います。

 

曲が落ち着いてくなか、パオロは眞人に小さく微笑んでそっと手紙を差し出す。

それを見て目が合って、微笑んで手紙を受け取ろうと手を差し出す顔はマルコなんですよね。。

パオロに「ありがと!」って声をかけながら笑っていたマルコの表情。

手紙を受け取るよりも早く完全に暗転。

 

第3幕

教会のオルガンに突っ伏して寝てしまっていた眞人。

目覚めて目からこぼれる涙を指で拭って、ぼんやりと何かをつぶやきます。

多くは「てがみ…」説。楽の私含めごく1部「ゆめ?」説。笑

どちらも流れとして違和感ないんじゃないかなとは思うんですが、

おそらくこの時点で2幕の具体的な内容の記憶は覚えていない、でも体感というかなんとなくその体に余韻が残っているんだろうし、

最後にマルコがパオロから手紙を受け取った感覚が残っている(としたら「てがみ」とつぶやく方が繋がる。)のかもしれない。

 

起き上がり、美月の絵を描いたスケッチブックを手にとってぼんやり見つめていると、

そこに「おはようございまーす!」と現れる美月。

(ソフィアの余韻が残っているので同じ顔をした美月のキャラに一瞬ついていけないw)

「もしかしてずっと描いてました?」「はい…いや!寝てました!(慌ててスケッチブック隠す)」というやりとり、

これ1幕だったら客席からクスッと笑いが起きそうな(というか1幕で何度かあったような)かけあいなんだけど、

2幕を観せられた客席は(もちろん自分を含め)余韻にぼわーんとなり過ぎてとても声を出して笑えないというか、ふっと微笑むくらいしかできなくて静かな感じで面白いですw

 

何をしにきたのか?と聞かれて、「ときどき掃除を!ボランティアで!?」と慌てる姿に美月も気になってなんとか理由をつけて会いに来たんだなと分かって可愛いね。。

「今日帰っちゃうんですか…」って明らかにしょんぼりしてる美月(可愛い)に、

「お願いが。あなたの絵を描かせてください。」と頼む眞人。

承諾してくれた美月に、ありがとうと言うように穏やかに微笑んで椅子に座るように促す眞人好き〜〜〜(我慢できなくなってきた)

 

M29 奇跡

椅子に腰掛け、美月の絵を描き始める眞人。

戸惑ったような、恥ずかしげな美月を相手にどんどんスケッチブックに描いていく。

M21マルコの失意と同じメロディー。

眞人「微笑む君がそばにいると心の奥の記憶溶けてく」

美月「あなたが描くこの世界に私も一緒に生きている」

2人「つかの間に見る夢だとしても 愛することを思い出した

今ここにある奇跡を離したくない」

とても美しく繊細なデュエット。

でも眞人は突然、「もう行きます。」と荷物を取って教会を出て行ってしまう。

戸惑う美月。(そりゃそうだ)置き忘れていった眞人のオルゴールを見つけて「あのこれ!」と思わず声を上げるもすでに姿はない。

落ち込みつつオルゴールをそっと開けてみるといにしえの恋歌が流れ、どうして…と驚く美月。

 

 

荷物をまとめて道を急ぐ眞人に出会った英二は驚いて声をかける。

「ご依頼の絵は全て描けました。残りは仕上げてお送りします。」と目も合わせず早口で告げるけど「美月の絵は?」と聞かれてやっと目を合わせる。

上手く描けなくて諦めた。もしかしたら本当に描きたい絵を描きあげてしまったらそこで終わってしまうんじゃないだろうか。

と答える眞人に英二はギリシャの離島の絵の写真を見せてその話をする。

本当に大切なものは失わないと思う。人の心は100年経って上の塗装が剥がれ落ちたこの絵(マルコがソフィアのために描いた想い)みたいなものなんじゃないか。

でも僕はその男とは違います、と言う眞人に、

違うかもしれないけど違わない。大切なのは「今伝えること」なんだ。と説得する英二。

(正直ここの説得は弱い気がする…というか。

パオロはかつて、その瞬間に「真実を伝える」ことをしなかったばかりに不幸を招き、後悔し続けていたはずなので、「今伝える」べきという言葉が出るのは分かるし、

眞人が離れようとしたのも、本当に描きたいものを描けたらそこで終わりかもという不安と同時に、M29でマルコの失意が使われていることもあって、心のどこかでその先の喪失を感じて怖くなってしまったんじゃないかなと思うので理解はできる。

でもじゃあこの2つが綺麗につながって眞人が心を変えて教会に戻れる決定打になるかと言われると、少しピンとこないかなぁ。)

 

とまあとりあえず、美月はまだ教会にいるはずと言われた眞人は引き返します。

その様子を見ていた少女は英二に「郵便屋さん、手紙ちゃんと渡せたね。今度は私のお父さんに会って手紙を渡してね。」と告げて姿を消します。

ここの少女、柚花ちゃんの芝居がなんとも好きでした。

優しげで、でも子どもらしさもあって、同時にどこか儚い実体のないような雰囲気。

 

少女と別れた竜治さんは、

人の出会いはやり残したことを果たすために繋がっているのかもしれない。

僕らのように。(超大意)

この「僕らのように」という一言は英二じゃない、どちらの時代も通じて見えているような言葉だなぁと思います。

だからここの竜治さんはM3同様ポストマンとしての立ち位置なのかなぁと。

 

M30 今一度の出会い

M3ポストマンと同じメロディー。

歌詞もほぼM3と同じかな。。曖昧です。

 

教会に戻ってきた眞人。

美月はこのオルゴールは眞人さんのですか?と声をかける。

母の誕生日に買ったものだけど渡せずになくしていて。

(M2の歌の中で語られていた内容が再び)

どうしてこの曲なのかしら?などと言葉を交わすけど、

「もう東京に帰っちゃったかと思ってました…」とついに拗ねたような本音が漏れる。(可愛い)

「帰りません。帰れません。」

まだ未完成なんです。最後まで描かせてください。描きたい絵を完成させたい。

そう言いながらまっすぐ目を見つめて微笑む眞人にこくんと頷いて「はい」と笑う美月。

(これはもはやプロポーズですね。とんだプロポーズを見せられてますよ!)

 

再び腰掛けて向き合った2人は先ほどとは全く違う空気感。

緊張がほどけ柔らかくて穏やかであたたかい空間。

 

竜治さんが再び、M4インスピレーションを掴もうのメロディーで。

「もう一度会おうこの場所で」

英二でもパオロでもない、やはりここもポストマンだと思います。

(ポストマンが爽やかに歌っている間、絵を覗き込もうとする美月に、スケッチブックをぎゅっと胸に寄せて、まだ!あとでね。ってやりとりとか可愛いことするのであんまりここで竜治さんを見ていなかった。反省。

スケッチブックと美月に交互に目をやって、美月と目があって優しく微笑む笑顔の破壊力たるや恐ろしいものがありました…)

 

軽やかに立ち去るポストマン。

きっと次は少女のお父さんへの手紙を渡しに行くのでしょう。

残った2人はそっと立ち上がり、一緒に遠く(客席のその先)を見つめて、暗転。

 

終演。

 

**********

ちゃんと最後まで書けた!良かった!

ここまで頑張って書き残したけど、ぜひぜひ映像化していただきたいところです…!

 

改めて、とても心に残る作品でした。

今まで日本オリジナルのミュージカルって観る機会がほとんどなく。

(ファミミュはファミミュだし、デスノートとかも音楽はワイルドホーンだし。)

正直少し偏見があったなと思います。昔こんなツイートをしていたのを見つけた。↓

「日本オリジナルに日本を生かそうとする結果、和名、和物、着物、戦国、とかになりがちでそれが原作もなく完全なるオリジナルです!と言われるとその時点であんまり面白くなさそう…というイメージなのが問題だよね。」

今回のポストマンは、全く違う方向性の作品でした。勝手に縛られていたのは私の方だった。

 

1番の魅力はやはり楽曲の良さだったかなと。豊かで美しく心に残る曲の数々。

恋のデュエットにしてもこんなに魅力的で、どれも違う印象の曲が作れるのか…というのは衝撃でした。

しかもじわじわくるタイプで、回数を重ねるほどどんどん頭から離れなくなる。仕事が手につかなくて割と困る。笑

 

そして日本オリジナルが強みになっているのが翻訳ミュージカルであちゃーとなりがちな訳詞。

柔らかくて素敵な言葉が綺麗にメロディーにハマるとこんなに心地の良いものかと驚きました。

 

さらにはシンプルでも客席の想像力を上手く煽ってくれる確実な演出。

具体的な「モノ」は本当に少なくて、手紙やスケッチブック、オレンジ、小瓶などの小道具がいくつかあるくらい。

あとは白いブロック(?)を動かすことで色んな場面が生み出される。

(ダディのトランクを活用した場面描写を思い出しました)

 

もちろん作品を表現する役者は言うまでもなく。

いやもう海宝くんに関しては3日くらい語ってられるので逆に割愛するんですけど、

眞人とマルコという2役を演じる海宝くん本当にむっちゃくちゃ魅力的でした。何から何まで。歌も芝居もビジュアルも←

作品のレベルを爆上げさせていたのは彼の歌唱力だったと思います。

 

竜治さん。アンジョで芝居の組み方ががっつり好みな気配はしていたのですが、間違いなかった。

良い芝居をされる方ですねほんと!好き!

この作品を観客にどう感じさせるかの決定的な鍵を握ってるのは、英二パオロポストマンを演じるこのポジションの役者さんかなと思ったりします。

たぶん竜治さんだったから今回の『ポストマン』になったんだろうなと。

 

小南ちゃん。

コゼットではあまり回数を観られず印象が定まりきらないままだったので、今回じっくり演じる姿を拝見できたのは良かった!

やはり若さは圧倒的な武器だと思うんですよ。弾けるようなみずみずしさ。

変にひねらず素直にまっすぐぶつかる芝居は役にも合っていたし、芸達者な男性2人と上手くバランスが取れていたんじゃないかなぁと。

特に♪あなたの絵 の表現が回数を重ねるごとにぐんぐん素敵になっていった。

ただどうしても1曲高音が下ずってしまうのがとても惜しかった。音域的には出る範囲だと思うので綺麗な歌声という武器を早く固められると良いなぁ。

 

音源化、映像化、そして再演。

全力で待ってます!!!

2017年ラストに素敵な作品をありがとうございました!

 

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ミュージカル『ポストマン』覚え書き2幕①

続きです。2幕前半。

なんとか最後まで書いたんですけど長すぎたので分割。。

 

時間が経ってしまったので前半以上にこの曲名はこれであってるのか?&歌詞やセリフはニュアンスです。

ほぼ確実な歌詞は「赤字カギカッコ」

1幕はこちら↓

a-syamu.hatenablog.com

 

2幕。

M11 いにしえの恋歌

1幕と同様、少女のこの曲で幕開き。

でも手に持つのはブーゲンビリアの花、そして赤い封筒の入ったかごバッグ。

1幕ではポツリポツリと思い出すような歌い方だけど、今度は少女自身の言葉に聞こえるような表現です。

ここはすでにギリシャの離島、現代からずっと遡ったパオロたちの生きる場所。

 

M12 僕は郵便配達人

パオロは郵便屋さん。

比較的元気だけど、1幕の英二と比べると明らかに生命力が弱い印象を受ける。

どこか儚さも感じる人。

(役者ってそういうものだとは思いながらもやっぱりこの明確な違いを感じると素直に凄いな…と思う。

死の間際に弱る、とかはわりと演じやすいとは思うけど、本人にしては元気な時点での生命力の差もこうも分かるんですねぇ。。)

 

この曲、というか少女に対面している時のパオロの歌のお兄さん感が個人的に大好き。

優しく、(子供扱いするわけでなく)自然に目線を合わせて、語りかける。

パオロは子どもが好きなんだろうなぁ。

そして優しい優しい人なんだろうなぁ。

 「これは母から娘へ 島を出ていく仲間へ」の歌い回しと愛おしそうな表情がとても好きだった。

この島の人間を愛してるんだろうなぁと感じる柔らかい歌声。

 

少女が自分のバッグから赤い封筒をそっと取り出し、「あのぉ…」「手紙かい?」「やっぱりいい。」「そう?」「うん。。」というやりとり。

「やっぱりいい」と言いながら手紙を隠す位置が柚花ちゃんとるなちゃんでは微妙に違っていた。

そんな様子を見たパオロはそれ以上追求することはなく、自分宛に届いたオレンジを少女にあげる。

(このオレンジが誰からパオロへ届いたのか、というのも少し気になる。

「喉が渇いたら食べなさい」という文面から親や兄姉あたりかなと思ったりもするんだけど、最期まで関わらないようだからそこまで頼れる間柄でもない?

深掘りしない方が良いところかもしれませんww)

 

曲調が変わって明るく軽快な感じに。

TDLのBGMとかCATSっぽいなぁと思ってました。

船が戻って来たようで汽笛が鳴り響く。「帰って来たか?」とつぶやくと同時に後ろで階段を登ってくるマルコ(初登場)。

見晴らしの良さそうな場所で島の景色を眺めて、嬉しそうにニコッと全開の笑顔を浮かべるマルコにまず1回目の胸キュンですよ。あ、死語?

 

 

後ろから「マルコ!」と声をかけ「ただいま!」「おかえり!」と軽く抱擁する2人。

仲の良さがよーく分かる。

「どうだった!?」という問いかけに荷物を運びながら「魚もオレンジもオーリブもみんな売れて金持ち気分さ!」と歌うマルコ。

この部分、あえて息を多く入れ音も少しブレさせる珍しい歌い方をしています。

(マリウスの♪燃える太陽の矢が胸に飛び込んだ〜を思い出す。)

 

「お前の薬、買って来てやったぞ。」と小瓶に入った薬をパオロに渡すマルコ。

「買って来てやった」というんだけど全然嫌味や押し付けがましさがないところ、好きです。

「早く医者に診てもらった方がいいぞ」「そんなお金ないよ」「俺がなんとかするよ」というやりとり。(後に繋がる)

ここでパオロが病気を患ってることが明らかに。

 

M13 マルコの恋(たぶん…)

ところで「俺宛の手紙は?」とパオロに問いかける。

マルコが期待していたのは街から一時的に島へ来ている政治家の娘、ソフィアの手紙。

ソフィアに恋するマルコは何度か手紙(と言ってもマルコは字がかけないので絵)を送っていたようです。

この恋に反対なパオロは、「彼女は良い子だと思うよ。でも彼女はこの島の人間じゃない、身分が違いすぎる。諦めろ、渡しても無駄だ。」と説得するもマルコは聞き入れない。

(ここ、1幕で英二が「美月は良い子ですよ。」とほぼ同じことを言っていて、かつそこでは恋を応援するようなスタンスなのと対比になっている。)

「分かってるけど、でも彼女に会いたい!海の上で描いた手紙を届けて欲しい。頼むよ。」とパオロにせがむマルコ。

あの少し甘えたような、絶対願いを聞いてくれると分かっている上目遣い。反則。

そしてちらつくエポニーヌに手紙を託すマリウス。

軽くため息をつきながら結局受け取ってくれたパオロにかける「ありがと!」のカジュアルさがたまらなく好きです。可愛いなぁもう。。

 

パオロが去った後のマルコの歌を別の場所でソフィアが歌い継いで、次に場面へ。

「ただあなたがいてくれたら」

家の扉の前の紗幕をカーテンのように開いて舞台転換。

ソフィアがマルコから送られて来た手紙を眺めているとパオロが配達に。

父親への手紙を受け取って少し残念そうなところに、パオロがマルコからの手紙を差し出すと戸惑いを見せるソフィア。

一度はなんとか断るんだけど結局耐えられず受け取ってしまう。

 

M14 本当の恋

言葉はないのに気持ちが伝わる あなたのことをもっと知りたい

「最近彼のことばっかり考えてる。…私本気で好きになってしまったのかしら!?」

父親が許してくれるはずないと分かっていながらも、どうしても諦められない

ってもう完全に好きじゃん。無理だよ諦めなよそれもう好きだよwwって心の中でツッコミを入れていると突如歌いながら家に入ってくる不法侵入のイケメン。マルコ。

「どんな時でもそばにいたい 君を想えば星が輝く

決して諦めることなど出来ない 本当の恋だから」

これまた抜群の声量と豊かな音色で歌い上げる。

 

「驚かせてごめん。どうしても会いたくて。」とか台詞がイケメンすぎるし、

「手紙、見てくれたんだ!」って絵だからなんだけど「読む」じゃなくて「見る」なところに字を読めないマルコを感じるし、

絵を褒められて「ありがとう!」と笑う顔が素敵だし、

「そうか、見つかるとまずいな…」と扉に手をかけつつ外を覗き込む姿が格好良いし。

この辺り格好良いが渋滞していて心が追いつきません。マルコ最強説。

 

「見せたいものがあるんだ!街では絶対に見られない、この島で1番綺麗な場所を見て欲しい。」とソフィアを誘う。

家をこっそり抜け出すことに戸惑うソフィアに、「大丈夫!笑」って少し強引に手を引いて家を出るマルコ。

(ここ、見せたいものがあると連れ出すところ、そして動線と行く場所も物理的に1幕と男女逆転しながら対比になっている。)

向かう途中に1人で先に進んでしまって、スカートで階段に手間取るソフィアに「ちょっと待って!」と声をかけられて、「ごめんごめん!」と慌てて戻ってくる姿もたまらん。

ある回では何かが階段にくっついてしまったらしく、「ちょっと待ってね!ちょっと待ってね!くっついちゃった…」ってあわあわしているソフィアも最高に可愛かったです。

 

目的地に着いて

この島で朝目が覚める、それだけで幸せ!と景色を眺めて微笑みながら歌うマルコ。

「ソフィアは?今幸せ?」と問いかけられたソフィアの返答は「分からない…」。

もうすぐ街に帰ることになっていると告げるソフィアに「この島が嫌い?」と尋ねるそのセンスが好きだよ…!!

両親はこの島が好きじゃないみたい、私が好きでも嫌いでも関係なく、思い通りにはならないから…と話すソフィアに、

「そんなのおかしい。君次第だよ。変わろうと思えば変われる、簡単なことだよ!」と諭すマルコ。完全にアラジン。

 

M15 愛すること

別名ポストマンのAMMA(行こうよどこまでも)。

これまたとってもキラキラした素敵な曲なんだよなぁ。大好きです。

デュエット部門で言えば1番好みの楽曲かも。

渡り階段の平部分にあぐらをかいたマルコと、1段下がった段差に腰掛けたソフィアが体を近づけている、あの構図がとても美しくて良かった。

冒頭の「今までの君は愛されてばかり」の「れ」の歌い回しが最高に好きなのと、「それが幸せと信じているけど本当の愛を知らずにいるんだ」直前の転調が大好物。

マルコの言葉に動かされ、

自分の親の言いなり、思うようにされる人生への疑問、あなたと一緒にいたいという強い想いを自覚するソフィア。

 

また1週間もしたら漁に出てしまうから、それまでにもう1度会おうと約束をし、別れる2人。と思うと、ソフィアが戻ってくる。

「マルコ!」と呼びかけられて「ん?」と振り向くマルコがこれまたツボです。

そっとマルコに抱きつくソフィア。(腕を下から回すソフィアに上から優しく抱き返すマルコという構図が良いんだこれが…!)

体を離して見つめあい、ゆっくり引き寄せられるように静かにキスをする。

その寸前の眉根を寄せた表情が忘れられないし、壊れ物に触れるような静かなキスがもはや完全にマリコゼ。

そしてソフィアが去って喜びが込み上げ、振り向いてM14の「どんなときもそばにいるよ!」を素晴らしい声量と幸せそうな笑顔で歌い上げるのです。

サイドからだとこの振り向くまでの喜びが溢れる表情の過程がしっかり見えてたまらなかった。

 

M16 潮騒

パオロの自宅にて。

辛そうに咳き込み、マルコが持ち帰ってくれた薬を飲んでぐったりと座り込むパオロ。

「聞きなれた潮騒 あと何度数えられるか もうすぐ旅立つ日が」など近く死期を感じさせる言葉がちらほらと。

「愛を捧げた人失ったあの日の僕のように辛い想いはあの2人だけにはさせたくない」とパオロが2人の恋を応援しない理由もここで歌われています。

他シーンでも度々あるけど、特にこの曲で、パオロが首から下げている小袋をギュっと掴んでいる姿が印象的。

おそらく亡き恋人との大切な思い出の品なのでしょう。。

 

そこに超ハイテンションで駆け込んでくるマルコ。

「俺決めた!彼女と結婚する!プロポーズする!彼女も同じ気持ちなんだ!」とまくし立てるマルコをいなすパオロだけど、

「親の人生じゃない彼女の人生だ。ソフィアが決めていいはずだ。そう思うだろ?」という問いかけには即答できない。

「アンナのこと忘れてないよな?」と話し始めるパオロに、「もちろん。」と落ち着いて話を聞く体制になるマルコ。真剣な目。

(初日から何公演かはここお互いに腰掛けてのやり取りでしたが、途中から立ったままでの芝居に。客席から見えにくいとの声に答えての演出変更かなと勝手に推測。)

ここでついにパオロの過去がはっきりと語られる。

今のマルコのように、かつてパオロと身分違いの恋に落ちたアンナは家族を裏切って島に残り、結局貧乏な暮らしの中満足に医者に診せることもできず早くに死んでしまった。

愛した人を散々貧乏させて死なせてしまったことを後悔し、自分の二の舞にはなってほしくないと強く思っているのが、パオロが反対する理由。

マルコはアンナの死はパオロのせいじゃないし、2人で一緒に生きたアンナは凄く幸せそうだったよ。と伝えるけど彼の心には届かない。

(ここの切なさと優しさの入り混じった表情がたまらない!)

それでも反対するパオロに、「分かった。もうお前には相談しない。」と静かに出ていくマルコ。

反対されたからって辞めるような男じゃないよねマルコは。。

 

M17 マルコの決心

プロポーズのために何かしたい!でもどうしよう〜指輪なんて買えないしって、椅子にうにょーんって伸びたりして悩んだ結果、

絵を贈ろう。でも紙じゃ足りない…もっと大きなキャンバスがいる…

そんなとき教会の鐘が鳴り、そうだ教会の壁に描こう!と思いつくマルコ。

はしゃいで飛び上がり笑いながら走り去っていく姿はまるで機敏でハイなカジモドです。可愛い。

後半でM8なんだろうこの気持ちはのメロディーが使われています。

 

M18 離れている時間

マルコとソフィア、離れた場所で、夜空を見上げ互いに想いを馳せる2人。

2幕で3曲目のデュエット、それも基本ソロパート×2+デュエットの構成ですが、よくこんなに全然違う素敵な曲作れるなぁ!

ゆったりとした横に揺れるような3拍子。愛に満ちた、美しく柔らかな曲。

「愛されて愛したいそれが2人の答えだ(/よ)」

曲のラスト、マルコは教会の壁に筆を向け、紗幕の後ろでソフィアがポーズを取る、

これだけでまるで完成した絵が浮かび上がってくるような演出。お見事です。

 

教会の壁に絵を描くマルコの元にパオロが訪れる。

「島のみんなが噂してる、この絵のことや君たちのことも。」眞「知ってる。」「彼女の両親は良く思ってないよ。」眞「彼女は喜んでくれる。」「彼女を苦しめるだけだぞ。」眞「…」

と忠告を全く聞き入れないマルコにそっとため息をついて、オレンジを1個置いて立ち去るパオロ。

もちろん意地悪をしたいわけじゃなくただただ心配して忠告をしにきた

(かつ2人の想いが成就して幸せになる可能性よりも重く辛い自分の経験から絶対に反対する決心を固めている)

のをマルコも分かってるから、立ち去った後オレンジに目をやってふっと微笑むんですよね。

 

ここ個人的にとてもキツイなあ…と思うシーンです。

客観的に見れば、その選択が自分たちの首を締めることは明らかで、

想いだけで人目を気にせず突き進むことは決して賢いとは言えない。むしろ不幸を招く。

マルコはとても良いやつで、まっすぐで思いやりがあって優しくて情熱的。

でも同時に計算して動いたり状況を読んで賢く立ち回るといったことが出来ない。

(それを教育を受けていない育ちと結びつけて良いのかは難しいけど。)

恋に目がくらんでいるというのもあるんだろうけど、やはりここはマルコのある意味での愚かさが状況を悪くしてしまったことに間違いない。

 

上手で絵を描き続けるパオロ、

下手で焦ったように身支度をするソフィア、 そこに呼ばれたパオロが「こんな夜中にどうしたんですか?」とやってくる。

今すぐにマルコに手紙を届けて欲しい、本当は自分がすぐにでも行きたいけど無理なの…と頼むソフィア。

「でもマルコは字が読めないんですよ!?」と返すパオロの言葉で初めてマルコが字が読めないことがソフィア(と客席)に知られます。

ここで、だから送られた手紙は絵だけだったのかとか、プロポーズのために用意するのが絵なのかとか。あとはこの後の展開が読めますよね。。

  

それならあなたが読んで聞かせて!と頼まれてその場で手紙に目を通すパオロ。

端的に言えば、駆け落ちしましょう迎えに来て。という内容で僕には出来ません、家族を裏切ってはいけません!と断るも、意思の固いソフィア。

パオロは、かつての自分と恋人アンナのことを話し、「気持ちだけではどうにもならないこともあるんです。」と説得する。

M19 回顧(たぶん…)

彼を愛してる!と訴えかけるソフィアの目にアンナを重ねるパオロ。

同じ過ちを繰り返してはいけない…とつぶやきながらも手紙を受け取ります。

(こうしてソフィアが親を裏切ってでもすぐに動かなくては!となったのは、

おそらくマルコの教会の絵がきっかけで親が早く街へ戻る決意を固めてしまったんだろうと予測がつきますよね…

自分の首を絞め、ソフィアをも苦しめる、まさにパオロの懸念した通りになってしまった。

結局手紙を受け取ったパオロはその時点でもう心を決めていたんじゃないかなと私は思います。)

 

一方、あと少しで完成!顔を描くだけというところまできたマルコは、

突然上手く描けなくなってしまう、笑顔が描きたいのになぜか泣いているように見える。

そのとき下手ではソフィアが悲しそうな、泣きそうな顔をしています。

汽笛が鳴り響き、「珍しいな、客船が来た…」と怪訝な様子でつぶやくと、そこへ手紙を持って戻ってくるパオロ。

「ソフィアから手紙を預かって来た、読んでいいか?」「頼む。」というやりとりに今までもマルコに来た手紙はパオロが読んでいたんだなって。ね。。

この、お互い腰掛けながらパオロの方に身を寄せる角度が完璧で、絵画!もう絵画!

 

階段上でソフィアが本当の手紙の内容を歌う。

あなたのことを本当に愛している。

永遠の愛を誓えるなら今すぐ迎えに来て。

 

そしてパオロが読み上げた手紙は、

「あなたに別れを告げないといけないことを許してください。

本当に愛してくれるなら私のことを忘れてください。

私には街に親が決めた婚約者がいます。さようなら。(超大意)」という嘘。

1文目で「え?」とぽかんとして、その先を聞いて嘘だろ!と動揺するマルコ。

思わず手紙を奪い取って文字を見るけど当然読めなくて、パオロが嘘だと言ってくれないのを見て、「ソフィア!」と叫んで海へ向かって走っていく。

ここの叫びがあの海宝くんの必殺悲鳴混じり(名前がダサい)で聞いている心に突き刺さります。

 

M20 すれ違い(たぶん…)

マルコ「なぜ行くんだ!ソフィアッ!待ってくれ。」

ソフィア「そばにいたい。待ってるわ。」

とお互いへの想いが掛け合いになりながらも物理的に大きくすれ違い続けてしまう2人。

そんな2人の中、神様私のしたことを許してください、2人のためなんだ…と苦しげに歌うパオロの3重唱。

何度か挟まるマルコの「ソフィア!」という必死の叫びが辛い。(エコーの効き方も絶妙。。)

 

海辺で出発してしまった客船を呆然と見送るマルコ、後ろで辛そうに見つめるパオロ。

さらに追いかけようと走り出すマルコを「マルコ行くな!」と止める姿は完全に自暴自棄になったマリウスを止めるアンジョ。

2度ほど体当たりを止めた後に、手紙をぐっと差し出すパオロ、それを見て現実を突きつけられたマルコは1度受け取り、思いっきり地面に叩きつけ、そのままフラフラと地面に座り込んでしまう。

「これで良かったんだ。所詮彼女は街の人間だ。」

「彼女は違うと思ったんだ!一緒に生きてくれる人だと思った。」と手で地面を殴りつけるように想いを溢れさせるマルコ。

「夢だよ夢!彼女もすぐに忘れる。お前も忘れろ…」と声をかけて苦しそうに立ち去るパオロ。

 

M21 マルコの失意

「消えてしまった泡のように」とその手を強く握りしめ、一瞬掴んだ幸せを溢れ落とすまいとするように細く小さく絞り出すような哀しみと絶望の歌唱。

途中(たぶん束の間に見た〜)から立ち上がり歌い上げて行くけど、

1度目の、忘れはしな「い」で繊細なオクターブ上げのファルセット…!

(聴いている分には見事にマルコの想いがのって劇場中を飲み込むような美しく哀しい曲なんですけど、

自分で音取りしようとしてみてもあれ?って分からなくなっちゃう地味に難しい曲だと思います。。他の曲はわりと音の感覚が掴めるんですけどこの曲はよく分からない…)

2回目以降の観劇はこの後に彼の身に起きることもわかった上で観るので余計に辛いです。

 

「束の間に見た夢だとしても」の歌詞とか全体的な雰囲気とか、フランケンシュタインの♪俺は怪物 のラストを彷彿とさせました。

海宝アンリ&怪物観たいよう。。

 

個人的に海宝くんのこういう哀しみや絶望の表現がとても好きで、

(というかそもそも哀しみや辛さの表現が絶妙な役者さんが好き。)

ポストマンにおいてはこの「マルコの失意」が絶品だなぁと思う。

エスメを失ったカジモドとか、エポを腕の中で失くしたマリウスとか大好きなんだけど、あそこで1曲表現されるようなことはないので、今回その表現を思いっきり味わいたいという欲求が満たされました。最高。

 

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と、半端ですがここで1区切り。

相変わらず長いなぁ。。すみません2幕後半も同じレベルで長いです。。

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ミュージカル『ポストマン』覚え書き 1幕

今年の観劇納めとなった作品。 『ポストマン』

シンプルに言うと、むちゃくちゃ好きだったんですよ。

最後の最後にこんなの出会えちゃう!?12月も下旬に入って?!という気持ち。

もう2017年も穏やかに終われるかなぁと思っていたところに巨大隕石が降って来ました。

どれくらいガツンと来たかというと生まれて初めて同じ作品の同じパンフを2冊買いました。

何か残したい!!と思ったものの、どう書いていいのかまとまらなかったのでひとまずどんな流れだったかの覚え書きをガツガツと。

 

出演者

(役者…1,3幕…2幕)

海宝直人…合瀬眞人…マルコ

上山竜治橋本英二…パオロ

小南満佑子…日高美月…ソフィア

+少女…井出柚花、宮島瑠南(Wキャスト)

 

 

奥には渡り階段っぽいセット、手前には道のようなものが斜めに横断しているような。

文面で説明できなくて図を描いたものの私は美術センスが破滅的なことをうっかり忘れていました。辛い。

ニュアンス伝われ…点々のあたりが舞台中央、カーテンのような紗幕があります。

 

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※歌詞や台詞はニュアンスが多いです。

ほぼ確実な自信がある歌詞に関しては「赤字カギカッコ」で書いています。

 

第1幕

波の音。

少女が現れてオルゴールを手に呟くように歌う。

M1 いにしえの恋歌

「遠い記憶の愛しい人 忘るるな めぐり逢うまで」

そこに現れるのはパオロ、ソフィア、そして眞人。

声を発することも目を合わせることもなく消えていく。

 

ところ変わって眞人の家。

眠そう&寒そうに上着を羽織ってフラフラ部屋に現れる。

髪もボサボサで半目の寝起き感。カジモドっぽい。尊い

ぼんやり座って絵を描き始めるとiPhoneに担当者(?)から電話が。

気だるげに出て、「おつかれさまでぇす」「2時間くらいですかね〜(遅いよ!)うそ!あと30分。」「りょうかいでーす」とゆるい若者感。

「あ?」とか「なんすか(ちょっとイラッ)」とかなんともリアルな若者のやりとり。

 

M2 自分が分からない

ずっと絵を描いてきて、先の見えない仕事だけどなんとか絵を仕事にしてる。

でもこれはなんのため?何かを探している気がする。

 

完成した絵をスキャナーでスキャンしてPCで送る、っていうのが現代っぽいっすね。

作業をしている時にスマホが鳴って、目をやるんだけど小さくため息ついてマグカップ(きっと前夜に飲み切らなかった飲み物が入ってる。コーヒーと推測w)を1口飲んで軽く顔をしかめてからスマホの元へ。

メールで担当者から新しい仕事の詳細が来ていた模様。

鹿児島県の離島で絵を描いてくれる画家を探しているから受けるなら早く行って、詳しい話はそっちで聞け。的な。

ここで話の時期がクリスマスちょっと前というのが分かります。

「マジかっ!」と声を漏らして慌てて準備をしていると、ふと木のオルゴールが目に留まる。

 

失くしたと思っていたオルゴール。

母の誕生日にあげようと買ったもの。知らない曲だったけど悲しくて優しい母のようなメロディーに惹きつけられて。

 

「痛みと同じに情熱も薄まるのか」という歌詞が印象的でした。

ちょっと迷って結局オルゴールも一緒に持っていくことに。

部屋を出る時に右手で右の柱にある電気を消して、そのまま右肩越しに部屋を軽く確認するところ、ツボです。

 

M3 ポストマン

ところ変わって英二姿の竜治さん。

ですが、曲名にあるようにここは「ポストマン」としての登場かなという感じ。

途中から鹿児島に向かって来て到着したような眞人も同じ曲を、一部デュエットで。

この曲に関しては、現代の、リアル、ではないと個人的には感じています。

出会っていないはずの英二が眞人を見ていることもあって。

「そんな記憶を何度も繰り返して この海で君に出会った」

この歌詞もこの時点での眞人や英二には当てはまらない。

 

でもここで、M2に引き続き眞人が何かを忘れてしまっている、思い出したいのに掴めない…というような想いを抱えていることが分かる。

 

曲調が変わって(M4のメロディーですね)、明らかに「現代」になり、眞人がすれ違った少女にスマホを見せて道を教えてもらう。

道を教えてもらって別れて、ふと振り向いた時に少女に向けるニコっとした優しい笑顔が良い。。

※このシーン以降少女は登場時常にブーゲンビリアの花が入ったかごバッグを持っています。

(間に英二はセット転換。ちなみにここるなちゃんの方が長い時間眞人を見送っていた。)

 

教会にて。

鼻歌を歌いながらオルガンを整理する英二。

そこに訪れる眞人。

「絵描きさん!!」「…はい…絵描きです。」のやりとり。

絵描き、という響きに少し照れるようなくすぐったそうな、自分は絵描きなんだと再度自覚したような眞人の様子が印象的。

英二が眞人の絵を気に入って町長に勧めたこと、

幼馴染が町長の娘(美月)で色々言いやすいことなどなど説明がある。

幼馴染が今の町長の娘で〜と言いながら指を横方向に動かし、色々言いやすくて〜で指を縦方向に上下させる動きが印象的でした。上手い表現だなぁ。

「僕らの街へようこそ!」とやたら握手が長い英二ww

2度くらいチラ見しても離してくれないので半笑いですっと手を引く眞人。

この教会がギリシャの離島にある教会を真似て作られたこと。

でももはやここは結婚式場みたいになっていること。

今その離島に美月が行っていることなどが語られる。

ここでの眞人「彼女さんですか?」の「かの↑じょ↑」のアクセントにまた若者感w

 

古いオルガンの絵を(自分も一緒に入れて)描いてくれと頼む英二に快諾する眞人。

髪を撫で上げて目力を強くしてポーズを決めるという小ネタありw

何か弾いてと言われて、結婚行進曲(「最近こればっかり弾いてる…飽きたなぁ。。」)のあとに自分の作曲した曲を弾き始める英二。

 

M4 インスピレーションを掴もう

飼っている犬にしか聞かせたことがないけど英二の自信作。割とアップテンポな曲。

「あと少しで手が届きそうな掴み損ねてばかりの夢を」「追いかけて来た?」

 作曲家も絵描きも似てますね!ここなら良い絵がかけそうな気がする。

と一気に心の距離が縮まる2人。

眞人「描いて来た夢こんなもんじゃない もう一度夢を見つけよう」

とぼんやりと仕事で絵を描くことを続けていた眞人が目を輝かせてもう1度夢を見つけようと歌う。

 

出来上がった絵を褒められても「スケッチは得意なんです」とさらりと答える。

仕事で絵を描いていると分からなくなってくる。自分には本当に描きたいものが他にあるんじゃないかって思う。とこぼす眞人に「綺麗な女の人を描いてみたら筆がのるかもしれませんよ!」と提案する英二。

「興味なくて。」「恋人は?」「いません。」「なんでモテないんだろう?格好良いのに〜」「モテないわけじゃないです。(ちょっとムッ)」

「僕は女の子のためならいくらでも曲作れます!すっごい喜んでくれるんで!」

「いいですねー(爽やかな棒読み)」「ちょっと僕のことバカだと思ってるでしょ!」「…はい。(爽やかな笑顔)」

あたりの掛け合いはご本人たちの仲の良さが上手くテンポの良さに繋がってるんじゃないかなぁと思うような軽やかな笑いどころで良かった。

 

「眞人さんも恋してくださいよー」と言われて、

自分も英二のように何か凄い作品を世に出したいと思ってるからそれまでは他のことが考えられない。と話す眞人。

個人的に、これすごく「海宝直人のパブリックイメージ」っぽいんじゃないかなと思いました。表現難しいけど。実際に海宝くんがそういう人だと思っているわけじゃなくね。

「僕は運命の人に出会いたいです!…それも夢の一つかな。」ともらす英二。

(これは確実にパオロの運命の人=アンナに英二はこの世界でまだ出会えていないんだなと繋がるし、

そもそも多分先に「手紙を届ける」役割を彼は果たさなければならないんですよね。)

 

そう言いながらオルガンで弾いた曲はこの島に伝わる作者不明の曲。(いにしえの恋歌)

どこかで知っている…!と気づくもなんなのかは分からないまま、英二を見送ります。

1人教会に残った後も「とおい…記憶の…愛しい人…」とつぶやくように歌う。

気になって仕方がないけど、仕事に集中しないとと切り替えてスケッチに励む。

 

美月、島に戻っている。

「もう帰って来たの?」「帰って来ちゃいけないのー?(おこ)」「ううん、行けなくない!」のやりとり可愛すぎて、英二を幼馴染にください!!

良いよね、幼馴染って。。

ギリシャの離島での話。

教会の真っ白な壁に絵が隠されていた。女性の肖像画

落書きにしては油絵の具が使われていて本格的。無名だけど上手な画家がいたのかも。

英二は女性は画家の恋人じゃないかぁとつぶやく。

M5 不思議な絵と歌(たぶん…)

場は違いながら眞人の「何かを描かなきゃ」美月の「この絵を知らなきゃ」が掛け合い「いけない気がする」と重なる。

作品の作りから、どうしても眞人 対 パオロ・ソフィアという印象があるけど、

美月もまたギリシャでこの絵の話を知った時に何かを揺り動かされてここに自分が知らなきゃいけない何かがある、と感じているはずなのよね。

それ以前から何か足りない、喪失感を抱いていたかどうかは本編では触れられていないのでどこまでその想いが潜在的なものだったかは分からないけど。

 

美月が教会に向かい1人残った英二は、写真の絵を描いた無名の画家と眞人を重ね、

何かを伝えなければ、彼を助けなければいけない気がする…と歌う。

この時点ですでに3人は過去につながる「何か」に触れて無意識の中にもそれを知らなくては、何かしなくては、という気持ちが揃うわけですね。

 

教会。

集中している眞人を邪魔しないように美月は声をかけずに祭壇の前にひざまづく。

ふっと横を向いて美月の存在に気づいた眞人の、目が大きく開き、吸い込まれるように見つめて震える手でスケッチを始める。

M6 彼女を描こう

なぜだろう、彼女を描きたい、彼女を描かなきゃ

と歌い必死で手を走らせる中聞こえてくる少女の歌声、いにしえの恋歌。

復唱するように「とおい記憶の愛し↑い人」とつぶやき、納得したように(?)筆を進める。なんかその言葉が腑に落ちたように思えた。

 

初々しいご挨拶。

美月が「私たちの島へようこそ!」という英二と同じ言い回しをするのが面白かった眞人の「はいw」に美月が「なに?」って答えるんだけど。突然のタメ語な!

あの大げささは一切ないのに少し語尾に笑いが混じった「はいw」が本当に上手いなと毎回思ってました。

その笑いを含んでいる様子に、バカにした様子が1ミリでもあったらいけないし、笑顔じゃなくてあの絶妙な半笑いww

 

この島には綺麗なところたくさんあるんです!全部見て欲しい…(それに答えるはにかんだような笑顔の「はい」はなかなかの攻撃力!)と眞人を外に連れ出す美月。

ここの荷物どうしますか?のくだりはアドリブコーナー。

「お荷物どうします?」「置いておいても大丈夫ですか?(盗られたらどうしますか?)」

「大丈夫…だと思います。」

「この島は安全な島なので。」

「英二がどうにかします。」

「私が戦います。」

「私がやっつけます。」「(眞人)強いんですね…」

とかがあったかなww

毎回頑張るまゆこちゃん可愛かったですw

海宝先生、必ずまゆこちゃんがアドリブ言うように誘導するというか、

自分に向きそうになったら質問返しでボール投げ返すんですよねwwずるいなぁw

 

連れ出された先は夕日が綺麗に見える場所。(個人的には桟橋のイメージ)

M7 金色の夕陽

「素敵でしょ!」からすぐに「金色に光る夕日〜」って歌い始めるのが大変そうだなと思うんだけど、タイミング合わせてくれる生演奏だから問題なし。

その光景を見た眞人は、どこかで見たことがある気がする。。と記憶の奥で何かが揺れる。

そのまま見つめ合う2人。(BGMがM14本当の恋なのです…!)

「お仕事の邪魔をするつもりはなかったんです!今日は帰りますね!」と明らかに動揺して素早く去ってしまう美月。

前の教会シーンでも英二が「お仕事邪魔してますよね!」と出ていくので、やっぱりこの幼馴染2人似てるなぁと思いますw

M8 なんだろうこの気持ちは

残された眞人のソロ、立ち去った美月のソロ、そして離れた場所だけど少しデュエットという構成。

この気持ちはなに?何か大事なことを忘れて生きていたような気がする、

眞人「なぜか切なくなる」美月「どうしてこんなにも愛おしく思うの」

 

各ソロの前半は音が縦に並んでリズムを刻んでいるイメージなのに、

「懐かしい風が〜」から急に明るく、まさに風が通り抜けるように横の流れが生まれる感じの曲調の移行がとっても素敵。

理由は分からないけど、でも惹かれる、なにか知っている気がする…と2人が同じように確信するシーンです。

 

ところ変わって、道。

歩いてきた英二に、少女が突然「郵便屋さん!手紙渡してね!」と声をかける。

なんのことか分からずに少し声をかけるも答えずに走り去ってしまう少女。

??となりつつも、楽譜を教会に忘れたことに気づき、取りに向かいます。

 

走り去った少女はそのまま後ろの階段道を通りながら♪いにしえの恋歌 を歌う。

そこに美月がすれ違い、そのまま後半を一緒に歌い始めます。

ここで少女はハッと振り返って微笑むけど、美月は前方を見つめてつぶやくように歌うだけで少女の方を向くことはありません。

 

教会に戻ってきた英二。眞人に絵を見せてください!と頼みます。

おそらくずっと夢中で美月の絵を描いていたんですが、見せてと言われて初めのページを出してスケッチブックを渡す。

(いやー手渡さずに見せるだけにすれば良かったのにwwと毎回思う。)

自分の絵が好きだと言われて「どうも。(にっこり)」とさらっと返すところがなんだかプロだなぁと感じて好き。

勝手にページをめくって美月の絵まで見てしまう英二。瞬時に「っもういいですか!」と奪い返す眞人。

「見せてくださいよ!」「もういいじゃないですか。」「なんで隠すんですか!」「隠してないです。(スケッチブックひらひら)」「じゃあいいじゃないですか!」とテンポ良く面白い掛け合いをする2人。

 

何としても絵を見たい英二のアドリブコーナー。

「いいじゃないですか。」眞「1日2枚までって決まってるんで。決まりなんで。」

「あっ!」っと他に気をそらさせて奪い取ったり、

「じゃあ絵を見せるのとコチョコチョとどっちがいいですか?」眞「…コチョコチョで。」コチョコチョに負けるパターン、力を入れて我慢するパターン。

「見たいの歌歌うんで見せてください。」眞「見たいの歌…」「はい。」眞「歌ってください。」「見たい〜見たい〜肖像画見たい〜い〜い〜」眞「ダメです。」

とか。合わせ技があったり、いやー面白かったですww

結構遊んでたけど、それに対しての芝居やリアクションでキャラクターがよりはっきり見えた部分もあって、良いアドリブコーナーだったなぁと勝手に思っています。

スケッチブックをゲットして逃げ回る竜治、いや英二の楽しそうなことったらww

ごちそうさまです。

 

しっかり肖像画を見られて、困ったような気弱な感じの眞人がなんとも可愛い。

英二も、教会のスケッチよりもずっと魅力的に生き生きと描かれていた(であろう)美月の絵に素直に素敵だ!と思ったんだろうし、 

大事な美月が眞人にとって特別な存在になりかけていることも嬉しくて仕方ないんだろうなと。

「それにしては気合入ってる…」眞「入ってません。」

「もうすぐあいつ誕生日なので…」眞「いつですか!?(食い気味)」「8月。」眞「随分先じゃないですか〜」とか

若干のからかいが入っているのは否めないけどwwでも嫌味がなくてとても良い。

そしてこう仕掛けられる眞人の間も絶妙で、分かりやすくないけどこれ受ける海宝くんもめちゃくちゃ上手いよなぁと思います。好き。

個人的に好きなのが、

英二の「いいから描いてー!!」と

眞人の「偶然そこにいたからぁ…(´・ω・`)」って弱り切った勘弁してよぉぉって感じの語尾。

 

ここで「眞人さんのために何かしたい、何かしなきゃいけない気がするんです。」と英二の気持ちが漏れます。

それを聞いた眞人は「なんで…?」ってなるけど。

M9 あふれ出す想い

本当に描きたいものを見つけたんだから「今」書くべき!チャンスを掴もう!と説得する英二。

英二の想いに押されて、再びペンを手に取ると何かに憑かれたかのように絵を描き始める眞人。

アップテンポでリズミカルな曲調。2人の高揚感がそのままメロディーになっているかのようです。

「こんなこと1度もなかった…」とつぶやきながらも夢中で描き続ける。

 

完成した絵を英二に見せるも、いや違う!とスケッチブックから紙を切り離してしまう眞人。(ここで紙をビリビリに破いたりしないのが良いなぁ。と思う。)

「こんなんじゃない!僕は彼女の笑顔が描きたいんだ!彼女はもっとこう…」ともどかしさが溢れる眞人に、

英二は「美月は良い子ですよ。彼氏もいません( ̄ー ̄)」と声をかける。

前半の「彼女は良い子」というワードは2幕でも繋がるものですね。

後半のニヤニヤした感じはいかにも男子で可愛いww「カレ↑シ」と言ったり、ポンと背中を叩いたりここの言い方も日によって様々で面白かった。

一方、そう言われた眞人は「いやそういうんじゃ…」って返すんだけど、照れ隠しとかじゃなく本当にそうなんだなと分かる。

付き合いたいとか彼氏彼女とかそういうことじゃなくて、ただここに何か大事なものが、自分の求めている何かがあるという確信だけがあって。

漠然と美月に惹かれているけどそれはいわゆるお付き合いとはかけ離れたところにあるんですよねきっと。

 

もう1回描いてみます。と1人教会に残る眞人。

描こうとするも上手くいかず、ふと持ってきたオルゴールの蓋を開ける。と流れる♪いにしえの恋歌。

これだったのか!でもどうして…と怪訝に思っているところに。。

M10 届けたいあなたに

もうこれまた名曲ですね…ポストマンは良い曲尽くし(というかとても好み)だと思うけど、やはり代表曲というか主題歌的に扱われるのはこの曲になるのかなと。

1幕、2幕共にラストを飾るメロディー。

 

紗幕越しに姿を現したソフィアに「君は…?」と声をかける眞人。

現実に対面するはずのない2人、この辺りからは人によって解釈が変わってくるのかと思いますが、

個人的には教会でそのまま寝てしまったか意識がおぼろげになってきた眞人が見た夢、幻のような感じかなと捉えています。

音楽が繋ぎ、揺り動かしたかつての記憶なのか、幻なのか。

 

眞人(=マルコ)だけが、かつての真実を知らないままだった。

彼は手紙を受け取らなくてはいけなかった。

時代を超えてついに3人の人生が交差し、「何か大切なことがある、何かをしなくてはいけない」という気持ちの方向性が一致し、記憶を、そして真実を知るために眞人の心が時を超える。

 

ソフィア「あなたへ届けたい 手紙を」

眞人「潮風の匂い 懐かしい記憶が 思い出せるはず 今手を伸ばして」

「記憶が呼んでる 大事な約束 今こそ見つめる勇気をください」

パオロ「彷徨い続けた魂目覚める 今こそ奏でよう」

3人「越えよう時を」

 

基本的にこの3人でがっつりハモると海宝くんの声量がえげつないのですが、

ここではセンターで(きっと意識的に)ズガーンと響かせることもあって、

眞人に何かが起こる、この人が話の中心だと自然に観客に思わせる。

 

ゆったりと余韻を残しつつほぼ単音のピアノの旋律で終わっていく1幕。

最後の瞬間、眞人がスケッチブックを胸に少しだけ微笑んでいた。。

暗転して、そっとおしまい。

 

私が観た回は1幕終わりに拍手が入ることなく、劇場中がじんわりと余韻に包まれたまま休憩に入って、それがまた好きでした。

というわけでやっと1幕終了。。また長いね。。

でもせっかく冬休みなので頑張って最後まで書くぞ…

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