No day but today

ミュージカル関連をディープかつマニアックに語りたいがために作ったブログです。普段はTwitterでわっしょいしてます→@musicalamnos

お月さまへようこそ①

お月さまへようこそ。

2018.4.25〜29

f:id:a-syamu:20180505224047j:plain

結局私の答えはこれ!というような確固たる解釈にはたどり着けなかったので、覚えておきたいことや感じたことをポツポツと。

でも答えに出会えなかった結果もこれで良いのかなと思ったりします。

それでも毎回いろんな言葉や表情に心を刺激されたのは間違いなくて、観劇前と後で確実に自分の心の重さが変わっているのを感じた。

楽しかったし、好きな作品でした。

(記事中、たぶんきっちり合ってる台詞もあるし、ニュアンスに過ぎない台詞もあります。)

 

毎回開演前5分前くらいから回替わりで出演者が1人(楽だけ女性2人)が登場して一曲歌ってくれました。そして前説、からの一篇目の準備でネクタイとワイングラスをセッティングしていく。

曲は人によって違ったけど基本的には月や夜と関連する曲(よね?)。

ミュージカルではないのにまあ歌える方が揃ってるのでなんとも贅沢でした。

耳を傾けつつ舞台後方の大きな月を見上げてこれから始まる世界に心を整えていく時間が設けられているのが良いよね。素敵。

初日はそれどころじゃなかったけど←

第1篇「赤いコート」

ジョン(海宝)とメアリー(宮澤)17歳の一夜。

 

海宝くんはネクタイを締め、エマちゃんはイヤリングを身につける。

段差に腰掛けてワインを口に含み、目を閉じる。

その目が再び開いた瞬間に「あ、始まった」と毎回思ってた。役に入る瞬間。

中央を囲むキャストが順番に「やあ、メアリー!」と声をかけ、ジョンの立ち上がりざまの「やあ、メアリー!」で始まる。

 

思いっきりティーン。

照れくささよりほんのりにじむストーカー感にぞわっとすることもあった。

「海宝直人が演じてる」ことで誤魔化されてる気がするけど怖いぞわりと。。

想いが通じていれば問題ないし、愛の強さとも言えるけど、人間ってこういう感情や行動のやりとりがたくさんあってそれがこじれると怖いよなって思ったりしました。

それを感じるのが正解かは分からないけど、ティーンの溢れ出る感情や初々しさに顔が緩みながらも毎回それを感じていたのは事実です。

 

印象的だなと思うのは、「あなた」「きみ」と呼びかける回数の多さ。

特にメアリーは前半「あなた、〜〜」とすべての言葉の前につくんじゃないかというレベルで、

ジョンは「きみが〜」「きみの〜」という使い方が多かったように思う。

 

初めは静かに座ってるように見えたジョンが中には溢れんばかりの想いを抱えていて、メアリーとやりとりするうちに、彼女を行かせまいとするうちにどんどん高ぶって行く様子が手に取るように分かって、好きでした。。

たぶんこの役は左手をお尻に回すのが緊張するときの癖なんだろうなと思います。

勢いの良い「メアリー好きだっっ!!」からの「言うべきじゃなかった…言うべきじゃなかった…」が可愛い。。

「言うんじゃなかった」じゃなくて「言うべきじゃなかった」んだね。

2回目で客席向きで顔を手で覆うときの手の大きさと美しさは計算されたポイントに違いない。

 

気持ちの高ぶりとともに声も高くなって早口気味で、でもそこで聞き取りにくくなることは決してない。

「どうしよう…道まで美しい…」の途方にくれたような感じと、キラキラ輝く道を見つめるその目がね、たまらんです。

街灯についてのやりとりで「綺麗だ…」と言うのは街灯の方を見てはいるけどメアリーについてもでもあるんだろうなと思うし、どこか3篇目を感じさせる気がする。

何度かのキス、ジョンからするときのかがみ方とメアリーからするときの背伸びの、少し体勢が変わる感じ、絵面として美しいわ…と見惚れていた。

 

「歩くの好きなんだ」「どこを歩くの?」「きみの家の近くとか、よく歩くよ」「…好きだよ?メアリー」はやはり一瞬垣間見えるやばさがやばかったです←

なんだろうなぁ、エマメアリーは客席のように引いてはいないんだけど、慌てたように「好きだよメアリー」と告げるその少し上目遣いのすがるような弁明するような響きにギリギリのぞわっとを感じさせる。

海宝くんのこの辺の感じを突き詰めた危うい役観たいなって思いました。

 

メアリーがコートのことを話すのをなんとか理解しようと聞く姿の、角度(真横向いた顔から、少し斜めで腰掛ける体の向きから、脚の流し方からとても良い…!)と真剣な眼差しと小さくコクコクと頷くのがたまらないね。

むちゃくちゃ好きで一言も逃さず理解したいって思いがびっしびし伝わる。

でも途中すっとは理解出来なくて、「分かるかな?」と問いかけられたときに否定はしないけど肯定もできない正直さと、分かりたいのに分かりきれない己へのもどかしさが、良い。。

そこから彼女が言ってることと自分の記憶や感覚が繋がった瞬間の表情の変化が、本当にパアアアアッ✨と顔が輝いて嬉しくて仕方なさそうで、可愛い。

この辺りから顔がキリッとしてくるんですよね。

 

途中から「君だって泣いてるww」で笑い混じりになって。

でもその笑い混じりはジョンの気持ちも高ぶってるのが分かるかなり高めのトーンなのよね。

「知らなかった。シェア出来ること。」「シェア出来なかったら辛すぎるよ。」(台詞曖昧です)みたいなやりとりで、この辺りの台詞違和感覚えさせずに言うの難しそうだなと毎回思ってた。凄いなぁと。

 

「散歩でも行く?」の突然の格好つけとイケボがアラジン。

実際提案を拒否されてるあたりもアラジンww

でもそのメアリーの「ここにいましょうよ。」(ここで座ってるところをトントンするの好きだった)に、格好つけたのをふっと解いて柔らかい雰囲気でそうだねって感じで腰掛けるところがとても素敵で、

アラジンがジーニーに「どう?」って格好つけたのを解いて「ありがとジーニー!」って笑うのが好きだったなぁとか思い出したり。

 

2人で腰掛けて「好きって言って。」「…好きだよ」は言い方や間が固まってなくて毎度ウッってなってましたww

照れ隠しにちょっと格好つけてみたり、ちょっと間をおいて素直に微笑みながら言ったり。

「あなた格好良いわね。お母さんに言われない?」「…言うね。」もちょっとおどけて格好つけてみたり(鼻の下に触れがち)、カジモドの「うん、そうだよ」みたいだったり。

ここの台詞とか眞人の「モテないわけじゃないです💢」とか三平ジャスミンの「私って可愛い?魅力的かしら?」とか容姿の整った人がその可愛さや格好良さを認めたり自認してるのが伝わる台詞が好きらしいです、私ww

 

「あなたの目、キラキラしてる。」

「知ってる、キラキラしてるって、感じる。」 そう言ってふっと見上げた先には満月があるんだろうなぁ。

(告白前?かな、もメアリーに「あなたの目、キラキラしてる」と言われてさらっと早口で「知ってる」と言うのよね。でもそのときとは雰囲気が全然違う。)

満たされたような笑みを浮かべたそのタイミングでライトダウン、曲が始まり、ゆっくりとネクタイを緩める。

少しずつ変わっていく歌詞なので全然覚えきれないけど

2文字ずつ区切るようなエマちゃんの「守ろう この愛 いつでも 夢見て」と海宝くんの静かな「浮かぶ(?)月 満ちてゆく 生きてゆく 生きてゆく」がとても良い感じで絡み合い、世界の境界線が曖昧になっていくような感覚になる。

この時の2人はもうすでにジョンとメアリーではなくて、そのまま立ち去る女性と、最後次の男性を演じる西川くんへのバトンタッチをするように歌いかける男性。

 

第2篇「どん底

ポエット(西川)とラブ(吉田)。

 

6篇の中で1番抽象的な作品なのかなと思う。

そのまま詩人とその恋人かもしれないし、「詩」と「愛」の存在そのものかもしれない。

呼びかけに「私のポエット」「僕のラブ」が多いのが印象に残ります。

耳にした言葉をそのまま落とし込めない台詞が多い。

もちろんそのままの意味でなくてなにかを暗示していたり、ということなんだろうなと思いつつあまり調べたりはしなかった。

・図書館の許可証、削減

・甘い水と大地の恵みの豆

・豆を食べて

・お金が綺麗な緑色

・あなた最近子ども。狼がいたのに怖くなかった。

・折れた鉛筆

・怖くなんかないさ

外から帰ってきたポエットが黄色の上着を着ているのも記憶に残る。

 

なんかいくらでもどんな作品としても捉えられる気がしてね。。

理不尽に奪われ削減される自由や権利、才能。魂が与えてくれる希望や力、どんなときにも近くにいる愛。。

どんなときにもそばにいても、その姿に気づかず見ることをしなかったらないように思ってしまうのが愛なのかなと思ったりもして。

印象的なのは徐々に照明が暗くなっていて、気づけばポエットにはまったく光が当たっていないこと、そして箱が開かれ魂が放たれた瞬間明るい光に包まれ背筋もスッと伸びた姿があること。

最後の台詞、西川くんの「怖くなんかないさ。」の響きがまた凛としながらも子どものような声色でもあってとても締まりが良かったなぁ。

畠中さんがいかにも怪しい存在で2回部屋を訪れるんだけど、2回目のお金を持ってきたときの異質な存在感とギラついた底なし沼みたいな目が凄かった…

西川くんが芝居を固めずに結構変化をつけてきていて、その結果沙良さんがつられてどんどん熱量が上がっていたように感じて。

「さくげん、だよ」に応える「さく、 げん、なの」が好きだったなぁ。

1篇と同じようにライトダウン、曲の始まりとともに次のシーンへの移行。

同じテーマの曲だけど、ラストで「Ahーーーー」と声を上げていく2人。

(どっちも歌上手いものだからこのハモリというか重なりがバチっとはまってとても良い…!)

そこにざわめきが混じって3篇へ。

 

第3篇「星降る夜に出かけよう」

ドストエフスキーに似てる彼(海宝)と太れない女(宮澤)

 

そういえばこの作品、2人の名前は明かされず終い、だよね?

グラスを片手に腰掛け、緑色のライトに照らされる海宝くん(の役)。周囲を残りのキャストが取り囲み、彼に向かって色々とまくしたてている。(幽霊と怪物)

それぞれ何を言ってるのか聞き取れなかったけど畠中さんのお声がよく響いた。

「魂をよこせ!魂をよこせ!」と2篇での台詞とつながっていた時もあるし、「まわせ!まわせ!」と聞こえた時もあった!

でもまわせとは…?聞き違いかな。

沙良さんが海宝くんの髪の毛をファサファサさせてたのも印象的ですw

女が椅子から立ち上がり「私が痩せてるからって嫉妬しないで!」と叫ぶ瞬間、男を照らす緑のライトが消えて周囲の人たちも姿を消す。

 

全体としては、中身のない付き合いや会話に嫌気のさしている、「真剣な」話をしたい、「真剣に」なりたい2人の話といったら良いんだろうか。

 

比較的早口で女がわー!っと大量の台詞を言っていて、なかなか覚えていられないんだけど個人的にはなかなか刺さる言葉が多かったです。

この3篇は自分自身に刺さってくるところが結構あった。

 

お友だちは布製らしきお人形。

稽古場に大きなクマのぬいぐるみ(ジローでしたっけw)がいたのはお人形の稽古場代役だったんだなと初日に把握しましたww

その友人と話しながらも、近くのテーブルにいる男に話しかけなければと行動する女。

「彼、ドストエフスキーに似てる…」という台詞、なんだか無性に声に出したくなる。声に出して読みたくなる日本語。

自分のテーブルを離れるために頭から水をかぶり、「あ、頭に水零しちゃったみたい!」というコント感とお友だちを始末するために段ボールに箱詰め、「無関係!」のシールを貼り付けて投げ捨てるシュールな感じww

後者はそれを少し身を乗り出して真顔で見ている男の様子もツボでしたw

 

柄シャツに縁なし眼鏡、髪はモシャッと気味でパーマが目立つ。1篇とはまた雰囲気がガラッと変わる。

格好良いぞ!!

(共通するものとしてはワイングラス。1篇では一口ワインをふくんで始まったけど、ここでは淡々とグラスを口に運んでいる。)

 

あなたの周りにつきまとっているのはなに?と聞かれて「幽霊と怪物。」と答えるところで(ノートルダム…鐘…)と心がざわついたのは私だけじゃないはずだw

どこがと言われると上手く表現できないけど、「ひとりぼっちなの?」「ものすごくね。…希望なんてない。」というやりとりが大好き。

あとは「真剣な話をしたいの?」「ええ、私あなたと真剣な会話をしたいの!」と言った瞬間静まる幽霊や怪物。

カフェのざわめきかと思っていたけど彼らのざわめきでもあったらしい。静まった瞬間はっと自分の周りを見渡し、少し活き活きした嬉しそうな感じで、

「真剣な話となると奴ら静かになるんだ。むしろ協力さえしてくれる。真剣な話を尊重してるらしい。」

って流れもやたら好きだった。

 

「ロマンスを求めてるの?!」ってこの語尾が「の」になる台詞も好きで。

海宝くんの「〜の」の響きが無性に好きらしいw

「女性と一緒に暮らそうとしたことがある、女性と仲良くなろうとしたことがある。(でも傷ついた。)」みたいな台詞の、”容姿が良くて異性が寄ってくるんだけど性格が内向的かつちょっと変わってるから勝手に幻滅されて傷つく可哀想なタイプ”感が半端なかったです←

 

女が”お友だち”に告げる、

「頭が馬鹿なら簡単に許せるのよ。でも(中略)あなたは心が馬鹿なの!」

「私たちの関係は心のない嘘そのものだった!」とか、

男に話す、

 「そりゃ傷つくわよ。真面目に生きてるとものすごく傷つく。」

「お姉ちゃんは痛みに対して馬鹿になってる。」とか、このあたりの言葉は覚えておきたい。

自分はいまどう生きてるだろう、どう生きたいだろう、そんな部分に刺さったなぁ。

 

女の言葉に「なんだか気分が楽になってきた!」と晴れやかな表情になる男。

初めは他の人と同じだと思ったけど、「今は君が綺麗だって、分かるよ。」この響きと女を見る男の目にどこか1篇を感じる。

「星いっぱいの夜へ出かけましょう!」という言葉とともにさらに大きな月(の布)がバッと下りてきて、舞台の周りには鮮やかな光が。

たったこれだけで世界は、星が輝く宇宙に変わる。これだから舞台は凄い。

ここに来ると2人ともさっきまでとは「全然違う」そうです。男の幽霊や怪物もいなくなってしまう。

女が「シャンパン!」と言うと舞台両端で背を向けた2人が舌を「コッ」って鳴らしてシャンパンの栓を抜いたような音を立てる。

友人はここの海宝くんの舌鳴らしがこの作品の中で一番ドキッとしたと言っていましたwwポイントは人それぞれねww

細かい表現が思い出せず悔しいんだけどシャンパンに対しての「少しの電流を飲み込んだみたいだ…」みたいな言葉が特に詩的というか洒落ててなんだか好きだなぁと思っていた。

その距離のまま女が「キスして!」と言うのだけど、ここは完全に1篇に重なってくるところかなと。声のトーンも含めて。

「どうやってここにきた?それが分かればまた来られるかもしれない…」と言うと男に、「真剣になれたから、来られたのよ」と答える女。

お互いに振り向き片手をまっすぐ伸ばしあいライトダウン。

 

やはりこの物語のキーワードは「真剣になること」なのかな。

1篇と全く同じ2人だけだけど、見た目も声もキャラクターも雰囲気も全然違う。

個人的には1番、自分自身のことを考えさせられたお話でした。

 

ここでいったん前半おしまい。

海宝アラジン備忘録2018年3月1幕-1

備忘録です。レポじゃないです。備忘録です。

安定の長さ。全然書き終わらない。

可愛い、上手い、最高、好き、をNGワードにしたらほとんど文章消えるレベルだと思われます。

※とりあえず1回UPしないとお蔵入りになる気がしたので気合いで途中まで。。

 

f:id:a-syamu:20180325191402j:plain

 

アラビアンナイト

飛び出して来る姿が視界に入って、顔を見て、「海宝直人の顔してるわ…」って思うまでが1セットです。

格好良い。そして毎回背が高く感じる。

たまに見渡したりしつつ台の上でポージング。笑顔だけどほぼ目を細めない。しっかり顔を見せつける時間です。(違う)

→後半だいぶここでの表情が柔らかくニコッとしてるときも増えてきた気が。

仲間たちが出て来るとくしゃっと笑いつつ肩に触れたりハイタッチしたり。

「良い奴らだが泥棒。」にはパッと見るものの本人は腹は立てていなくて、なんだって!?ってなるバブカックを落ち着かせるように肩に手を触れる。

コーラス全力。

「灼熱と!」のポーズでなぜか首が埋もれ気味な角度になるのが可愛い。あと下唇がちょっと出がち。

「身を焦がして!」で回によっては笑顔で首をコテっと傾け台車退場。

 

逃げ足なら負けない

「僕は客だよ!〜」は隣の女の子たちに笑いかけ、小さく手を振ったりしつつ。

そうよそうよ!と味方をする女の子たち。

カシームの登場に得意げな勝ったような表情を浮かべるけど、剣を抜こうとした瞬間びっくりアニメ顔に。

退場まで堪えて、姿が見えなくなった瞬間楽しそうに笑い声をあげて「ちょっとした誤解なんだ!」

「だって食べなきゃ生きていけないもの。」はトーン低め。積極的にやりたくはないけど仕方ないんだ、そうだろう?と言うような。

「盗まなくて良いならどんなに素敵だろう」には、そうだな…というような眉の下がった表情で小さく頷いて。バブカックの言葉には力が抜けたようにふっと呆れた顔。

カシームの盗みを見ながら少し渋い顔で腕を組む。

「本当は嫌なんだ。みんなが僕のことを泥棒だと決めつけていることが」もトーン低めで、状況はちゃんと分かっているんだなと思う。

「泥棒めー!」でびっくりアニメ度高めなポーズ&顔に。

ここの台車くるんでパン落としちゃった回も。この辺りのかわし方と「みんな逃げて!」の感じで、自分が原因の時もそうじゃない時も海アルは仲間をかばって逃してきたんだろうなぁと思う。お兄ちゃんぽさある。

 

女性陣の後ろからスカーフ出て飛び出してきたときの顔の可愛さ!女の子か!

「ご協力に感謝しまーす笑」みたいな時もあって、あぁいつものことなんだろうなぁと思います。

「着ているベストになりたいわー」でこれ?wって自分のベストを見てから、バイバイと手を振って見送る。

第一声「そうさっ!」だけで歌上手そう…と思わせる声の通り方。

「パッと頂戴して〜」あたりは結構客席に歌いかけるような感じ。

「そう、今日はちょっと急ぎでね。」の辺り、落ち着きがあって結構大人め。

「友達に助けてもらおう」でお願いした手をそのままうねうねさせて入っていくのと、よじ登って小窓から出てくる姿が可愛い。。

飛び降りは結構激しめで、占い師への腰の低い謝り方は紳士的。

トランポリンジャンプは低いww

「ねぇ⤵︎落ち着こうよ」とレガート気味なちょっと甘えたような下がり方でキュンとくる。

「お逃げ〜〜!はっはっはっ!」に良い笑顔向けながら両手で👍👍しながら逃げていく。

屋根の上に上がって、ポーズ取るあの瞬間のポーズと表情とが最高に好きなのでフィギュアか何かにして欲しい。

台車の上でパンをいじりつつ登場、「ま、ちょろいもん⤵︎さ↑!」は格好良く決める。

 

駆け込んでくる3人には少し澄まし顔でパンを後ろ手に隠して、「これね!」で一気にくしゃっと笑う。

老婆の姿に気づくとスッとパンを取ってそのまままっすぐ差し出す。ここではあまり笑顔を出さない。

「ごめんよ〜」は回によるけど、そこまで重くも捉えてないしよくあることなんだろうなぁというような空気感。

 

「おい、金持ちにも最低限の礼儀ってものがあるだろ」の声のトーンの低さと、凄みすら感じるオーラはアグラバー1強い男として名を馳せてる感じある。

どこがと言われると困るんですがなんか気持ち巻き舌な印象。

すごく堂々と正面から喧嘩売りにいくんですよね。でも別に喧嘩好きわけじゃなくて老婆への扱いが許せなかっただけだと思うアラジン。

「こんな私を〜」あたりも命乞いというような下手に出る感じはなくて、必死な感じも薄い。

9日に至っては、ああなる結果を見越して発言したような様子すらあって、あぁこれアラジンや…ってなりました。

地面に叩きつけられたときに小さく、うっってうめき声が出るのと、

あざ笑うような「残念でした!」の前に唇をぺろっとするのがツボ。多分乾燥してるんだと思うんだけど← 

 

「不幸中の幸いだな」と返されてその顔から笑いがスッと消え、「家族もとんだ恥さらしだ」で一瞬タイミングを置いて沸き起こる苛立ち。

顔が歪み拳に力が入って立ち上がり振り向くけど、すでに彼らは去った後。

初日はもう姿がなくてはあ…ってなったところに赤ちゃんが通りかかったので表情を緩めて近づこうとするけど、、という感じだったのが、

立ち上がったけどぐっと抑え、赤ちゃん連れのお母さんからの視線にハッとして…という流れになった印象です。

そんな変化もあって後半の方が、周りの目線を感じて、自分の状況がふと俯瞰で見えてしまったような、つぶやくような「こんな、ふうに…」 という入りだった感じ。

 

自慢の息子

「こんな、風に、」とかみしめるような話すような冒頭から、「生きて行くのか〜」と一気に息を流し繋げていく歌に入っていくあの感じが好き。

この曲、本当に素晴らしくて。壮大な歌唱でありながらアラジンの想いが丁寧に鮮やかに強く表現される演技で、劇場の空気をガッと変え、この作品の主人公がアラジンなのだと観客に本能で理解させる感じすらする。

気のせいかもしれない。

 

「今は貧乏だけど」と「心は貧しくない」の間で、一瞬目をつぶって少し眉根を寄せて、違うんだ…というように次のフレーズに繋がる折れがすごく好き。。

個人的なツボは、1度目の♪母さんの「自慢の」息子に で下におろしていた両手を少し上げて、その手のひらに目を落とすところ。(安定の綺麗な手)

「手を染める」という言葉を思い出したりする。

この曲に限らずだけど、海アルは余分なアクションやわざとらしいことをほとんどしないのが特徴的だなと思います。

だから「馬鹿にされても〜」「嘘つきの調子者〜」とかもリアルというか実際向けられた言葉や現実なのだろうとその悔しさの滲む様子から感じられるし、その実体験の悔しさを吹き飛ばすように「でも見てて!」と折れる流れがとても劇的で感動する。

そこからは声量をさらに上げて一ミリも逃げのない真正面からの♪変「わ」らなくても がたまらないし、「父さんみたいに完璧じゃなくても」で一度目を落とすところが良い…

きっとアラジンは母さんが見る父さんは完璧だったと感じていて、それでも同じようにはなれなくても大好きな母さんに自慢に思ってもらえるようにという、目指す場所の絶妙さが上手いなぁと。

結局アラジンが決断をくだすときに拠り所にするのは、この想いなわけで、ここでどれだけ強く観客に印象を残せるかってめちゃくちゃポイントなんだなと改めて感じた次第です。

分かっていたつもりではいたんだけど、改めて。

歌唱的なところで言うと、最後の静かめな♪いつかはなれる〜の「る」と♪自慢の息子に〜の「に」の柔らかく切なさも混じった絶妙なビブラートが最&高でしかない。

そして歌い終わって微笑む笑顔の強さと、それが遠い空にいる母さんではなくすぐそこにいる母さんを見つめるような目をするところが印象的。

そのまま笑みが真剣な顔に変わって立ち去って行くところまで、主人公完璧なバラードだよ。たまらんよ。

 

バブカック・オマール・アラジン・カシーム

良い笑顔で駆け込んできて真ん中あたりでジャンプするアラジン、やんちゃかよ…可愛いよ…

「言ったろ、やり方を変えるんだ⤵︎」は2人に教えるように。お兄ちゃんぽい。そしてこれがアラジンなりに考えた生活を変えるためのアイディアであり第一歩なのよね。。

「信じてよ!」は初回以降はほぼバブカックに。良い笑顔です。なんで?大丈夫だって!って感じ。

カシームの扱いはお手の物。間髪入れずさらっと「リードボーカルは君だよ」そのあと一緒に楽器叩くまで澄まし顔で、そこから一気にカシームを上手く乗せられたことも満足そうにくしゃっと笑顔に。

(この直前にバブカックがつまみ食いしてきたことに気づいて、コラってペシっと叩いたり、ダメだろ?って顔したりお兄ちゃん感。)

そのあとは商人にこんなことやるんだよ!って話しかけたり、女の子に花あげてたり。ちゃらい。

アラジンステップはほぼ着地の顔がすべて。「ターッ!」って口で効果音出したりもする。

衛兵に気づくとすーっと壁側に向いて宝石屋さんと宝石指差して会話したり、助ける気なし。

立ち去っていく気配を感じると眉をあげてすーっとバブカックに近寄って肩に触れ…「6,7,8!」へ。

ひたすら表情筋が爆発するBOAK。楽しそうで終始可愛い。

そもそも海宝くんが長めに踊ってること自体見慣れなくて楽しい。笑

首を左右にゆらゆらする振りの時にだいたい目をまん丸くしているのがツボ。

はじめの名前の歌い継ぎの「"ア"ラッジンン」みたいな力の入り方も。

「夢見るアラビアンドリ〜〜ム」では手をパタパタしながら斜め垂直ジャンプ(白目)

「真面目に働けと言われても」でカシームと顔を合わせ眉をひそめて無理無理〜!って言いながら手をブンブン振ってるけど中の人は死ぬほど働き者。

隣の楽器をトントン叩くときの手が美しい。

カシームにトンってされてくるっと回っちゃうときの勢いが激しい。

ダンスに入るときの有り余る気合と、それゆえか初めの方はだいたい気持ち早取り気味の表情豊かすぎる踊りが好きww

他の人たちのダンスの時には上手で壁をリズミカルにトントン叩きながら足でもリズムを取りながらノリノリで良い笑顔!

(シアノ仕事明けだといつも以上にリズムの取り方が激しめに見えてほっこりポイント)

何かを見て爆笑していたり、ヒュー!って声援を送っていたり、毎回微妙に違うことを仕込んでくる白瀬バブカックのぶどうの種ネタに全力で乗っかってる2人の空気感がまさに気のおけない友人で好きです。

そのまま舞台袖にはけようとするバブカックをちょいちょいwwって爆笑しながら止めていたことも。

ジャスミンと出会う一列になりにくるときの軽やかなジャンプ混じりの足取りがとてもアラジン 。

2人が顔を合わせたときの素敵レベルは鬼のようなのであそこは映像で残して欲しい。CMにしよう??

それまで特にこの曲ではアニメのような茶目っ気ある表情やあえてのわざとらしいような表情がよく見られていたのが、このシーンでは一切なく驚いたような優しい愛おしげな穏やかな笑顔を向けるのが最高に最高です。

ニコッとした後に眉尻が下がって切なげな表情になる瞬間がほんと絵画かな!?って思った瞬間に左右に別れてしまうので、アラジンと同じく「ええええ!!」って気持ちになるww

離れてしまってからは必死でキョロキョロ探して、最後カシームに促されてダンスに戻ってもラストの決めポーズでも表情がもう落ち着かなくてすぐ立ち上がってうろうろし始める。

 

ジャスミンを見つけてからはさっとベストを直すけど、声かけてからとても手慣れている。

「このシャツ脱いでもいいぜ」「気づいてたんだ!」の流れなんてもう完全に彼の鉄板手法。慣れているww

「綺麗な金のイヤリングに〜」は少しわざとらしく1つ1つポーズも入れていて、この「靴には埃一つ〜」の時の右足を出す仕草が、のちのプリンスアリーの足トントンに繋がったりしてるのかなぁと思います。知らんけど。

「案内してあげる!ほら!」は両手で来い来い!って、手招きじゃなくて下から上に来なよ!って感じの←

観劇後になってここが、カジが喜んでエスメに色々見せてあげようとする姿にかぶってじんわりします。。

跳ね回るように市場を駆け回るけど、「美女にお似合いの好青年」でまあ笑いが起きる率低いww

普通に格好つけると納得されてしまうのでだいぶわざとらしくやるようになってきたけど、あまりにその台詞がしっくりきてしまうので特に笑う気が起きないという謎の域に達してるのが伝説だなと思います←(勝手に伝説作るな)

占い師に駆け寄るときに「この女性と僕のしょうらぃ…」と将来あたりで弱々しくなるのと「占ってあげて」で右目ウィンク決めるのが好きなんだけど、

ウィンクがわざとらしく3回くらいパチパチしたり、1回バチンと決めたり。可愛かったり格好良かったり忙しい!

「君には宝石なんて必要ない〜」はそれまでの笑顔が消えて真顔になって吸い寄せられるように上半身が前へと向かいながら。そりゃ照れるわ。

本当に狙ったわけではなく思わず口からもれてしまったような言い方で、照れたジャスミンが離れてしまって、ふと我に返って自分が言ったことを反芻して(やっちゃった…)というような顔で目をつぶり少し後退しながら「ごめん!(>_<)口説いてるみたいだな」と苦笑するその後半の方がよほど破壊力が高い。あれはずるい。

そしてそこからの「だったら!観光案内のご褒美は?ん?」の茶目っ気のギャップ!

頰キスを求めるのは全然本気なわけじゃなくて、ふざけて「ん?」までやった後は、もう笑いながら離れようとしたところにオレンジを投げられてそのノリの良さに喜んでいるようなあたりがめちゃくちゃポイント高い。

驚いたような顔でキャッチして笑う表情もう最高ですね。

果物屋に対してかばう所は割と芝居がかっていて。

三平ジャスミンは「左巻き」と聞いた瞬間、すぐスイッチ入って上目遣い目パチパチがっつり芝居に入るけど(超乗り気ww)、

瑞恵ジャスミンは「え?!」ってなってアラジンを見上げて、ほら合わせて!って促されて突然くたっと力が抜けて芝居に入る。

2人して芝居じみた感じで離れようとするのが面白いw

リボンで衛兵たちを一気に倒したのを見るとジャンプして右手でガッツポーズしながらジャスミンと手を繋いで上手幕へ。

 

行こうよどこまでも

息を切らして駆け込んできても、ジャスミンに足元の段差を「気をつけて!」と指し示すのは決して忘れない出来る男。

荒い息のまま、あえて声をひっくり返し気味に「それ⤴︎にしてもさっきのお猿の即興芝居最⤴︎高だったよ!」

実際三平ジャスも瑞恵ジャスも即興芝居最高だしww海アル自身芝居を楽しんでいたようなところがあるので、ジャスミンが乗ってくれて助かったのはもちろん凄く嬉しくて楽しかったんだろうなと思う。

褒められたジャスミンも得意げ。笑

「それで?君はどこからきたんだい?」の突然のイケボもまあなかなか笑いが起きないww

全体的にあまりに格好良いというのも笑いには不利に働くこともあるのですねww

すぐにカラッとして、下着を雑に投げつけ、少しおどけたように「逃げてきたとか?」と笑う。

「そんなのおかしいよ」のあたりはそこまで重くもなく、当たり前のように。

クッションを叩く勢いが激しいw

「ここに住んでいるの!?」は三平さんと瑞恵さんで結構違うので応える芝居も違ったけど、一瞬止まって諦めたような笑いが入った「驚くよね。」

ここでジャスミンを見ようとはしなくて、「酷いところだったことは分かってる。」、「ルームメイトは〜」からは少しわざとらしくしてみたり。

「でもね!」で切り替えて、「景色だけは割と良いんだ!」で手の動きだけでふわーっとジャスミンに前の景色を見せる。

(他のアラジンが結構「ほら!」と言いながらな印象が強いのでここが静かなのは新鮮だった。)

「仕方ないよ。」の諦めが入ったような笑顔。 そこに怒りや憤りはなくて、ジャスミンをなだめるような響き。

その後のやりとりもとことん対等というか、「だったら、そうしない?」も柔らかく誘い出すような始まりで、好きなんですよねぇ。。

 

歌がー絶品ーー!!

ラクダに「ゆらぁれて」の海宝節ですでに半泣き。

「ゆーこーおーよー」の声量増が心地良い。。しまむーのバズーカのような声量とはタイプが違うけど、質量が増していくようなそんなクレッシェンド。

「全て捨てて」は両手で外側へぽいっ!

「信じあえる」は両手でベストを摘んで、声と顔を作って、直後に自分でも「ふへっ!」って笑うのに、ふと真剣な顔になって正面を見つめて、♪自由に「なれるっ!」

そんな姿を見たジャスミンがあえて「船の旅はどう?」と茶目っ気たっぷりに歌いかけるのが良いなぁと思うし、すぐにそれに応じて「君が舵をとるんだ」もポーズをとりながら作った声で。

位置をチェンジして、顔は正面のままだけどジャスミンの「明日のことは迷わない」を聞いて小さく2回くらい頷くのが好きです。

個人的には三平ジャスミンとだと程よくアラジンの主旋律が響いて楽曲バランスとしては良いのかなぁと思ったりする。

瑞恵ジャスミンはこれまた声量がすごいので、この2人だと歌対決みたいなレベルの声量祭りになりますww

「新しい自分もとめ⤴︎」の下から高音まできっちり苦しさもなく声が細くなることもなく上がりきるところがめちゃくちゃ格好良いんだ。。

途中から「全て捨てて」をジャスミンもがっつり両手でポイッてするようになるのが可愛いし、顔を合わせて楽しそうに笑うのが良い…!

ラスト高めの「心のまま」の少しビブラートのかかったキープの見事さと言ったら。。

手をぐっと握って近くときはもうそのままキスをするんじゃないかくらいの角度なのよね。

でも角度はそうだけど空気は決してそれ以上にはならなくて、お互いふっと照れて幸せそうな照れ顔で離れるのがもう!!

 

そして来ました、名言「僕を信じて!」

もうこんなん信じない理由がない←

後半は「僕を信じて!」でジャスミンの顔を見てうなずいて見せる、というパターンが多かったなと思うけど、首コテッもよくありました。。

1回目右にコテッってして2回目は左だったこともあった。。

そのときのジャスミンの様子で変わってるんだろうなぁと思います。

ここのシーンでは真剣な表情で、あまり笑いかける感じではない。

三平ジャスは忘れちゃったんだけど、瑞恵ジャスミンは「こっちへ!」のあと片足は階段にかけながら下を見て迷ってるのよね。

今回上手気味とか上手端(完全にど正面になるあたりは結構端です。)、正面、下手寄りとか色んな席から観られたんだけど、

真っ正面も良いけど、少し下手だと横顔と手の差し出しとが真横から切り取ったような角度で見えてこれまた綺麗な光景でした。。

あれが、現実で、今目の前で実在する人間が演じているだなんて信じられないレベルの夢のような光景。と音声。

 

と、うっとりさせた後にとても滑舌の良い「じゃあ、ジャンプだ!」両手ジャーンプが毎回体操のお兄さんっぽいなって思いますww

なんでだろうな、、突然健康的な感じになるからかなw

 

というところで次の場面からは別記事で。。

f:id:a-syamu:20180325191321j:plain

 

海宝直人という俳優とゲイブという役が出会ってしまった。前編

 

さて、TENTH1週目感想シリーズ第3弾。

にして1番書きたかったやつ。

 

そうです。今回この公演に私が異様なまでの執着をみせ、1週目に通った最大の理由は他ならぬ

「海宝ゲイブが実現したから」です。

 

海宝直人という俳優とゲイブという役が出会ってしまった。

私にとってこれは大事件でした。

もともと個人的に大好きだったN2Nのゲイブという役、

そして絶対この役が似合うであろう確信のある海宝くんという俳優さん。

配役がほぼ確定な形で発表された8月末のあの日、喜びと興奮のあまり謎の声を上げながら自室を徘徊した怪しすぎる記憶があります。

最高だろうな…!と高まりまくった期待を彼はやすやすと超えてきました。

あまりに毎度さらりと超えてくるのでそろそろ自分の想像力が乏しすぎるのではないかと疑い始める。

 

前記事でも書いたけど、そもそもダイジェスト公演でこんなガチな作品にしてくるとは全く思っていなかったわけですよ。

だってゲイブ役者が初日1週間前くらいまで別作品(3人ミュージカル)で2役演じてるんですよ?

楽のご挨拶で発覚した事実としては、ゲイブ稽古期間4日だったっていうんですよ!?嘘やん…

(村井くん教えてくれてありがとう。。)

 

ネタバレ?超します。ご注意ください⚠️

核心に触れずにゲイブを語るのは私には無理です。

 

そしてこの役、この作品は解釈の幅がとても広いと思います。

矛盾もあるかもしれないし、制作の意図するところでないかもしれない。

あくまで私の感じたこと、考えが落ち着いた結論です。

あと今さらにもほどがありますが私は海宝直人さんに対して超盲目です。

 

もはやいつものことですがまた長くなりそうだったので前編後編に分けました。

前編では、海宝直人×ゲイブがハマりすぎた理由(主観)。

後編では、8日間で魅せた2パターンのゲイブ(予定)。

でお送りします。

そもそもなんでこんなに海宝ゲイブにハマったのか。

それはゲイブという役に必要な力を海宝くんがあまりにもばっちり持ち合わせていたからだと思うんですよね。

私が思う、ゲイブを演じる役者に大事な2つの能力。

ある意味繋がるところは1つかもしれません。

①多彩な楽曲を歌いこなし、聴かせる歌唱力

ゲイブに限らずですが、この作品はとにかく楽曲が多彩。

それはある意味、人間の精神状態の幅を感じさせるものでもあるように思います。

穏やかだったりジェットコースターのようだったり緩やかに波があったり。。

このダイジェスト版で、コーラス的な曲を抜いたとしてもゲイブが歌うのは10曲!

家族の1員として綺麗に混ざり合い、声を重ねるJust Another Dayの4重唱、

ダンと対等にぶつかり合い、ダイアナに甘く優しく語りかけるI Am The Oneの3重唱、

同等かつ綺麗にナタリーと重ならなくてはいけないSuperboy and the Invisible Girlのデュエット、

劇場を支配する生命力と躍動感に溢れた迫力のソロI'm Alive、

ダイアナを誘い出すようなCatch Me I'm Falling、

切なく寂しく甘く美しいソロThere's A World、

姿を消したかのように見えたゲイブの異質な存在感際立つAftershocks、

リプライズをいかに活かせるかが大きな鍵になるI'm Alive (Reprise)、

ダンに静かに迫りそしてついにその存在を認めさせるI Am The One (Reprise)、

どこか寂しげだけど晴れやかでその先を感じさせるLight。

ゲイブに関して、求められるのはこれらを「曲として歌いこなせる」だけではなくて、そこから先の表現でどう「ゲイブという役を形作っていけるか」だと思うんですよね。

どの作品でももちろん求められることではあるだろうけど。

あくまで主観ですが、ミュージカルには

1.その曲をシンプルに歌うだけで役の感情、役全体のシルエットが浮かび上がるように出来ている楽曲(ワイルドホーンとかは割とこっちだと思う)、と

2.美しい楽曲だけどただ歌うだけでは役が伝わらないのでそこから先の役者の力が必須な(ある意味役者次第で一気に役の魅力を増大させられる)楽曲

の2種類があるように思っていて、私はN2Nなんかは後者だと考えています。

 

ゲイブという役は特殊です。

当たり前に溶け込んで家族の1員としてバランスを取りつつ存在を表現する場面もあれば、

「生きていない」のに誰よりも生命力に溢れる印象を与える必要がある場面もある。

かと思えば死をつかさどる天使かのように静かで冷え切った存在であることも、

劇場を支配するような圧倒的なオーラで空気を変える必要がある時もあります。

歌で。

そして、その全てが1人の「ゲイブ」という存在でなくてはならないのです。

もちろん芝居も大きい部分を占めますが、この作品の多くは歌で進行するので、歌で表現できる幅が広くないと役の厚みが出てこない。

むちゃくちゃ難しい役だと思います。

 

海宝くんの歌が上手い、それは周知の事実だ(と思っている)けど、

純粋な歌唱力の高さ、そしてそこからの表現力が素晴らしい人はもちろんたくさんいます。

 

じゃあなぜ、海宝くん×ゲイブが最強だったかと言えば、

  • 人と声を重ねるのがむちゃくちゃ上手い

音程の確かさもですし相手の声を聴いてコントロール出来るんですかね。。

前からだけどデュエットやトリオ、カルテットでの、自分の声を残しながらマイルドに全体をまとめる力が凄いなと思います…どうしたらそうなるのかメカニズムはよく分からん。

  • パワフルで生命力溢れたロック歌唱が出来る

I Am The OneやI'm Aliveをガツンと力強く聴かせてくれるのはとっても大事。

歌唱自体に一切不安を抱かせず、クラシカルさを残さず、でも滑舌が良くて聴き取りやすい歌唱。最高。

海宝くんはCYANOTYPEというバンドのメンバーでもうすぐメジャーデビューCDも出るわけですが(宣伝するなww)、バンドの時のような歌い方を使ってくるかと思いきや、全体的にそうでもなかったのが印象的でした。

やはりミュージカルだと別物なのか。

でも唯一ちょっとぽいなと思ったのはLightのソロでした。

♪夜が明けていくなぜこんなに長く彷徨っていたのか不思議だ のところ。

光(初回生産限定盤)(DVD付)

光(初回生産限定盤)(DVD付)

 
  •  繊細な高音が連続する楽曲の声色が奇跡

 There's A Worldがその最たる曲かなと思いますが、Catch Me I'm FallingやI'm Alive (Reprise)、I Am The One (Reprise)の出だしもですね。

今まで曲中で一瞬通過することがあって、部分的には聴いたことがあるような声色だったんですが、

全編この声で歌うと恐ろしいことになるな…と寒気がしました。

スパーンと歌える伸びやかで心地良い歌声が強みだと思っていたけど、ある意味この辺りの歌声の方が希少価値がある、破壊力の高い武器なんじゃないか。。

何より完璧なコントロール下にあるので全くブレないし、柔らかく繊細だけど、元がしっかり広い気道を確保した上で細く出しているので、安定感があるんですよね。

どうしてもしっくりくる言葉が見つからないんだけど、ここまでの繊細で美しく純度の高い男性の柔らかく切ない歌声に出会ったことがなかった。

この歌声をしっかり曲として聴けるナンバーが揃っているというのもゲイブという役の大きな魅力です。 

 

さらには海宝くんの歌声って、どんな音域や楽曲タイプであっても、

太い声でも決して「野太い」と感じない、そしてどこか切なさや哀愁を帯びた声質だなと思っていて、

それがまた常に役に深みを与えているように感じるし、ゲイブという役においては実に効果的だったなと思うのです。

②舞台上で己の存在を自在にコントロールする力

これな。とにかくこれな。

なんなんだろう、なんでこんなこと出来るんだろう。。

テクニック的なことなのか?いやでも天性の感覚があるんじゃないだろうか…と思わずにはいられない。

 

少し長く語りますが、 

役者さんにはいろんなタイプがいます。

どこにいても目を引く、いわゆる「華がある」と言われる理屈じゃないタイプ。

特に舞台においては素晴らしい才能で、 中でも宝塚なんかの存在重視系舞台ではまあ重宝されます。

ただ役によっては本人が意図せず「いかなる場合でも目立ってしまう」ことが必ずしも望ましくない場合がある。

一方、どんなにスキルが高く素敵なパフォーマンスをする役者さんでも、圧倒的なオーラや視線を集める力がない人もいる。それでも努力と実力で主役やセンターを勝ち取る人ももちろんいる。

それってある程度生まれ持ったものなのかなと私はずっと思っていました。

 

でも舞台に立つ海宝直人という役者に出会って、好きになって、観劇を重ねるとあれ?と思ったんですよね。

この人存在感や目立つタイミングがコントロール出来るのか…?って。

ファンになったからかもしれない。贔屓目なのかもしれない。

でも「あくまで舞台の人々の中の一員としてそこに溶け込むとき」と「目立つべきタイミングに強い存在感を放ち舞台の中心になるとき」であまりに違う。

照明や演出の効果はもちろんあるでしょうけど、本人の存在感がやっぱり違う。

 

さらに衝撃的だったのが『ノートルダムの鐘』のカジモド役。

この役は冒頭で俳優からカジモドという役へ、そしてラストでカジモドから俳優へと舞台上で変化をするシーンがあります。

それも大きな変化では墨を塗る、落とす、という行為だけで。

これまた劇場で体験しなければ分からない感覚だと思いますが、この変化が海宝くんは実に見事で、己の目を疑いたくなるような出来事なのです。

目の前で、人がまったく違う人へと変化を遂げる、「演技」という言葉では表現できないような、あまりに鮮やかで明確な変化にもうどうしていいか分からなくなる。

いやどうもしなくていいんだけどね。

 

そんなこんなで、

存在感の押し引きが自在っぽい…

同じ役内だけではなく、別人への移行も自在っぽい…

までは気づいていたんです。一応。そこが凄いなとも思っていたんです。

でもな。。奴はまだ隠し持っていた。

そうです、「生と死までもがコントロール下にあった」

ごめんなさい、ちょっと格好良く言ったw

要するに、「生命力に満ちた青年」から一瞬にして「存在しながらも生きていない」と認識させることが出来る力も彼は持っていた。

 

何度も書いていますがN2Nのゲイブは割と特殊な役です。

彼は舞台上に17歳の青年の姿で現れ、話し、歌い、ちょろっと踊ったりもします。

でも、彼はこの世に生きていないのです。

存在のさじ加減であらゆる見え方が変わる、そしてゲイブのあり方が変わればN2Nという作品全体の見え方も変わる。そんな役です。

だからこそ、観客に「今気配が消えた…」とか「感じる生命力がふっと薄れた…」とか「存在が濃くなってる…」とかそう感じさせることができる、

それをおそらく本人がコントロール出来るっていうのは恐ろしいまでの強みだし、

そこが自在ということはこの役をいくらでも深める余地があるということだと思います。

 

実際、この8日間という公演期間でも明らかにゲイブが変わったと感じるタイミングがあったんですが、、

2パターンのゲイブ像について具体的な感想及び解釈については後編で書く。

 

すみません、良ければぜひ後編もお付き合いください…!! 

f:id:a-syamu:20180113202822j:plain